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愚者達の戦記  作者: 六三
征西編
81/443

第48話:コスティラ王国侵攻

 ランリエル、カルデイ帝国。そしてバルバール王国をも含めた連合軍17万は易々とコスティラ側国境を突破した。

 コスティラ軍を裏切りランリエル国内から退却したディアスは、コスティラ軍の退路を立つ為過半をランリエル側国境に残し、余の者はコスティラ側国境に向かわせていた。コスティラ本土にバルバールの裏切りが伝わるよりも先に、コスティラ国境を固めていたのだ。


 コスティラがかき集めた軍勢は4万5千。うち5千を王都ケウルー防衛に残した。険峻な国境を固めたバルバール軍を打ち破れるだけの戦力はすでにない。国境の峠を降りた辺りはまだ険しい地形だが、そこで陣を構えると連合軍に高所を取られる事になる。


 やむを得ず国境を大きく後退し、ボルガという大河を挟み連合軍と対峙した。兵法にも、渡河中の敵を討つべしとある。連合軍が河を渡ろうとした時に反撃にでる体勢である。無論連合軍もそれは弁えていよう。進軍は止まり膠着状態となる。ランリエル、バルバールはすでに1年近く戦い続けている。財政は悲鳴を上げ軍事活動は限界に近づいているはずだ。耐え続ければ敵は引き上げ、改めて国境を固める事が出来るのだ。


 制海権は連合軍に取られいる。バルバールによって沈められた艦艇の補充が間に合っていないのだ。海岸線から上陸され直接王都を突かれる事も考えられるが、船舶での移送では大軍は送れない。王都の5千で持ち堪えられるはずである。


 河の対岸を固めるコスティラ軍を望み、サルヴァ王子が傍らに立つディアスに問いかけた。

「堅実な構えだ。中々隙が見出せない。全軍が一斉に渡河する事が出来ない以上、無理に進軍すれば上陸した兵士は次々に各個撃破されよう」


「確かに」

 そうディアスは応じたものの、王子には何か策がある。と睨んだ。王子の声が膠着状態にいらだつふうには感じられなかった為である。ディアスはあえてそれを問わなかった。自分には才がある。そう考える人間はそれを他に話したがるものだ。問わなくともいずれ自分から話す。そしてディアスの考えどおり、サルヴァ王子は再度口を開いた。尤も、ディアスに秘匿して行える作戦では無かった為、自己の才を誇る為とばかりは言えない。


「バルバール艦隊の出撃準備は出来ているのだな? それをお借りしたい」

「それは無論構いませんが、艦隊で運べる兵力は1万ほど。王都を突くには戦力が足りません。今対峙している敵の背後を扼させるとしても、敵は警戒しておりましょう。河を挟んで孤立すれば敵軍4万に対し1万。勝負になりますまい」

 軍勢を二手に分け敵を挟撃する。よく聞く作戦ではあるが、それだけに敵も警戒している。偵察を多く出し遠方から補足すれば、対応は難しくないのだ。


「分かっている。貴公の行った海岸線攻撃。それを少し真似させて貰うだけだ」

 それはディアスの行いを責めるものではなかったが、不敵に笑うサルヴァ王子に、ディアスは居心地の悪いものを感じた。



 連合軍は軍勢を分けた。バルバール軍3万。帝国軍の4万。ランリエル軍10万も2つに割った。大河を挟み計4箇所から渡河する体勢である。それぞれ距離は3ケイト(約27キロ)ほど離れている。コスティラ軍も対応する為にそれぞれの箇所に軍勢を派遣した。一箇所でも渡河を成功させる訳にはいかない。許せば負けである。


 そしてコスティラ軍は敗北したのだった。

 ある日4箇所の連合軍は一斉に渡河を開始した。コスティラ軍も応戦する。兵力は少ないが戦況はコスティラ軍が有利。渡河は成功せず防ぎきられるかと思われた。


 そこにサルヴァ王子が指揮する、一番海岸線寄りにある渡河地点で対峙するコスティラ軍を海岸線から上陸した軍勢が南方から襲い掛かったのだ。無論コスティラ軍も警戒しており奇襲された訳ではない。だが4万の軍勢を4つに割ったのだ。上陸軍は1万。兵力は互角だった。


 渡河を防いでいるところに同数の敵勢の来襲。耐えられるものではない。瞬く間にコスティラ軍は敗走した。その後全軍上陸したサルヴァ王子率いる軍勢は、そのままコスティラ王都へと追撃を行う。


 バルバール海軍が行った海岸線攻撃。それは海軍により、どの地点に上陸するかを敵に悟らせない事によって敵軍を分散させ、少数で敵の大軍を引き付ける。兵力が少なくなった敵本陣に陸上兵力で決戦を挑む。そのようなものだった。


 サルヴァ王子の応用はそれのまったく逆だった。陸上兵力をあからさまに分ける事によって、少数の敵軍をさらに分散させた。そして艦艇からの上陸軍で、分散した敵軍を討ったのだ。


 他の渡河地点でも、味方の敗報を受け王都の危機とコスティラ軍は退却を開始していた。それぞれ対峙していた連合軍がそれを追う。王都へと向かっていたサルヴァ王子はその直前で進路を北に向けた。王都に帰還しようとする他のコスティラ軍の行く手を阻む為である。敵軍は完膚なきまでに叩く。結局はそれがコスティラへの被害を少ないものとする。


 この戦いは一戦で終らせなければならない。攻めきれず退却してはコスティラは国力を回復し防備を固める。戦争が長引けばそれだけ民衆の負担も大きい。兵士として徴集される者も多数出るのだ。


 退却してきた軍勢を散々に撃破し、逃げる兵士を王都とは別方向に追い散らした。討たずとも王都に集結されなければそれでいい。王都に辿り着いたコスティラ軍は元居た軍勢を合わせても1万に満たなかった。


 攻めるばかりで攻められた事のないコスティラ王都ケウルーに、全体を囲む防壁は無い。軍勢は中心部にある王城へと篭り、民衆は逃げ散った。


 王城は高い二重の城壁に囲まれているが、戦火に焼かれた事のないその外観は優雅にすら見えた。東西800サイト(約700メートル)、南北1100サイト(約1000メートル)の長方形に築かれ彼方此方に石塔が立っていた。正門は西側に備えられている。


「攻略はバルバール軍にお頼みしたい。城砦を落とすには3倍の戦力が必要というが、敵は1万に足りずバルバール軍は3万。計算は合うと思うが」

 17万の軍勢で城を囲んだ夜、ランリエル軍本陣で行われた軍議でサルヴァ王子はディアスにそう言った。みなが思わずサルヴァ王子を見詰めた。連合軍全体では3倍どころか17倍なのだ。全軍で攻めれば容易いはず。それをわざわざバルバール軍のみで攻めろとは。降服した国の軍勢は酷使されるのがならいというが、酷過ぎるのではないか。そう思ったのだ。


 ディアスもサルヴァ王子を正面から見据えた。

「ランリエル軍兵士の命は、バルバール軍兵士の命より尊いのだ。少なくとも私にとっては」

 一斉に場がざわついた。あまりにもな言い草である。みなの視線がサルヴァ王子からディアスへと移った。これほどの屈辱を受けては降服を反故にし、再度ランリエルに敵対するのではないか。いや、今まさにここでサルヴァ王子に切りかかるのではないか。降将とはいえ、連合軍の一翼を担う司令官として、ディアスも剣を帯びるのを許されているのだ。


 しかし他の者の意に反し、ディアスの目は激情に燃えるどころか、静かにサルヴァ王子を見詰めていた。他の者に配慮した挙句、自分の大事な者を失うなど馬鹿げた事。他ならぬディアス自身が言った言葉である。サルヴァ王子もディアスにだからこそ言った言葉だった。


「王城攻略。確かに承りました。城壁への突撃は我らが行います。ですがランリエル、カルデイ帝国軍からも弓矢による援護は頂きたい。それだけならば被害は受けないでしょう」

「承知した」

 ディアスの言葉に、王子が小さく頷いた。総司令同士の決闘が行われなかった事に諸将は安著した。ディアスが切りかかったところですぐに取り押さえられるだろうが、ここで内紛でも起せば城攻めどころではないのだ。ギリスは両総司令に鋭い視線を送っていた。その目は戦場を睨むかのようだった。いや、確かに静かな戦いが眼前で行われていたのだ。


 その後兵の配置なども決められ、ディアスはランリエル軍本陣を後にした。天幕を出て数サイト歩いたところで振り向く。ディアスとサルヴァ王子との違いは才の差ではなく、覚悟の違いだった。それは或いは諦め、とも言うべきものだった。


 守るべきものが2つあり、どうしてもその内1つしか守れないとすればどうするか。無理にでも2つとも守ろうとし、その挙句2つとも失うのか。それを幾ら悲しんだところで、そのどちらも戻っては来ない。どちらも守ろうとした挙句どちらも失う。それは実はどちらも大切では無いのではないのか。少なくとも、自分は2つとも守ろうとした良い人、であるという事よりは。


 バルバール王国とその民衆、そして自身の名誉と誇り。それを天秤にかけ国と民を取った。名誉と誇りは諦めた。バルバール王国とその民衆を天秤にかけ、民衆を取り王国を諦めたのだ。自分以上に能力のある者ならば2つとも、いや3つとも守れるのかも知れない。しかし事実、現在それをなすべき権限と責任はディアスにあった。どこかにいるであろう、ディアス以上の者の存在など考えても虚しいだけである。


 ディアスの覚悟とは、どうしてもあるものを守ろうとする事ではなく、守ろうとするものの為に別のものを諦める。その覚悟だった。おそらくサルヴァ王子もその境地に立った。ディアスはそう感じた。


 サルヴァ王子が艦隊を借りたいと言った時に感じた居心地の悪さ。それは改めて王子に脅威を感じた為だった。万一次に戦う事があれば、数倍の戦力どころか、同数でも勝てるかどうか。

 ディアスはやれやれと肩を竦めた後、止めていた足を動かしバルバール軍本陣へと向かった。傷はまだ癒えず、僅かに足を引きずっていた。


 翌日より城攻めが開始された。四方を囲み矢の援護を受けたバルバール軍が突撃し、コスティラ軍は必死で防衛する。

「やってくるのはバルバールの外道共だ! 1人も城壁に近づけるな! 皆殺しにしてやれ!」

 コスティラの守将ボールジンは敵勢の軍旗を見て、憎悪を込めて吐き捨てた。兵を鼓舞する為ではなく本心だった。今この状況はバルバールの裏切りの為なのだ。


 バルバール軍は城門の破壊を試み、別のところでは城壁に梯子をかけて登ろうとする。コスティラ軍は矢を浴びせ、石や丸太を落としてそれを防いだ。突撃を行っている軍勢は守勢の3倍だが、援護の弓兵を数に入れれば圧倒的である。コスティラ軍は劣勢に立たされた。それでも持ち堪えられているのはバルバールへの深い憎しみの為ばかりではない。


 最後の一兵まで戦う。言葉としては有り触れているが、実際そのような事はなかなか起こらない。敗勢が濃厚であり戦うよりも逃げる方が、降服する方が命が助かる可能性が高いと見れば兵士達は武器を捨て、持ち場を離れて逃走する。全軍騎士だけで構成されているならともかく、雑兵を含んだ軍勢ならば尚更である。


 それがここまで頑強に抵抗するのは、連合軍のあまりもの非道に、降服しても命が無いと考えている為だった。篭城し逃げ場は無く降服しても殺されるなら、文字通り死ぬまで抵抗する。死兵を相手にバルバール軍の被害が増えていく。


 攻城開始より11日目。その日も太陽が昇ると共に城壁に向かって大量の矢が打ち込まれた。そしてバルバール軍の突進である。しかしそれは正門のみに集中していた。今まで4方向に分散していた戦力を一箇所に集中し守勢に対し圧倒的戦力をぶつけたのだ。


 3千づつを1隊としての波状攻撃である。はじき返されても新手が次々と城壁に取り付く。その波は重厚であり絶え間ない。増援無しには持ち堪えられそうにないと、ボールジンは判断した。


 ボールジンも連日の攻勢がバルバール軍のみで行われているのは、軍勢が掲げる軍旗から見抜いていた。降服した軍勢は酷使されるという事はボールジンも分かっている。不思議とも思わなかったが、今この状況に迷いが生じた。バルバール軍3万。その全てと思われる軍勢が正門前に軍旗を掲げている。


 突撃はこのままバルバール軍のみなのか。正面の危機に軍勢を派遣すれば、今までが陽動で突如ランリエル、カルデイ帝国軍も攻勢に出るのではないか。

「将軍! このままでは正門が持ちません。他から援軍を!」

 1人の幕僚が催促するが、ボールジンは前方を睨みつけていた。多方面の軍勢を動かせばそこが手薄となり、攻められれば落城する。しかしこのままでは正門が破られる。


 不意にボールジンが苦笑を漏らした。どちらにしろ落城するのではないか。敵は圧倒的大軍だ。今まで持ち堪えられていたのは、敵がバルバール軍のみだった為である。例えバルバール軍を殺しつくしたところで、その後大軍に押しつぶされる運命だった。


「他の守りは最低限でよい! それ以外の兵は全て正門に回せ! バルバールの外道共を1人でも多く道連れにしてやる!」

「は!」

 幕僚達も異議は無く、すぐさま数名の伝令が飛んだ。軍勢が正門防衛に集められバルバール軍と激戦を繰り広げた。バルバール軍は味方の屍をも盾として前に進み続け城壁に取り付く。コスティラ兵士はならばと、矢ではなく巨大な丸太を落として、盾とした屍ごと敵兵を押しつぶした。


 正門への波状攻撃が5陣目に差し掛かった時、正門と反対側の城壁がランリエル軍に突破されたとの報がボールジンの元に届いた。城壁は二重だが、その二重目の城壁を守る戦力などもう残ってはいないのだ。

「ここまでか」

 ボールジンは城壁突破を聞いても平然と呟いただけだった。落城する。その覚悟は既に出来ていた。

「よし! 全軍打って出る! 反対側が落とされたとなれば正門の攻撃は止むかもしれん。打って出てバルバールの鬼畜共を皆殺しにせよ!」

 ボールジンの命令に城壁で防衛していた軍勢は正門前に集められた。だがこの動きは連合軍も読んでいた。城壁に居た兵士が集結する間に正門の外では柵を立て待ち構えていたのだ。


 コスティラ軍の突撃を柵で防いだ連合軍は多数の矢を浴びせ、コスティラ将兵を針鼠に変えたがその勢いは止まらない。全軍死兵と化し柵の前まで辿り着いた。しかし勢いもそこまで、柵を引き倒すまでは及ばず力尽き、コスティラ軍は消滅したのだった。


 累々とコスティラ軍兵士、バルバール軍兵士の屍が敷き詰められた正門に、城内からディアスが現れた。正門攻撃は他の将に任せ、反対側から城壁を攻めた軍勢はディアス自身が率いていた。


 正門に集結したと見られたバルバール軍3万の内、1万はバルバール軍旗を掲げたランリエル兵士であり、攻城には参加していなかった。ディアスが率いた軍勢は、勿論ランリエル軍旗を掲げたバルバール兵士である。軍議の通り弓矢による攻撃以外は、全てバルバール軍が行っていたのだ。


 攻城の指揮の為馬には乗っていない。ディアスは徒歩でサルヴァ王子の前まで進み出た。王子も城門の前まで騎馬で進んできていた。ディアスの前まで辿りつくとそこで下馬する。

「ご命令通り。コスティラ王城。攻略致しました」

 その言葉に王子は小さく頷いた。


「国王であるマクシーム陛下の姿はないそうだが」

「はい。守兵を遥かに超える軍勢が王城に向かってきているのは、敵も分かっていた事。ボルガ川を我が軍が超える前に、すでに万一にと王族達は城を退去しどこか安全なところに身を寄せていた、との事です」

「なるほど。それでその安全なところ、というのはどこか分からない訳か」

「はい。知る者は少なく、知っている小数の者達は口が堅い。拷問して口を割らせた所で、その場所すら本当か分からない。虚偽の証言をするかも知れません。王城が落ちた事でそれらの者達から居場所が割れると考え、すでに退去している事も想定されます」

「ではどうすべきと考える?」


 敵味方。多くの屍を回りに敷き詰め、両総司令は次の戦略を協議していた。やっておいて、やらせておいて、それに胸を痛めて見せるほど二人とも厚顔ではなかった。戦えば死者が出る事など分かりきった事なのだ。悲しんで見せるぐらいならば戦わねば良いのだ。


「マクシーム陛下をここで討ち取った。そう発表すべきです。そうすればコスティラ各地に居る王家の血を引く者達が、我こそは次の国王と名乗りを上げ挙兵するでしょう」

「しかしそれでは、敵が分散し対応が難しかろう。昔の事だが我がランリエルの王もカルデイ帝国皇帝の首を獲ったが、同じように皇室を継ぐと名乗りを上げた数多くの後継者達の連合に悩まされ、挙句撤退したと聞く。それだけ兵力が分散しているともいえるが、打ち破っても次から次へと沸いて出るというのも面倒な話ではないか」

「打ち破らねば良いのです」

「打ち破らない?」

「そうです。すでにコスティラに纏まった軍勢を組織する力はありません。ある程度我々の兵力を削減しても、国境からこの王都までを固めるには十分です。ですがこちらから出撃すれば、彼らも小数なりに奇襲や、こちらの糧道を断つなどの手を打って来るでしょう」

「だから打ち破らずにほっておけと?」

「はい。みなが次期国王を名乗って挙兵する。それを攻めれば生きる為に彼らは手を取り合うでしょう。しかしこちらが攻めず取り合えずは安全となれば、その中で誰が真の次期国王か。それが問題となるはずです」

「その問題が纏まるはずが無い。敵が仲間割れをしたところを討つか?」

「仲間割れを待つのも良いですが、その前にマクシーム陛下が黙ってはいないでしょう。自分が死んだ事となったまま次期国王などを決めらせる訳にもまいりますまい。万一その者が我らを追い払う事に成功すれば、その後に実は落ち延びていたと名乗り出ても、何を今更と禅譲させられるのは必定ですから」

「なるほどな。確かに」

 サルヴァ王子は、俯いて口元に笑みを作った。マクシーム陛下が耐え切れずに名乗り出た所を討て。ディアスが言っているのはそういう事だった。


「しかし、マクシーム陛下と争わせる次期国王を彼等の自薦に任せるのは時がかろう。こちらから他薦させて貰おうではないか」

「他薦ですと?」

「ああ。尤も、我らが推薦するまでも無く、当の本人は以前から次期国王を望んでいたようだが」

 その言葉に、今度はディアスが笑みを作る番だった。

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