第四話・パワーの怪獣チーム【ラウズ・スキナ赤い服】
アグラが所属する怪獣チームを乗せたホシノフネは、力が支配する【野蛮惑星】に着陸した。
原始火山が噴火をしている、恐竜時代のような風景が広がる惑星──アグラが大気の匂いを嗅いで少し嫌そうな顔をする。
「この匂いは、アイツが着ている毛皮のケモノ臭か……離れていてもプンプン臭ってきやがる」
太古の恐竜時代の原始密林を思わせる、シダ植物群の森の木をなぎ倒して。
パワーの怪獣チーム
【ラウズ・スキナ赤い服】のリーダー『ベオ・ウルフ』が、黎明の怪獣旅団の前に姿を現した。
オオカミ型の怪獣から剥いだ毛皮を頭からかぶった、筋骨たくましいヘラクレス恐竜型の筋肉獣が咆哮する。
腰に毛皮を巻いた、ベオ・ウルフの手にはブーメラン型の怪獣の骨が握られていた。
ベオ・ウルフがアグラを見て言った。
「なんだ、そのチームに入ったのか……今からでも遅くない【ラウズ・スキナ赤い服】に来い歓迎するぞ、アグラにはオレたちと一緒に暴れ回っている方がよく似合うぞ」
ベオ・ウルフの後方から、筋肉質な巨獣たちが次々と現れる。
棍棒を持った、巨大な猿人のような巨獣もいた。
それを見て、アグラが鼻から炎を吹き鳴らす。
「おまえのチームに入ったら、筋肉トレーニングばかりやらされそうだからな……オレはそうゆうの苦手なんだよ」
裸の人間が筋肉の中に埋もれた、腕の力こぶしを誇示してベオ・ウルフが言った。
「怪獣はパワーがすべて……アグラだったら、オレたちと上手くやっていけると思ったのに……残念だ」
「オレもだ、脳筋にはなりたくない」
筋肉質で飛べなくなった、翼竜型の怪獣がアグラに向って翼チョップと回し蹴りを仕掛ける。
どちらの攻撃もアグラは、軽く腕や尻尾で受け止めて流した。
その時──地響きが聞こえ、超巨大な首長竜型の四足歩行の怪獣が近づいてくるのが見えた。
表面が骨鎧の首長怪獣は、前脚を踏み鳴らしてチーム【ラウズ・スキナ赤い服】を威嚇する。
アグラが言った。
「ベオ・ウルフのお客さんらしいぞ……相手をしてやれよ」
「そうだな、オレが戦って倒さないとホシノフネには、乗せてもらえないようだな」
ベオ・ウルフは愛用している、ブーメラン型の怪獣の骨武器『グレンデル』を構えて、首長四脚歩行の怪獣に向って言った。
「かかってこい、相手をしてやる」
首長怪獣は長い首を振り回して、ベオ・ウルフを襲う。
一撃をかわした、ベオ・ウルフは跳躍するとブーメラン骨武器を投げつけて、首長怪獣の骨鎧の隙間に一撃を命中させた。
大地に横倒しになりながら、首長怪獣が少女の声で言った。
「いったぁい、ベオ・ウルフのバカぁぁ! 首はあたしの弱点だって知っていて狙ったでしょう!」
横倒しになった首長怪獣に近づいた、ベオ・ウルフが鼻先を撫でながら言った。
「悪く思うなよ、おまえは大きすぎるからホシノフネには乗れないんだ……この星でオレの帰りを待っていてくれ」
「しかたがないなぁ……バトル大会頑張って、応援しているから」
ベオ・ウルフと恋仲の首長怪獣は、ベオ・ウルフが持っている同族の骨武器を眺めて言った。
「あたしの弟の骨だから、骨密度は高いよ……きっと、弟の骨はベオ・ウルフの力になってくれるはずだから」
「わかった大切に使う……愛している」
「あたしも、愛している……ベオ・ウルフ」
いちゃついている、二体に背を向けたアグラは。
「やっていられねぇや」
そう呟いた。
創作裏話
パワーの怪獣チーム【ラウズ・スキナ赤い服】は、図書館で調べた時は「スカンジビナの伝承か何かの魔具で、力の象徴の赤い服?」のようなコトが書かれていたのでネーミングで使用しましたが……再検索しても出てきません(泣)