優越感
皆さん、お金で買えたらいいなと思う物ありませんか?時間だったり、若さだったり…
もし、それらが買える場所があったら…
皆さんは行ってみますか?
僕は学校からの帰り道、ボーッしながら歩いていた。
友達は皆僕と違って大きな強みがある。
勉強が得意、スポーツが得意、ゲームが得意、料理が得意…
けど僕には何もない。胸を張って言えるような大きな強みがないんだ。顔を上げると空は曇り空で僕の重い気持ちに拍車をかけた。
地面を見ながら歩く。
コンクリートにポツポツと、涙のシミが出来た。
そんな時だった。僕は通学路で普段使わない階段を見つけた。
(ここ…上がったらどこに着くんだろう。)
気になったし、すぐに家に帰る気にはならなかったから僕はその先に行ってみることにした。
階段は思ったより長く、僕は息を切らしながら最後の段を登り終えた。
「…わぁ…!」
階段の横には、公園があった。
広々としていて、普通の公園よりも遊具が圧倒的に多く、楽しそうだ。
入ってみると自販機があるのが見えた。
(何かジュースとかあるかな)
見てみると自販機にはジュースでもお菓子でもなく、紙がいくつも並んでいた。
「頭の良さ…スポーツ万能…?」
何これ。
不思議だと思ったけど「頭の良さ」のピカピカと光るボタンをなんの気なしに押してみた。
ガコンッ
何かが出てきた音がした。
お金も入れていないのになぜ?
というより…「何が」出てきたんだ?
開けると、そこには何もなかった。ただ、開き口から冷たい風が吹いたようなそんな気がした。
(…結局何だったんだろ。)
しかし、僕は次の日あの自販機が売っているのが何かを知ることになる。
次の日の学校では、英語の抜き打ちテストが行われた。全員悲鳴を上げる中、僕だって勉強していなかったからいつもなら不安なはずだった。
しかし、その時は不安よりも謎の自信がみなぎっていた。
英語のテスト終了後、帰りに手渡されたテストは人生で初めての100点満点だった。
「僕が…?!100点満点…?!」
何かの間違いかと何度も見直したが間違いなく僕の答案用紙だ。
…あの時の自販機で僕が押したのは「頭の良さ」つまり、あそこで買えるのは…
あの出来事から数日後、僕は完全に自販機を使いこなしていた。
頭の良さの次は運動神経を手に入れた。その次は料理の上手さ…アレは買う事が出来ない「物」を買う事が出来る自販機なんだ。まさに最高の人生!この世の全てを僕のものにしたような優越感に浸っている。もう僕は最高の強みを手に入れたのだ。
今日も僕はこっそりと公園の自販機へと向かう。
「今日は何を手に入れよう。みんなからは十分人気になってきたけど、もっと好感度が欲しいな。」
僕は「人からの好感度」のボタンを押した。
ガコンッ
いつも通り音がして僕は自販機の口を覗いた。すると、
ヌッと何かが僕の顔を掴んだ。
腕だ、2本の人間の、腕。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
パタンッと開け口は閉まり、公園には何事もなかったような静寂が訪れた。
自販機の中には、新商品の紙が並んでいた。
その名前は。
いかがでしたか?
おや、途中で文が終わってる?
最後の新商品は何だったのかって?
それは…もうタイトルに記載されていますよ。
それでは、また次のお話でお会いしましょう。




