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愚者達の戦記  作者: 六三
皇国編
204/443

第115話:サルヴァ王

 その日、サルヴァ王子はカルデイ帝国へと向かっていた。随行は少人数であったが、それは大国の王子としては、である。6頭の白馬に引かれる煌びやかな巨大な馬車とそれを守る2百の騎士、5百の兵士は、小国の国王のそれを上回る威風である。


 カルデイは大陸の最東端に位置し、僅か数年前まではランリエルに匹敵する大国として君臨していた。それが皇帝ベネガスの野心から隣国ベルヴァース侵略の軍を起こし、結果、ベルヴァースへの救援を行ったランリエルに敗退。その後、帝都までランリエルに占領され、今では実質ランリエルの属国と化していた。


 帝国とはそもそも複数の国を纏める国。にもかかわらず、以前のカルデイはその称号に反し、皇帝の下に諸侯のみが居る体制であり、どこが帝国なのか分からない、と、ランリエル人に嘲笑されていたものだ。だが、今ではカルデイ国内に貴族達の独立国家が乱立し、公国どころか伯(爵)国、子(爵)国、男(爵)国まで存在する。


「これでカルデイは名実共に帝国であろう」

 ランリエルに敵対出来ぬ小国にする為、カルデイを細切れにしたサルヴァ王子はそう嘯≪うそぶ≫いたという。


 王子の腹心の外交官サントリクィドにより、王子の訪問はカルデイ官僚との間で詳細が詰められていた。予定通りに帝都ダエンに到着したサルヴァ王子を、カルデイの文官、武官どころか、多くの貴族達が出迎えた。


 ランリエルに制圧された当初は、いずれは力を蓄えランリエルの支配から独立してみせる! という気概のある者も多かったが、その後ランリエルが、バルバール、コスティラにまでその勢力を広げると、その気概も打ち砕かれたのである。


 今では、過去を懐かしむなど老いたる印。未来は自らの手で掴み取るものぞ。と、もっともらしい言葉で自己正当化し、ランリエル勢力下での繁栄を得ようと躍起になっている。


 軍事の最高責任者は軍務大臣だが、彼は文官の列の3番目に並んでいる為、武官の列の1番目はカルデイ帝国軍総司令ギリス・エティエである。黒い短髪と瞳を持ち、背は高いとは言えないが鍛えられた身体は周囲を圧するに足りた。王子が謁見の間に入り視線を向けると臆する事無く視線を返し、他の者が気付かないほど小さく頷いた。


 王子はそのまま進みカルデイ皇帝が座する玉座の前で跪くと、皇帝は、かつてはランリエルに戦いを挑んだとは思えぬほどの媚びた笑みを浮かべる。


「これはサルヴァ王子、よく起こしになられた。このベネガス。嬉しく思いますぞ」


 この短い挨拶が皇帝の立場を妙実に表していた。皇帝の一人称は’余’だが、サルヴァ王子を慮ってか使用を避けた。だが、その反面、王子の敬称である’殿下’を使わずサルヴァ’王子’である。


 皇帝が自身で考えたのか、官僚達が考え皇帝に覚えさせたのか。おそらく後者であろうな。と思い、サルヴァ王子も無難な返答を行う。型から外れた言葉をかければ、ベネガス皇帝は返答に窮し喋られなくなる。


「ベネガス皇帝陛下のご尊顔を拝し、これ以上の喜びは有りません。お招き頂きお礼申し上げまする」


 実際は招かれたのではなく、王子の意思で来たのだが、まあ、こう挨拶するものだ。


 その後も型通りの言葉の応酬を無事に終え、王子は謁見の間から退室した。今日はそのまま身体を休め、歓迎の式典などは翌日以降である。だが、その夜、王子は身体を休めずある男を部屋に招いた。


「お久しぶりです」

「久しぶりだな。ケルディラとの戦い以来か」

「はい」


 そのような挨拶を交わしながらギリスはウィルケスに勧められ王子の向かいに座った。2人の間にある小さな円卓には既にギリスの分の酒が置かれていたが、ギリスはそれに手を伸ばさなかった。


「以前話した、我がランリエルを戦いに引きずり込もうとしている者についてだが、ギリス将軍は目星は付いたか?」

「それは、ここまで来れば殿下もお気付きでしょう」


 確かにケルディラとの戦いから歳月が経っている。その間にも多くの事件が起こっているのだ。サルヴァ王子ほど聡明な人物ならば、既に気付いているだろうという思いがギリスにはある。もっともギリスとて善人ではない。もしサルヴァ王子が解答を――自分の解答が正解だという前提だが――間違えば、王子から一本取れるという皮肉めいた思いもある。


 もっとも王子もそれを察してか

「いや、ギリス将軍の考えが聞きたいな」

 とかわす。


「デル・レイ王国のアルベルド王で御座いましょう」

「私もそう睨んでいる」

 ギリスも顔に薄く人の悪い笑みが浮かぶ。後から言えば間違いない。


「問題はなぜアルベルド王が、悪戯にランリエルに敵対するかです」

「ああ。それがまだ私にも謎だな。ギリス将軍には何か気付く事があったのか」


「敵を強し弱を集す。というところでしょうか。敵を強くする事により自らの味方を増やす策でしょう。実際、アルベルド王は殿下に負けたにもかかわらず、その勢力を拡大しております」

「確かに、戦いは私が勝ったが、今ではロタまで巻き込んでいる」


「後は、名声かと」

「名声?」

「は。暴虐なるランリエルに抗う稀代の聖王。その名声で御座います」


 自らの勢力を拡大する為に他を悪者として糾弾する者が、真の善人だろうか? 戦い負ければ多くの者が死ぬ。にもかかわらずその政≪まつりごと≫は聖人が如し。そのずれがギリスには作為的に見えた。


「名声か。自らの名声を得る為に我がランリエルを戦いに引きずり込み、その名を汚したか」


 王子の胸中を怒りが満たす。だが、その炎は行き場の失い王子の心を燃やし尽くさんとする。いっそ、叩き潰してやろうかという怒りを、それをしては相手の思う壺という理性が押し留める。


 だが、アルベルドの真の狙いはその先である。自分は前皇帝の五男。三男、四男は既に亡く皇位継承権は3位だ。そして今は長男だったパトリシオが皇帝となり、次の皇帝はその息子であるカルリトス。そしてナサリオ、アルベルドと続く。アルベルドが皇帝となるには、反ランリエルとして広げた勢力、そして名声。その順位の差を埋める有形、無形の力が必要なのだ。しかし、サルヴァ王子もギリスも今はまだそこまで気付いていない。


「とにかく今は、アルベルド王の挑発に乗らぬ事。それしかありません」

「分かっている」


 だが、拳は強く握り締められ、瞳はギリスを見ていなかった。


 その後、お互い情報を提供しギリスは部屋を辞した。酒は最後に形だけ口を付けた。


 翌日には、王子を歓迎する祝典が行われ帝国中の貴族が一堂に会した。もっとも、これを機会に王子と親しくなりたいというその思惑は外れ、サルヴァ王子は皇帝ベネガスの隣に設えられた席から動かず、皇帝と親しげに談笑するばかりである。


 如何に帝国の大貴族といえど帝室の儀礼として、皇帝の席に自分からは近づけない。皇帝から呼ばれるか、皇帝が来てくれるのを待つしかないのだ。


 結局サルヴァ王子と言葉を交わせたのは、皇帝が席まで招いた今でも帝室に忠誠を誓う数名の貴族のみ。最近では媚を売るならランリエルと軽視されていた皇帝だったが、思わぬ形で見直されたのだった。


 その後もサルヴァ王子は皇帝と親しくした。他にも有力貴族から舞踏会に招かれ参加もしたが、ある時など、一度は出席と返答した舞踏会を皇帝陛下から明日一緒に狩りがしたいと誘われたからと出席を取り止めた。舞踏会には丁寧な謝辞の使者が送られた為主催した貴族の面目は保たれたが、王子と皇帝との力関係を考えれば後から来た皇帝の誘いなど断れるはず。


「サルヴァ殿下と皇帝のこの親しさは、いったいどうしたというのだ?」

「口を慎め。皇帝陛下だ。聞いた話だが、サルヴァ殿下は皇帝陛下を我が父とも思うと言っているそうだ」


「おお、そう言えば、何年か前にサルヴァ殿下が我が国に来た時もそう言っていたな。ただの社交辞令かと思っていたが、まさか本当なのか?」

「かもしれん。とにかくサルヴァ殿下と親しくなるには、まずは皇帝陛下のご機嫌を伺わなくてはならん」


 最近ではすっかりと地に落ちていた帝室の権威が戻り皇帝は機嫌が良かった。そもそも地に落ちたのはサルヴァ王子がカルデイを征服したからなのだが、それが、その張本人に尊重され権威が戻ったのは皮肉である。


 そして、そのような日々を過ごしたある日、ある式典が行われた。ベネガス皇帝は、式典用に代々伝わる王冠、宝玉が飾られた杖と外套を見に付け式典の会場で、ある者が入ってくるのを待った。その左右には大臣、官僚、貴族らなどが立ち並んでいる。


 そこに白地に金の刺繍を施した礼服を纏ったサルヴァ王子が現れた。腰に下げる剣は金の鞘だ。皇帝の前まで進み跪く。その肩に皇帝が杖を置いた。


「サルヴァ・アルディナにセルミアの地を与えセルミア王に奉じる」

「謹んで拝命致します」


 奇妙な事になった。帝国は王の上に立つ。少なくとも制度上はそうだ。ゆえにその皇帝が臣下を王に任命するのは問題ない。奇妙なのはその上下関係である。


 カルデイはランリエルの属国である。その王子はカルデイ皇帝より上であろう。しかしその皇帝に奉じられたセルミア王は、カルデイ皇帝の臣下。だが、セルミア王はランリエルの王子。螺旋の蛇。その関係はループするのだ。


 セルミアは12ケイト(約102キロ)四方と広大だが、僅か数年前までは敵対していたランリエルとの国境に位置する。住む者は少なく開発も進んでいない。無論、それでも帝国にとって取るに足りぬ土地ではないが、失った帝室の権威をサルヴァ王子、いや、セルミア王国のサルヴァ王を臣下にし取り戻せる。そう悪い取引ではないのだ。


 式典の後、サルヴァ王子は領地として賜ったセルミアに向かい、各国にも通達の使者が放たれた。祝賀の返答を送ってくれば、それはセルミア王の戴冠を認めたという事だ。


 セルミアは元々はカルデイの直轄領であり、領主は居ないが変わりに代官が居た。行政だけではなく拠点防衛の役目もあるので、それなりの規模の城である。サルヴァ王子改めサルヴァ王はとりあえずそこを居城と定めた。


「とはいえ、ここを王都とするには寂れていますね」

 ウィルケスの感想は容赦がない。


「行政、治世の観点ではなく、防衛を主眼に置いた建設だからな。王都は改めて定める。ここはあくまで仮の居城だ」


 とはいえ、それが出来るのも数年先。急ぎ各国の使者を招いても恥ずかしくない程度には整えた。その後、まるで待っていたかのようにその各国の使者が訪れる。


 ベルヴァースやバルバール、コスティラといったランリエル勢力は勿論、ドゥムヤータ、ブランディッシュも大使を派遣し、セルミア王戴冠の祝辞を述べた。デル・レイ、ケルディラ、ロタは非難の書面を送ってきた。ちなみにこの時はまだ、ドゥムヤータとブランディッシュは戦闘を繰り返している。


「問題は皇国が認めるかですね。いくら他の国々が認めてくれても、皇国が首を振ったらどうにもなりません」

「皇国は自らへの侮辱や敵対行為以外には、寛容どころか他国の事など全て些事。という態度だからな。コスティラとケルディラとの統一戦にも不介入だったし問題はないはずだ」


「ですが、よくこんな策を思いつきましたね。だったら、もっと早く行えば良かったのに」

「ふっ」

 とウィルケスの質問を流した王子だが、本当のところを言えば、単にカルデイ帝国が帝国なのだという事を迂闊にも失念していたのだ。


 カルデイ帝国という名称を忘れていたのではないが、ここ数年ランリエルの属国として見ていた為、帝国という意識がすっかり頭の中から消えていた。それをランリエルに亡命した時のカーサス伯爵を思い出し今回の策が閃いた。迂闊といえば迂闊だが、サルヴァ王子とて人の子。完璧ではない。


 そして皇国からも返答が来たが、祝辞の大使ではなく、ただ、好きにせよ。との言葉だけだった。外交的には考えられぬほどの傲慢な態度だが、サルヴァ王子は

「まあ、こんなものだろう」

 と気にしなかった。


 とにかく皇国から黙認だろうとなんだろうと、認められさえすれば良いのだ。そうすればデル・レイら反ランリエルが反対し、如何にセルミアが領土の小さな国でも、公式の場ではセルミア王国のサルヴァ’王’だ。


 そして皇国からの返答を確認するかのようにゴルシュタット、リンブルクからもセルミア王戴冠の祝辞を持つ大使が派遣されたのだった。


 各国の返答をセルミアにて受けた王子は、ランリエルに戻った。父であるクレックス王には、出立前に話をしてあり上機嫌である。


「お主に位を並ばれたか」

 と軽口すら飛ばすと、改めて、サルヴァ王子のランリエルの王位継承権は変わらずと宣言したのである。


 そしてサルヴァ王子は新たなる人事を発表した。玉座にはクレックス王が座り、その右前にサルヴァ王子が立つ。左右は文官と武官だ。現在は無役でも新たに任命される場合もあるので貴族達もいる。


 能力に自信のある者は期待に胸を膨らませ、失態の覚えある者は落ち着きが無い。その中でサルヴァ王子が口を開く。


「ランリエル王国宰相ヴィルガは、その任を解く」


 文官達がざわめいた。宰相が職務で失態したという話は聞いていない。もしかしたら私的な事で王子のご不興を買いその腹いせなのか? と、同情の視線が宰相に集中する。だが、宰相には心当たりがある。


 自分がサマルティ王子を推す勢力の首魁であると露見したか。だがなぜだ? もしかすると誰かが裏切ったか? 動揺を隠してはいるが、動悸は激しくなり立っているのがやっとだ。冷たい汗で背中が濡れる。


「代わりにセルミア王国宰相に任ずる」


 文官の列が再度ざわめき、武官、貴族の列もざわめく。


「セルミア王国……」

「カルデイ帝国のベネガス陛下からセルミア王に任じられたが、私は国を空ける事が多い。人口は少ないが入植し開発すれば豊かになる土地だ。全て一任する。お主の思う通りにやってみよ」


 ヴィルガは理解した。やはりサルヴァ王子は、自分がサマルティ王子を推す勢力の首魁だと知っている。そして、もう1つ分かった。自分は、サルヴァ王子の器には遠く及ばない。


 宰相になったにもかかわらず能力が発揮出来ない。その不満からサルヴァ王子に反発した。それを、能力が発揮出来る場を与えるというのだ。自分を裏切った者にである。そしてそれが甘い対応なのではなく、計算されたものである事もヴィルガは理解していた。


 確かにヴィルガが王子と敵対したが、それはサルヴァ王子の弟サマルティ王子を担いでのもの。それを表立ってヴィルガを罰してはその理由も公表しなくてはならない。第一王子と第二王子が王位継承権を争い水面下で激しく争ったという醜聞をだ。


「謹んで、お受けいたします」

 ヴィルガは深く頭を下げた。実際、断れる状況ではない。だが、既にヴィルガにはサルヴァ王子と争う気はない。


「お主の力を存分に発揮せよ」


 ヴィルガほどの者が心血を注げば間違いないはずだ。農民でも次男三男の者達は土地を相続できず、長男の下人のような生活を強いられるのが現実。その者達を集め入植させれば人口は増える。手付かずの土地だからこそ、思うままに出来るともいえる。無論、好きにせよとは言ったが、玩具を投げ与えたのではない。もし失敗すれば、その時は相応の罰は与える。ヴィルガもそれは分かっていよう。


 その後、後任のランリエル王国の宰相や他の人事も発表した。次はセルミア王国の爵位の授与だ。


「セリオ伯爵にセルミア王国の侯爵位を授ける」


 セリオ伯爵は驚きヴィルガに視線を向けると、相棒は頷いた。それだけでセリオも察した。サルヴァ王子は自分達とサマルティ王子を切り離す考えだ。


 サマルティ王子を推す2人の首魁がランリエル王宮を去れば、その勢いは失われる。サマルティ王子は、自分を見捨てるのかと憤慨するだろうが任務ゆえと逃げるしかない。


「謹んで、承ります」

「伯爵、いや、侯爵はヴィルガ宰相のご友人と聞く、宰相の力になって欲しい」


「はい。領地に赴き尽力致します」

「あまり大きな領地を与えられる訳ではないが、よろしく頼む」


 そのやり取りに、居並ぶ貴族達は驚きの声を上げた。


 必ずしも領地と住処が同一場所である必要はない。領地の運営は家人に任せ王都に住み続ける貴族は数多い。ましてやセリオはランリエル内にも領地がある。どうしてわざわざカルデイの、しかも、出来たばかりの小国の、侯爵領とは名ばかりの更に小さな領地に行くのか。だが、サルヴァ王子、ヴィルガ、セリオ、この3人は理解している。


 その後も十数名のセルミア貴族が新たに生まれた。ほとんど名ばかりの小さな国の爵位など得ても実利は少なく、名誉的な意味が大きい。


 そしてその小さな国で、サルヴァ王子が小さな我侭を通した。

 アリシア・バオリスに男爵位を授与する。

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