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蛍の絆  作者: 吉川翼
第二章 蛍の恋
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それから、徳馬と沙紀による、勉強会が始まった。

といっても、勉強してるのは、実質徳馬だけ。頭のいい沙紀は、する必要がないのだ。

徳馬も、沙紀との勉強ということで、かなり気合を入れてやっている。

……はずだが、未だに勉強内容は、中学3年。いつになったら、大学のところまでいけるのだろう、徳馬は頭を抱える。


「沙紀、俺、間に合う?」

心配になった徳馬は、沙紀に正直に聞く。すると、沙紀は優しく、きっぱりと言った。

「無理」

その瞬間、徳馬の体は重力によって引っ張られた。


「ま、今から勉強しておいたら、次の試験には間に合うって!」

沙紀は、あくまでも笑顔で、励ましてくれる。その笑顔を見て、徳馬も、少しやる気を取り戻したようだ。

というわけで、中学3年生の勉強を頑張る徳馬。ちなみに、1つ分かるのに5分はかかっている。


「やっと終わったー」

中学3年生の問題を終え、一息つく徳馬。そんなとき、徳馬は、沙紀の誕生日が近づいている、ということを思い出す。

『そうだ、沙紀の誕生日プレゼントも買わないとな』

何がいいだろう、そう考えているうちに、沙紀が再開しようと言った。

『ま、また考えておくか』

誕生日のことは一旦忘れ、また徳馬は勉強に戻った。


こうした日々が、テストまでの2週間毎日続いた。

時々、英語以外の勉強を2人で勉強し、それ以外は、英語を徳馬が教えてもらっていた。

勉強の後に2人で笑いあったりすることもあり、徳馬はそれだけで、勉強の気力がわいてくるようだ。

沙紀も、1人で勉強しているより、こうして徳馬と勉強し、教える方が、楽しかった。


これにより、徳馬は英語以外はもちろん試験は大丈夫だし、沙紀のほうも大丈夫だろうという安心を抱くことができた。

唯一の不安は、無論英語。何とか試験までに、中1レベルから、中3レベルまでは回復したが、それでどれほど点が取れるだろう。

徳馬にはもう、点をとろうなどという気持ちは、微塵もなかった。間違いが起きても、今回は取れない、そう勝手に吹っ切っていた。


そして、テストまで、最後の勉強。

この日は、とりあえず、英語の復習だった。しかし、沙紀がおかしい。

時折辛そうな顔を浮かべている。徳馬は心配になり、沙紀に聞くも、沙紀はなにもない、というのだった。

だが、徳馬も、1時間ほどすると大丈夫そうになっていたので、気に留めなかった。


次の日。そんな2人に、ついにやってくる。試験の日が――。徳馬はこの日、いつもより1時間早く目を覚ましていた。



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