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活動


あれから、週に3回の部活が本格的に始まった。


体育館の中は、シャトルの音と誰かの掛け声が絶えず響いている。夏前だというのにかなり暑く、床に落ちた汗が光る。


部の練習内容は主に基礎練習とゲーム形式。経験者が初心者を教えながら、互いに技を磨いていくスタイルだ。


「目指すはインターハイ!」


それが部長の口癖。練習の合間にもよく叫んでいて、みんなにパワーを与えてくれる。


部長はパワフルなプレースタイルで、誰よりも強いスマッシュと、圧倒的な体力が武器だ。どんなに動き回っても息が切れない姿には、ただただ感心してしまう。

きつい筋トレの後にランニングに行く姿には流石に驚く。


一方の楓は、静かに相手の癖や動きを観察して、意表を突くような場所にシャトルを返す。ミスも少なく、まるで試合中ずっとデータを取っているようだった。


2人とも、個人戦なら県大会でも上位に食い込める実力者だ。


「やっぱり上手くできないよー!」


遥ちゃんが悔しそうにラケットを見つめている。でも、彼女は初心者ながら飲み込みが早くて、説明も誰よりも真剣に聞いている。1年でここまで動けるのは、本当にすごいことだ。あと2、3年後にはーーーと考えると少し恐ろしい。


副部長の谷川先輩は、楓と似たスタイル。シャトルを正確に返し、落下地点への反応も早い。ただ、楓と違うのは、体の柔軟性を活かしてコートを縦横無尽に動くところ。いつの間にか相手の死角にいて、シャトルを拾っている姿は、まるで舞っているようだった。


ときどき男子と練習試合をすることもあって、それがなかなかに面白い。


ちなみに、私は今のところ連勝中だ。


───


そんな中、ホームルーム前の静かな早朝。まだ校舎内に人影も少ない時間。


「おはよう、石橋くん」

「はよ」


体育館の隅で、私たちは2人で朝練をしている。


最近はラリーではなく、実際のゲーム形式での練習を多くしている。互いに真剣な表情でラケットを握り、シャトルを追う。


ゲームが終わって休憩していると、石橋くんがぽつりと呟いた。


「なんでこんな勝てないんだ?体格差あるのにな。どこが狙いやすかった?」

「今日は──」


お互いに、よかったところや改善点を指摘し合う。時に真剣に、時に笑いながら。そのやりとりは、自分の成長にもつながっている気がして、毎日が楽しくてたまらない。

教室ではあまり表情を変えない彼も、コートの中では驚くほど感情が豊かだ。嬉しそうに笑ったり、ちょっと悔しそうな顔をしたり。その変化を見るのが、最近の楽しみでもある。


「なあ、今度の地区大会、出る?」

「地区大会?」

「そろそろ話が来ると思うけど、シングルスの試合らしい。俺はもちろん出るつもり。」


彼の言葉に、少し胸がざわめいた。


大会か……。経験者2人は問題ないとしても、遥ちゃんと谷川先輩にはもっと色んな人と戦って経験を積ませたいと思っていたところだ。


「いつあるの?部長に言ってみようかな」

「男子も女子も同じ日らしい。時間が合えば応援来て」

「応援? 部活の人たちが来てくれるんじゃないの?」

「あ、いや……まあ、そうなんだけど……」

「あ!試合を見て、いつも通りアドバイスしてってことか。任せて!」

「……ああ、頼んだ」


石橋くんは、少し恥ずかしそうに頭をかきながらそっぽを向いた。

なにか気に触ることを言ってしまっただろうか。


 

───


 

その日の放課後。

私は早速、部長に提案することにした。

 

「というわけで、みんなで地区大会に出ませんか?」

「いいな!実は私もみんなに薦めようとしてたんだよ。みんなはどうする?」

「私は出たいです!経験、大事!」


遥ちゃんが真っ先に手を挙げた。目がきらきらしている。


「私も出てみたいな。勝てなくても、出るってことが大切なんだよね、きっと」


副部長もやる気満々の表情だ。


「もちろん、私も」


楓も、すっと手を挙げた。その姿勢は、いつもながら美しくて自然体だった。


「じゃあ、全員出場で決まりだな!手続きは私の方でやっておくよ」


「よろしくお願いします!」


───


それから、1ヶ月後の地区大会に向けて、部全体の空気が変わった。


真剣なラリー。汗の滲む声。シャトルが空気を切る音。


体育館の中が、少しずつ、戦う者の熱気で満ちていった。


「各々、精一杯がんばろう!!」


『おおーっ!!』


掛け声が重なり、私の胸も自然と高鳴っていった。

 

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