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怪獣使いの弱者たち  作者: 楠本恵士
黎明の 怪獣旅団
1/14

第一話・オレが暴魂獣【アグラ】だ! 文句あるか!

 その男は目覚めた──荒野の平らな岩の上で。

「ここはどこだ?」

 若い男は、体を起こして周囲を確認しようとしたが、体が重くて動かない。

 下半身が岩のように重く、仰向けに横たわる若い男は自分の体を撫でているみた。

 上半身は裸で、腰から先はゴツゴツしたモノと融合している感じだった。

(なんだ、コレは?)

 男が紫色の空を見て、考えていると高い位置から声が聞こえてきた。

「やっと、目覚めやがったか……まったく、人間ってのは厄介な生き物だな」

 声が聞こえてきた、方向を見た若い男は仰天した。

 そこには、巨大な生物が振り向いたポーズで、男を見下ろしていた。

 頭頂から結晶のような背ビレが、尻尾に続いている怪獣の尾の先端と男の下半身は融合していた。


 怪獣が呟く。

「なんで大会ルールでも、こんな脆弱(ぜいじゃく)な生き物の力を借りなきゃいけねぇんだ……ったく」

 怪獣が尻尾を左右に振ると、融合した男の体も左右に揺れる。

 悲鳴を発する男。

「やめろ、いったい何がどうなっているんだ?」

 怪獣は近くの岩に尻尾ごと男の体を叩きつけた、岩は砕けたが男の体には傷一つつかなかった。


 怪獣が言った。

「このくらいで、潰れたら使い物にならないからな……おい人間、面倒くさいけれど名前つけてやる。おまえの名前は〝ニンゲン〟だ……名前がないと呼ぶ時に不便だからな」


 二足歩行の怪獣が、空を眺めて呟いた。

「さっそく、力試しに飛んで来やがった」

 怪獣が見ている方向から、鳳凰(ほうおう)のような尾羽根を生やした鳥型の生物が飛んできた。

 生物の頭羽根が生えた頭頂には、男と同じように下半身が融合した、美しい女性の上半身が生えていた。

 近くに着地した、鳥型の怪獣の頭に生えている女性が言った。


「暴魂獣『アグラ』やっと融合した人間が覚醒したのですね」

「あぁ、やっと目覚めやがった……聖霊鳥『エアル』いつまで、寄生虫の〝プリンセス〟の口で喋っているつもりだ……声が小さいから聞きづれえ」

 聖霊鳥エアルが、頭頂のプリンセス(王女)の口を使って言った。

「プリンセスは、寄生虫ではありません……わたしのパートナーです、融合したプリンセスは無口な人間なので……テレパシーを併用して、アグラに話していますが……聞きづらかったら、テレパシーの波長やボリュームを変えましょうか?」

「いや、今はいい……それじゃバトルはじめるか」


 聖霊鳥エアルが、飛び立ちアグラの上空を旋回する。

 アグラは尻尾を振ってエアルを叩き落とそうとするが、エアルは巧みにアグラの先端に人間が融合した尻尾攻撃を避けた。

「ちょこまかと飛びやがって……それなら、これでどうだ〝口から何か出る攻撃〟うげぇぇ」


 アグラの結晶背ビレが輝き、口から古代生物のアノマロカリスや三葉虫の形をした光線が出た。

 アグラが吐いた得体が知れない光線を避けた、エアルのクチバシから酸味を吹くんだ液体だか、光線だか判別できないモノがアグラに向って吐き出される。

 酸味を浴びたアグラが悲鳴をあげる。

「うわぁぁぁ、その酸っぱいの吐くな、オレそれ苦手なんだよ……降参、降参」

 着地したエアルは、翼の爪でクチバシを拭って言った。

「合格です『黎明(れんめい)の怪獣旅団(りょだん)』の一匹としてアグラを迎い入れましょう」

「やっとかよ……それじゃ旅団仲間の所に行くとするか」

 アグラの背中から、コウモリのような翼が突出する。

 羽ばたきはじめた翼を見てエアルが言った。

「飛んでいくのですか? 瞬間移動ではなくて?」

「アレは星と星の移動をする時に使っている……瞬間移動って、結構エネルギー使うんだよ」

 アグラとエアルは、旅団仲間の怪獣が待っている〝オッカ山〟の岩火山へと飛んで向かった。

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