第34話:前哨戦の虚実
焦土作戦。大軍に対し寡兵では敵しえない時の定石ともいえる戦略ではあるが、それを実行するにはいくつか条件がある。
まず効果があるか、というのが第一にあげられる。
焦土作戦とは、遠征してきた軍勢に食糧、燃料を現地調達させず、敵の補給に打撃を与えるというものだ。しかしそれには敵が補給に苦しむ条件、つまり長い道のりなり、踏破困難な険路なりが必要となり、それが両方そろえば最も効果的だ。しかしその片方すら満たさず、敵が楽々輸送出来るのであれば意味が無い。
そして次にあげられるのは、その準備を行うだけの時間的余裕があるか。
単に住民が持てるだけの食料を持って非難するというものではない。木々を燃やし、時には井戸に毒を放り込む。それにより敵は食糧は有っても煮炊きず、時には空腹に耐えかね生で食し疫病が発生する事もある。しかしそれも、それだけの作業を行う時間的余裕があればの話だ。
そしてもう一つ上げるとすれば、焦土と化す地域の領主の協力が得られるかだ。
「焦土作戦など冗談では有りませんぞ!」
ケルディラ軍総司令部で行われた対ランリエル作戦会議により焦土作戦を取ると決定され、グラチェフ子爵が叫んだ。ケルディラ人にしては小柄だが、それでも一般的なバルバール人程度の身長がある。
戦いともなれば多くの貴族達が出陣する。その為、勇み自ら作戦が決まるのを待つ男爵や、公爵から作戦を聞いて来いと言いつけられた老執事、代理に出陣するお抱えの武人など、多彩な人々が王宮に集まっていた。
そしてランリエル軍が南東方向から侵攻してくる気配があるとの報告に、その地域を焦土と化すという作戦がたてられたのだ。敵の補給に打撃を与えつつ、ケルディラを東西に分けるテレス川を挟んで対峙し持久戦に持ち込む。いかな大軍とはいえ、川を盾にすればそうそう負けるものではなく手堅い作戦である。
だがその地を領する者達にしてみれば、焦土作戦と命じられても、素直にうなずけるものではない。
グラチェフ子爵には、いや、グラチェフ子爵家には悲願があった。彼の領地にはテレス川の支流が幾筋も流れている。大雨が降ると氾濫を起こし、その度に作物は水に沈み、根を腐らし飢饉になる。
子爵の父は良き領主だった。領民が苦しむ姿を見かね、その複数ある支流に対策を講じる決意をした。ある場所では川の流れを変え、別の場所には堤防を作る。その堤防を補強する為木を植えた。木々は根を張り巡らせて土を固める。だがその作業の途中にも大雨が降り、すべてが台無しになる事も数え切れない。
工事は難航を極め、遅々として進まない。そうしている内に、工事の完成を待たずグラチェフ子爵の父は病に倒れたのだ。
「必ず、必ず! 工事を……完成させるのだ」
病の床ですっかりやせ細った手で、だが目だけは力強く息子の手を握りしめ父はすべてを託した。領民の為、力を尽くした良き領主。その父を志を継いだ子爵は工事を続け、近年やっと完成の目処が付いたのだ。
それを、焦土作戦とは!!
堤防を固める為に植えた木々を焼き、敵が補給に苦しみ撤退するまで領地を敵の手にゆだねるなど到底考えられない暴挙だ。その間に大雨が降る事もありえ、そうなってはすべてが台無しだ。焦土作戦を取られた敵が、腹癒せに堤防を決壊させる事すらあり得る。
他の南東地方の領主達も、グラチェフ子爵ほどでなくとも領地経営に心血を注いでいる。子爵を中心に多くの領主達が反対の声を上げた。そこに落ち着き払った顔のザスーヒン侯爵が進みでた。グラチェフ子爵より爵位は上だが、近年先代から爵位を譲られたばかりで子爵より10歳以上も若い。だが、その爵位と財力により影響力は強く多くの取巻きを従えていた。
「子爵殿。物事は大局を見て判断しませんと見識を疑われますぞ。己が領地が大事は皆同じ。それを我が身だけを考え作戦に反対した挙句、ランリエルに敗北すればどうなるか。ケルディラ全土が蹂躙され、結局は貴公も領地を失いましょう。ならば、貴公の領地を犠牲にしてでもランリエルを防ぐが、知恵ある者の行いというもの」
子爵の鋭い視線が、訳知り顔の若造を射抜いた。侯爵の領地は北東方面にあり、今回の焦土作戦の対象から外れている。子爵には、自分の身が痛まないから平然と言えるとしか思えない。とはいえ理屈では侯爵が正しい。反論の言葉は無く、爵位が上の侯爵を睨み続ける。
結局、侯爵が子爵から目を逸らし
「少し冷静になられた方がよろしいようですな」
と、捨て台詞を吐いて背を向けた。取巻きの者達も、子爵如きが身の程を弁えなされと、侯爵の後を追う。
グラチェフ子爵ら南東領主達は軍部に詰め寄った。それしかランリエルを防ぐ手立てが無いなら焦土作戦もやむを得まい。しかし本当に他に手は無いのか。皆で知恵を絞れば、道があるのではないかと食い下がる。
参謀達もこれを持て余した。状況は、大軍に攻められた為やむを得ず焦土作戦を取る、というものだ。だがそれは偽りなのだ。実のところ、必ずしも焦土作戦が必要と言う訳ではない。
今だコスティラ西部領主の裏切りが破綻したと知らないケルディラ軍参謀達はそれを期待し、デル・レイ王国からの援軍もある。ならばランリエル軍とほとんど互角の戦力なのだ。それをあえて焦土作戦を取ろうというのは、こちらは守るのに手一杯とランリエルに誤認させる擬態でしかない。
その為、領主達に強く出れないでいた。領主に擬態だと説明する事は出来ない。西域領主達の裏切りやデル・レイ軍の参戦が秘匿事項と言う事もあるが、本当は必要では無いが、敵を騙す為に貴公の領地を焦土と化す。などとは、とても言えたものではない。
王家とて、絶対の権力を持って諸侯の上に君臨しているのではないのだ。諸侯を守る存在として彼らの上に立つ、いや、彼らに担がれている。それを不必要に領土を不毛の地と化したと知られれば彼らも黙ってはいまい。
「分かりました。焦土作戦を行う準備に必要な期間を考えた上で、ランリエル軍が来るギリギリまで作戦を検討致しましょう。ですが準備だけは進めて置いて下さい」
そう言って領主達を宥め、参謀達は改めて作戦立案に頭を捻った。もっともその内容とは、どうすれば焦土作戦をせずにランリエル軍を撃退できるかではなく、焦土作戦以外に援軍が来ないと擬態出来る方法が無いか、ではあったが。
参謀達は後ろめたさもあり頭を悩ませたが、やはり他に効果的な方法が思い浮かばない。そうしている内にも、時は刻一刻と過ぎていく。そして数日経ちそろそろ限界と思われた時、一頭の早馬がケルディラ軍部に駆けこんだ。
「ランリエル軍転進! 急遽向きを変え、コスティラ国内を北西に進んでおります。我が国の北東方面から侵入する模様!」
「なんだと!?」
参謀達は叫び、グラチェフら南東地域の領主達は歓声を上げ、蒼白となったのはザスーヒン侯爵ら北東地域の領主達である。
「物事は大局を見て判断するのが、見識というものでしたかな。ザスーヒン侯爵殿」
にやつくグラチェフ子爵の言葉に、今度は侯爵がぐうの音も出ない。子爵に浴びせた言葉を考えれば、すぐさま領内の畑という畑、木という木に火を付け、井戸に毒を投げ込むべきなのだが、所詮それも他人事と思えばこそ。子爵の考えた通り、いざ自分の番となると話は別だった。
子爵の前から逃げるように立ち去ったザスーヒン侯爵は、恥を忍んで軍部の扉を叩いた。さすがに取巻き達にも行き先を告げずに一人でだ。
「焦土作戦以外の方法で、ランリエル軍を防げぬものか」
ザスーヒン侯爵と言えばケルディラ宮廷内でも皆一目置く存在だが、後ろめたさでその声は弱い。
何とか侯爵を宥め追い返した後、参謀達は額を手で押さえ頭痛に耐えていた。参謀長カジミンの目の前で、若くその分冷徹な30手前の士官と、50近い人情に篤い初老の士官とが怒鳴り合っている。
「もう時間がありません。焦土作戦の準備を始めるべきです!」
「しかし本来なら不要の作戦なのだぞ!」
「そうは言っても、予定ではとっくにその不要の作戦を実行させているはずでした。それが領主達が訴えるので、少し待ってやっていただけではないですか」
「それはそうだが、ランリエル軍は方向を変えた為、我が国に侵入するのは当初の想定より遅くなっておる。もう少し検討を重ねてもよかろう」
そしてそうしている間にもやはり時は過ぎ、又もや早馬が軍務に飛び込んだ。
「ランリエル軍からバルバール王国軍が分派。我が国の南東方面に向かっております! 本隊はそのまま北東方向へ!」
この報に、ある扉の前で2人の男が鉢合わせをした。作戦参謀達が詰める部屋の前で、グラチェフ子爵とザスーヒン侯爵は御互い苦虫を噛み潰した表情で数瞬睨みあったが、共にかける言葉もなく無言で扉をくぐる。
北東、南東の領主にそろって詰め寄られ、参謀長カジミンは文字通り頭を抱えた。焦土作戦の常識で考えれば、このような状態になった以上はテレス川以東はすべて焦土と化し、川を挟んでランリエル軍を待ち構えるしかない。いや、むしろ初めからそうすべきなのを、本来不要との考えから最小限の地域に絞ろうとしたのだ。
どうすれば良いのか参謀達は言葉が見つからず、目の前に立つ侯爵と子爵は苛立ちを隠せない。
「このままでは、ケルディラ全土を焦土を化すしかなくなる。そうなるぐらいならもはや焦土作戦は諦め、むしろ全軍テレス川を渡り、川を背にしての決死の覚悟で戦えば活路も見出せるのではなかろうか」
そう言った侯爵を、子爵は複雑な表情で視線を送った。どうしてこいつの手助けをしなければならないのかという感情と、今は協力するしかないという理性がせめぎ合った。もっともグラチェフ家には悲願がある。結局は理性が勝った。
「さよう。焦土作戦を取るとなると、その後は飢饉となり民にも多くの被害が出ます。しかもランリエル軍はどこに向かうのかも分からぬ有り様。ザスーヒン侯爵の仰るとり、ケルディラ全土を焦土とするお積りか。戦いに勝っても国土が荒れ果てては意味がありますまい」
2人の貴族に詰め寄られ、参謀長カジミンは進退極まった。実はカジミン自身もこのような状況になった今、焦土作戦は回避した方が良いと考えていた。だがランリエルに対しての擬態も必要であり、それ以外の効果的な方法が思い浮かばない。
「参謀長、早く作戦を決め総指令に進言致しませんと手遅れになります」
若い士官が急かすように言い、余計にカジミンの焦りを呼ぶ。
「参謀長」
「もはや手遅れでは無いですかな」
「いつまでも決断出来ないと、諸侯も参謀府を見限りますぞ」
士官に続き、侯爵と子爵もカジミンを追い詰める。だがその言葉に、追い詰められた参謀長は光を見た。
「良し分かった!」
参謀長が叫び、椅子から立ち上がる。
「ご両者。作戦を総指令に進言して来ますので、今日のところはお引き取り下さい」
その顔は自信に充ち溢れていた。
ケルディラへと軍勢を進めるサルヴァ王子は、ケルディラの動きに困惑した。王子から見たケルディラの動きを一言で表すと、意味が分からない、というものだった。
王子はまず初めにコスティラ南西部からケルディラに軍勢を進める方針を立てた。コスティラ南西部は海に接し、船舶によって大量の物資をそこまで運べば輸送の負担はかなり軽減される。
そう考え軍勢を進めているとケルディラ南東部で焦土作戦の準備が行われているという情報を掴んだ。
「焦土作戦をするならするで、テレス川よりこちら側すべてで行えば良いものを中途半端な事をするものだ」
釈然としないものを感じながらそう漏らしたが、焦土作戦などを取ればたとえ勝っても数年は元の状態には戻らない。森林などは数十年単位の歳月が必要だ。最小限に留めたいのだと考え、それではと北東部に転進すると、今度は北東部のみに焦土作戦の気配である。
「あくまで被害は最小限と、我が軍の進む先に絞って焦土作戦を実行する気なのか?」
ならばと、的を絞らせない為にバルバール軍を分派させた。
「ディアス殿。貴公にはわざわざ言う必要もないかも知れんが、こちらが軍勢を裂いたのを幸いに、ケルディラ軍が各個撃破に出るかもしれん。その時は守りを固め本隊の到着を待ってくれ」
「分かりました。もっともこちらとしては出てきて欲しいところです。我が軍は2万ですが、それを攻めるにはケルディラ軍はテレス川を渡らなくてはなりません。退却は難しく必勝を期する必要があります。来るならばケルディラの全軍。そこを我が軍とランリエル本隊とで挟撃すれば、勝敗は決します。もっとも……」
「まあ、来ないであろうがな」
「はい。おそらくは」
そう言って両総指令は苦笑した。焦土作戦という防衛戦略を取る敵が、多少隙を見せたくらい攻勢に転じる訳は無いのだ。無論、油断は禁物ではあるが。
その後もランリエル軍は転進を重ねながら進み、ケルディラは行く先々で焦土作戦を行う気配を見せるのだが、ランリエル軍がさらに方向を変えると結局は取りやめるという事を繰り返す。この行動にサルヴァ王子は首を捻った。
「結局彼らは何がしたいのだ? 我が軍は蛇行しているとはいえ、ケルディラに近づいてはいるのだ。これでは焦土作戦を取れぬまま、我が軍がケルディラ国内に入ってしまうぞ」
「まさか我が軍が、ただの威嚇で実際には攻めて来ないとでも思って……。いや、さすがにそれは無いですか」
ウィルケスはそう言って肩を竦めた。やはり彼にもケルディラの意図は分からない。焦土作戦を取る気は有るらしいのだが、あまりにもケルディラの動きは歯切れが悪い。
「とにかく何か理由があるはずだ」
サルヴァ王子は情報を集めるように命じ、多くの者を放った。そうして困惑しながらも軍勢を進めていると、その情報がもたらされた。
「ケルディラ軍部は、我が軍が進む先々でその地を領する貴族に焦土作戦を取るように命じているのですが、それら貴族達が、領地を荒廃させるのに反対し作戦が進まないそうです」
「……ケルディラは、それほど領主達の力が強いのか?」
サルヴァ王子が戸惑いの表情で呟いた。領主達の反発が強いから作戦が実行出来ないとは、あまりにもお粗末だ。報告するウィルケスも釈然としない様子だ。
「敵ながら情けない限りですが、一応彼らの動きの説明は付きます」
「ああ……」
どうも納得しきれないのだが、仕方がないというふうにサルヴァ王子は頷いた。他に考えようがないのだ。
「まあ良い。領主の反発が強く、こちらが近づく寸前まで焦土作戦を実行せぬというなら付け入る隙もある」
サルヴァ王子は伝令の騎士を呼び、情報と作戦を託してケルディラ南東部に進むバルバール軍へと奔らせた。そしてディアスが、年齢より若く見える顔を傾げる。
「うーん。出来るだけ国土を荒廃させたくないというのは、分からないでもないんだが……」
その言葉に、ディアスの従者となりすでに3年が過ぎ、いまだ従者のままのケネスも首を捻る。戦闘には向かない彼を軍人として出世させるには、ここはむしろ従者を長くやらせ、皆がそれでは不憫だと思ったところで、ではその代わりにと一気に士官にするしかない。身贔屓ではあるが、公明正大を気取った挙句、ケネスを戦死させる気などディアスには無いのだ。
「でも、焦土作戦を取られると困るんですよね? だったら敵がぐずぐずしているのは、味方にとっては良い事なんじゃないですか? あ。でも、こちらがすぐ近くまで近寄ったら、焦土作戦を始めてしまうんですね」
「それについては、サルヴァ殿下から作戦が指示されている」
その後バルバール軍は行軍の速度を日々落としていった。小細工ではあるが、相手がこちらが到着する間際まで焦土作戦を行わないなら、その計算を狂わせられる。
そしてそろそろ限界と思われたところで軍勢を止め、その日はそのまま野営した。だがその深夜、兵糧を腰に騎兵のみ3千で急進した。途中馬が疲れたので速度を落としたが、領主の城、館、町や村も攻撃せずひたすら突き進む。
「こんなに敵国深くに入って大丈夫なんですか? ケルディラは全軍で6万ぐらい居るんですよね?」
従者とはいえ、騎馬だけでの作戦に馬を与えられたケネスが前を進むディアスに不安そうに問いかけた。僅か3千で6万に襲われては、さすがにディアスとて敗北は必至だ。
「敵はテレス川の向こう側で軍勢を集結させ、焦土作戦を行うという作戦だからね。すでに川のこちら側には、最小限の人員しかいないはずさ」
さらにディアス率いる軍勢は進み、有る程度のところまで来ると村々に人を派遣し叫ばせた。
「ランリエル軍は、海上輸送により物資を運搬する。焦土作戦は無駄である!」
それは半分正しく、半分は張ったりだった。海上輸送により食料、武具の補給は万全だが、さすがに薪や飼葉まで運ぶのは難しい。木々や草原まで燃やされては軍事行動に支障が出る。
しかし領主の反対により焦土作戦の実行が滞っている、という情報に、サルヴァ王子はこの張ったりは有効だと考えていた。行えばその回復に数年、数十年かかる焦土作戦だ。たとえ敵からの言葉とは言え、効果があるかどうか怪しいが実行する、とはなかなか決断できない。領主の反対が強いのならなおさらだ。
こうして、ケルディラ貴族達が焦土作戦の実行を決断しかねている内に、ディアスはテレス川近くの山林地帯にまで到達しそこを確保した。これで、薪や飼葉を現地調達出来る。勿論、年単位での補給は望むべくも無いが、サルヴァ王子もそこまでの長期戦は考えていない。
バルバール軍がケルディラ南東地域の森林地帯を確保したという報告に、ランリエル軍本隊も合流する為、さらに道を変えた。圧倒的な大軍を前に僅かに残った領主勢もすべて退散し領民も逃げ散った。張ったりの効果もあり、結局焦土作戦は実行されなかった。
こうして、ランリエル軍は焦土作戦により補給を妨げられる事なく、テレス川まで軍勢を進める事に成功したのである。
ケルディラ軍部では、焦土作戦の機会を逸し、むざむざ敵の侵攻を許した作戦参謀達が無能の烙印を押されていた。貴族達の嘲笑を受けつつ廊下を進み、皆俯いたまま部屋の奥に引き篭もる。
もっともその部屋では、焦土作戦をせずにランリエル軍を領内に引きずり込んだ快挙に、参謀達が祝杯を挙げていたのだった。