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その翌日。休日であり、特に用事もないため、徳馬はショッピングモールへと向かった。
理由は勿論、プレゼントの購入だ。
モールへ着くと、まずは地図を見て、場所を確認する。
3階であることを確認すると、徳馬はエスカレーターに乗り、3階へと向かった。
3階に着くと、アクセサリーショップへと向かう。
このショッピングモールは、大変広いため、それを探すのだけでも一苦労だ。
何とか見つけると、そこへ徳馬は入っていく……はずだった。
「あれ、徳馬」
聞き覚えのある声が、徳馬の耳に響く。
その声は、徳馬の脳に伝わるや否や、それが沙紀の声であるということを告げた。
「あぁ、沙紀か……、え、沙紀!?」
驚きの表情を浮かべる徳馬。沙紀は、それを不思議そうに、首を傾げてみていた。
「徳馬は、何しにきたの?」
沙紀が徳馬に問う。が、徳馬は内心焦っている。それもそのはず、来た理由は、沙紀へのプレゼントを買うためなのだから――。
しかし、それを言うわけにはいかない。徳馬は、必死に頭の中で、考えをめぐりめぐらせた。
だが、ずっとこうしていても怪しまれる。
苦し紛れ言った答えは、こうだった。
「あの……その……、そう! 新しいシャーペンでも買おうかなって」
シャーペンを買いに、わざわざこんなでかい見せにくるもんか――言い終えてから、徳馬は気づいた。
が、沙紀は、それに気づいていないようだ。
何とかやり過ごせたかな、と安心する徳馬。だが、沙紀が何しに来たかも気になるため、徳馬はそれを聞いた。
「沙紀はどうしたの?」
「私は、服でも買おっかなって思って」
いかにも女の子らしい答えに、徳馬は「あぁ」と頷いた。
「じゃぁね、徳馬」
沙紀は、そういって手を振り、洋服のコーナーへと歩いていった。
「ほっ」
沙紀がいって、完全に緊張の糸が解けた徳馬。
安堵の気持ちが、つい声に出てしまっていた。
沙紀が見えなくなったのを確認すると、やっとの思いでショップに入る。
そこには、何ともかわいらしいアクセサリーが、まるで博物館のように売っていた。
その量に驚きつつも、徳馬は蛍のようなストラップがないかを探す。
徳馬がいいストラップを見つけるのは、それから5分後のことだった。
「これ、いいじゃん」
そう言って、徳馬が手に取ったのは、緑色に輝く蛍のようなストラップ。
暗闇の中でも綺麗に輝くのを見て、徳馬はそれにすることを決めた。
ストラップを手に、レジへ進む。そのとき、包装もしてもらい、何とかプレゼントの購入は、することができた。
「よし、これでオッケイだな」
すべての悩みが解消し、安心した徳馬は、ショッピングモールから、軽い足取りで出ていった。