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愚者達の戦記  作者: 六三
皇国編
225/443

第135話:決戦

「叩き潰せ!」

「うぉぉぉっ!!」


 コスティラ王国軍総司令ベヴゼンコの怒声に、コスティラの巨人達が雄叫びをあげた。戦いは矢戦から。その常識を破り、いきなりの突撃。自分達の出現に相手が迎撃の準備を整える前に乱戦に持ち込む。ベヴゼンコらしい強引な、しかし一理ある判断だったが、物質的な理由も存在した。


 実はこの時、コスティラどころか、敗走しつつこの戦場に急行した4ヶ国の軍勢は矢をほとんど持っていなかった。弓兵は肩に背負えるだけの矢を背負い、使い果たせば補充する。その矢は普段は荷馬車に載せており、戦時には傍らに山と積んであった。


 だが、彼らは敗走して来たのだ。矢の山など担いでは走れない。中には、逃げるのに重いと背負った矢すら投げ捨てた不届き者もいた。それを敵に察知されれば、敵は徹底的に矢戦に持ち込む。それをさせる前に乱戦に持ち込む必要があった。


「平地での指揮はベヴゼンコ殿が、一番上手いのではないかな」


 コスティラ軍の戦いぶりをディアスがそう称すと、准士官として従軍する従弟のケネスが驚きの声を上げた。


「え? ディアス総司令よりもですか? あの……僕から見るとベヴゼンコ総司令は力任せに突っ込んでいるだけに見えるのですけど……」

「上手い指揮とは、敵に勝つ指揮だよ。100回戦って100回力任せに突っ込んで100回勝てるならば、それが一番の指揮という事さ。もっとも、強靭なコスティラ兵を率いているからこそとも言えるが」

「なるほど……。でも、だったらディアス総司令がコスティラ兵を率いたら、もっと強いんですよね?」


 納得しつつも、やはり、ディアスが一番。その考えを捨てきれぬケネスは食い下がる。従弟の妄信にディアスは苦笑するしかない。それにディアスの発言にも裏はある。平地での戦いとは言うなれば正面からの力比べ。そしてディアスは、コスティラ軍と戦うならば決して平地を戦場に選ばない。結局は、そういう話だ。


「さて、どうかな。じゃあ、そろそろこちらも動こうか」

「はい!」


 バルバール軍は、コスティラ軍の突撃に皇国軍が混乱しているのを幸いに、なけなしの矢を打ち込み、更に皇国軍が混乱するとその隙を突き皇国軍の隊列に張り付いた。カルデイ帝国軍、ベルヴァース王国軍も取り付く。そしてランリエル軍も動く。


「後方の軍勢が皇国軍に攻撃を開始しました」

「コスティラ外人部隊を突撃させよ!」

「は!」


 退却など考えぬ全面攻勢だ。温存に温存したコスティラ外人部隊をついに動かした。ランリエル人士官に率いられた彼らは、思い思いの武器を手に皇国軍に突入した。


「士官だ! 貴族の士官をやれ! 皇国貴族の甲冑は金になるぞ! 殺して奪え!」

「おぉぉぉっ!」


 山賊の頭が如く隊長達が叫ぶ。綺麗ごとをいう余裕はない。士官を打てば指揮系統が崩壊する。その意味もあるが、皇国貴族達を多く討ち、戦いとは一方的に相手を殺すものではなく自分も殺されるのだ。その現実を皇国に叩きつける。攻めれば多くの被害が出る。ランリエルを攻めるのは割に合わぬ。それを思い知らせるのだ。


「さ、下がれ、この下郎ども!」


 胸に金で象られた鳳凰を飾るカルレオン伯爵は、剣を振りかざし群がるコスティラ兵を必死に防いだ。こんなはずではなかった。皇国軍が進むところ、敵は矛を投げ出し逃げ散るのではなかったのか。悠々と敵国に入り思うように侵略する。そのはずではなかったのか。


 いや、自分とて皇国軍人。戦いとなれば怯まず戦う。その覚悟はあった。今まで戦ってきた。戦えばこちらにも被害は出る。それも当然だ。しかし、最後にはどうせ皇国軍が勝つ。そのはずだ。そう信じていた。だが、まさか、まさか皇国軍が負けるのか。そんな馬鹿な!


 カルレオン伯爵は、現実を受け止められぬまま大地に屍をさらした。その甲冑は全て剥ぎ取られていた。


 30万対34万。実際、数の優位を誇るほどの差ではない。しかも、ランリエル配下の4ヶ国の軍勢は物資を投げ捨て敗走し駆けて来たのだ。装備不足は否めない。だが、敵を包囲する。合戦においてこれ以上の優位はない。戦いの流れはランリエル勢が圧倒的に優勢だった。



 皇国軍総司令バルガスの元には、戦況を報告する伝令が列をなしていた。


「ドローレス連隊隊長ドローレス伯爵、討死!」

「クビレス大隊隊長クビレス子爵、討たれました!」

「第三師団第二連隊隊長フエンテス、討死!」


 指揮官討死の報が続く。兵を率いる諸侯は、隊には自分の名をつける。番号で呼ばれるのは皇国直属兵の部隊だ。


 バルガスの顔に屈辱が刻まれる。偉大なる皇国軍が敗れる。予想だにしなかった悪夢。だが、現実から目を背ける事は出来ない。無能な司令官として歴史に名が残る。皇国の名門として生まれた。それが、もはや我が家はその名を地に落とす。一族に、先祖に顔向けが出来ない。


 いっそ、敵に突撃し最後の名誉を守るか。いや、それは責任放棄だ。まだ兵士達は戦っている。最後の最後まで皇国軍総司令としての己を保たなくてはならない。それこそが真の名誉だ。


 しかしこの劣勢を挽回するのは不可能。如何に被害を少なく撤退するか。もはや、それしかない。敵陣のどこが抜けるか。そして、その命令は誰が受けるのか。


 ランリエル勢は士官を狙い撃ちにしている。指揮系統はすでにずたずたとなり、命令を与えても指示通りに動けるのか。だが、自分は皇国軍総司令。最後の最後まで最善を尽くすのが使命だ。


「俺に続け!」


 50を超えたバルガスが愛馬に跨り、若い士官さながら猛々しく吼えた。既に細かい指揮が出来る状況ではない。俺に続け。太古の昔の蛮人の戦いのように、その単純明快な命令を発した。


「バ、バルガス総司令。私はどうすれば……」


 青ざめるブリオネス王を無視した。どうせ黙っていても後に付いて来る。今は、無駄な時間を過ごしている暇はないのだ。


 だが、どこを突破するか。目の前のランリエル軍は敵の最大戦力。コスティラ兵は勇猛果敢。バルバールは敵の第二戦力だ。カルデイ帝国軍総司令ギリスは手強いと聞いている。ベルヴァースだ!


 皇国軍が、ベルヴァース軍に襲いかかった。既にかなりの損害を出し、命令も行き届かず付いて来る兵も全軍ではない。だが、それでもベルヴァースとは比べ物にならぬほどの大軍だ。守りに強いと言われる総司令テグネールとて、その能力には限界がある。


 ベルヴァース軍には、形だけとはいえルージ王子が従軍していた。与えられた大隊もルージ王子に指揮させるというより、護衛の意味でしかなかった。そして、この戦いの前、ルージ王子は本来の大隊長にこう聞いたという。


「大隊長って何をすれば良いの?」


 隊長は答えた。


「敵が来ても引かぬ事です」


 その言葉の通り、ルージ王子は引かなかった。敵の大軍の圧力に周りの騎士達が顔を青くするなか、踏み止まり続けたのである。そして、この戦いの後ベルヴァース騎士達はこう語った。


「だってよ。王子様が逃げねえのに、俺達が逃げる訳には行かねえだろ」


 ベルヴァース軍の思わぬ抵抗を受けた皇国軍は、やむを得ず矛先を変え、ベルヴァース軍とカルデイ軍との間に隙を見つけてかろうじて退却した。だが、ランリエル勢はさらに追撃を行い被害を拡大させる。皇国軍が後方にいる衛星国家の軍勢と合流した時には、僅か数万となっていた。とはいえ、他の者達が全て戦死したのかと言えば、そうではない。散り散りに逃げ生き延びている者も多数だ。


 だが、ランリエル勢は徹底していた。この戦いは勝利を得る為の戦いではない。如何に多くの皇国兵を殺すかの戦いだ。皇国軍の追撃を諦めたランリエル勢は、その散り散りに逃げた皇国兵の掃討を行ったのだ。皇国軍の万一の逆襲を警戒しつつ、軍勢を数千、数百単位に分け、石の裏を探るように皇国兵を狩り出し討った。ここで敵兵に情けをかけ、その挙句に祖国を蹂躙させる訳にはいかない。


 地を這うようにして逃げ延びた皇国兵は極僅か。この戦いで皇国軍は十数万の兵を失ったのだった。



 皇国軍敗れる。皇国軍本陣でその報を受けたナサリオは、手にした書類を取り落とした。


「それは、何かの間違いではないのか?」


 その口調は、本当に間違いに違いない。そう信じているかのようだった。だが、伝令の騎士に向ける視線は、微妙に焦点があってはいなかった。


「そ、それが……。間違いないとの事です。さらに、ルハン公爵家のご嫡男バハルド様を始め、貴族の方々も多く討死なされたとか……」


 ルハン公爵家は、皇祖が部下を衛星国家の国王に任命した時に最後までその選に残っていたとも言われる皇国開闢以来の名門だ。その嫡男が戦死した。直接利害関係のない伝令の騎士すら、ただ事ではないと青ざめる。


 奈落に落ちるような眩暈がナサリオを襲った。数瞬の思考の空白。その後に、怒涛のように現実が襲い掛かった。


 皇国軍が敗れただと! 皇国軍は不敗ではなかったのか! なぜ負ける! バルガスは何をやっていた! 確かに、確かにこの討伐軍の統括者は自分だ。しかし、実際に指揮をしていたのはバルガスではないか。自分の責任ではないぞ。


 いや、分かっている自分の責任なのだ。敗戦の責は免れない。だが、どうする! どうすればいい!


 冷静に、冷静になるのだ。惑わされるな。衝撃に惑わされるな。皇国軍が負けた。自分は今、その報告に動揺している。落ち着け。大局を見よ。自分はグラノダロス皇国宰相だ。この程度の状況、何ほどでがあろうか。落ち着き対処せねばならない。それには正確な情報が必要だ。


 落ち着け。落ち着け。


 ナサリオとて巨大皇国を支えてきた男である。その能力は軍事、政治、他の方面との違いはあれど、アルベルド、サルヴァ王子などに劣るものでは無い。大きく息を吸い、身体中から騒ぐ気を吐き出した。徐々に理性的な政治家の顔を取り戻す。


「被害は、どれほど出たか。皇国軍、衛星国家の軍勢、それぞれを正確に述べよ」


 その声にはまだ荒いものが混じっていたが、十分落ち着いていた。


「は。皇国軍本隊は、死傷者12万を超えます。また、カスティー・レオン王国軍に2万近い死傷者。アルデシア王国軍は2万5千に達するとの事です。他の衛星国家の軍勢には、大きな被害は出ておりません」


 合わせて17万近い損害。それがどれほど影響が出るか。


「お主は連絡将校であろう。お主の目から見て残った兵でランリエルに対抗出来ると思うか?」


 質問されるたびに、前線までお伺いを立てに行ったり来たりは現実的ではない。その為、連絡将校は戦況を正確に伝えられるように、戦略、戦術に明るい。


「17万を失ったとてまだ45万の兵が御座います。そしてランリエルは30万余。数ではいまだ優位ですが、問題は多くの士官を失った事です。指揮系統が断絶され、数ほどの力が発揮出来ないのが現状。ただ、それでも我らが優位には違いありませんが、圧倒する、というほどでもありません」

「具体的にどの程度の力を発揮できる? 軍勢の数としてだ」

「……40万程かと」


 連絡将校の答えは少し迷いがありそうだ。まあ、仕方があるまい。流石に即座に答えられる質問ではなかったか。では、多少、少なめに見ておくのが無難か。


「では、念の為35万と見て、それに我が本陣15万が合流すればどうか。ランリエルに対抗できるか?」

「は。当初の前線の戦力は、皇国軍60万余。ランリエルは40万足らずでした。その結果、皇国軍は連戦連勝でした。それを考えれば、現在は本陣を合わせ50万。ランリエル30万ですので、十分かと。ただ、本陣を狙われる危険は付きまといます」


 本陣が狙われるか。だが、やむを得まい。命が惜しくて本陣を切り離したのではない。本陣が弱点となると考え切り離したのみ。ここに至っては、そうも言ってはいられまい。


「全軍を出発させるぞ。準備をさせよ」

「はっ!」


 まだ、終わった訳ではない。こちらにはまだ十分な戦力がある。確かに負けたが、それは大局の中の一敗でしかない。次で勝てば、その一敗も帳消しだ。皇国軍は勝たねばならぬのだ。



 皇国軍本陣が撤退するどころか軍を進めてきた。その報告に、サルヴァ王子ら総司令達は戦慄を覚えた。十数万の被害を与えたが、そこに本陣15万が合流しては戦力的には元の木阿弥だ。


「あれだけの士官が討死して、皇国軍はまだ戦えるのか?」

「被害を受けた軍勢を切り離し、組織的に動ける軍勢だけで編成するのかも知れません。それだけでも我が軍を大きく上回るのですから」


 サルヴァ王子の疑問を解決したのはギリスだ。もっともこれは推測に過ぎないが、十分説得力があった。ディアスやテグネールも頷いている。


「皇国軍が引かぬとは予想外だったな」

「はい。しかし、嘆いても仕方ありません。皇国軍が来るならば迎え撃つまでです」

「分かっている。問題は、どう迎え撃つかだ」


 同じ手は利かぬ。とは、言うまでもない。


「こうなっては、やはりディアス殿が言っていた手を打つしかないのでは」


 ディアスの手とは、皇国兵10万を殺す為に、ランリエル勢の兵30万を死なせる。という策だ。しかし、すでにランリエル勢はその30万を僅かに超える程度でしかない。先の戦いは大勝利だったが、それでも激戦に死傷者は多かった。


「結局は、それしかないという事か」

「しかし、サルヴァ殿下の策が無ければ、皇国軍10万を殺す代わりに30万を失った挙句、更に戦いは続いていた可能性もありました。殿下の策は決して無駄ではありません」

「それは分かってはいるのだが……」


 ディアスの言葉に王子が頷く。


 あまりにも不利な消耗戦。それをさせぬ為に、必死で戦い皇国軍を撃破した。にもかかわらず戦いが続くとは。頭では分かっていても、やはり、虚無感を覚えるのも事実だ。


 嵐が過ぎ去ったかと思えば、すぐに次なる嵐が来た。確かに初めの嵐ほど大きくはない。だが、こちらの地盤は前回の嵐で傷付いている。僅かの力で押されれば脆く崩れ去るのだ。


 しかし、戦い抜く。どのような不利になろうとも諦める気はない。勝てぬなら勝てぬ事すら武器とする。必ずやランリエルと、私が巻き込んだ国々を守り通してみせる。


 その、守らんとする国々も、いざとなればランリエルを見捨てる。それを裏切りとは思わない。力ずくで従えたのだ。力が無くなればその手を振りほどこうとするのは当然だ。だが、それでも守る。そう決めた。


 だが、王子の決意は、その相手を失った。皇国軍が急遽後退したのである。このまま戦えば皇国軍は有利だったはず。本当に撤退するのか、追撃を誘っているのか。


「自分達は罠を恐れ追撃を禁止しておきながら、追撃を誘うとは思えんがな」


 憮然とするベヴゼンコの思いがけない慎重な意見に、ディアスが意外そうな視線を向けた。総司令達の中では比較的礼儀正しいギリスや老練なテグネールも表情には出さないが同じ思いだ。


「ならば、なぜ撤退する」

「一旦は軍勢を前に進ませて来たのです。後ろ髪を引く者がいるのでしょう」


 サルヴァ王子の問いに答えたのはギリスである。


「本国からの帰還命令という事か……」

「大損害を出しても前線の者達は堪え戦意を失いませんでしたが、後方はそうではなかった。おそらくは、ですが」


 総司令達が頷き、追撃はせぬ事も決まった。ギリスの推測が正しく、戦闘意欲を残したままの撤退ならば下手に追撃するのはまずい。敵から攻撃を受けた為やむを得ず、と本国からの撤退命令を拒否する絶好の名目を与えかねない。こちらは、ここまでが限界なのだ。


 皇国軍が撤退するのを静かに見守り、勝利の祝杯をあげたのは皇国軍がケルディラ国境を超えてからだった。


 各国の要人を集めた祝勝の宴は改めてランリエル王都で行うが、とりあえず総司令達だけを集めた。戦場で贅沢をする為ではなく、勝利した時にと用意していた年代物の葡萄酒をそれぞれの杯に満たす。


「何とか勝ちましたな」

「ああ。また皇国軍が来ないとは限らん。だが、とにかく今回は勝った」

「はい」

「では」


 王子が杯を掲げると総司令達も倣い、一気に飲み干した。


 酒が進み、テグネールが祖国の酒を皆に振舞いたいと言い出した。皆は頷きベルヴァース産の果汁を入れた酒を舌に転がした。果汁が入っているだけあって甘口だが、それだけに飲みやすい。だが、ベヴゼンコはあまり気に入らなかったのか、1口付けた後はしばらく飲まず、他の者達が飲みきってから一気に飲み干した。口当たりは良いはずにも関わらず、その表情は酢でも飲んだかのようだ。


「ならば、次は我が国のヴォトカ(蒸留酒)を飲んでいただこう」

 と言いながらも、本心は自分の好きな酒で口直しがしたいのだろう。


「ほう。それは楽しみだ」


 だが、王子の視線が微妙に他の総司令達に泳ぐ。総司令達もその視線に気付いた。


「それでは、持って参りますので、しばしお待ち下され」


 ベヴゼンコが自ら酒を取りに行き姿が見えなくなると、サルヴァ王子は何とも複雑な表情を皆に向けた。


「私の記憶違いでなければ、ヴォトカとは消毒液の名ではなかったか?」

「私も消毒液と記憶しております」


 答えたのはギリスだ。テグネールも頷く。


 軍隊では傷を負った時に、アルコール度数の高い液体を消毒液として使用する。ヴォトカもその1つとして認識していた。


「我が国はコスティラとは隣国なので聞いた事があります。コスティラでは酒として飲むそうです」

「……飲めるのか」


 サルヴァ王子は愕然と呟くように言った。


「飲めるのかどうかは、私も試した事はありません。ですが、彼らは飲むそうです」

「それは、コスティラ人だから飲めるのではないのか?」

「それは……私からは何とも」

「しかし、ベヴゼンコ殿はその消毒、いや、ヴォトカを私達に振舞う気です」


 本当に消毒液を飲まされるのかと王子と総司令の額に汗が浮かぶ。


「ですが、楽しみと言ったのはサルヴァ殿下だけですので」


 愕然とする王子の視線の先に居たのは、意外にもテグネールだった。

とりあえず1つの山場が終わりました。

評価は完結してから、とお考えの方も多いとは思いますが、一旦この時点での評価をいただければ、執筆のモチベーションも上がります。


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