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幸せな結婚

読んでいただきありがとうございました。これで最終回になります。

誤字報告ありがとうございます。感謝しかありません。

リリエルのウエディングドレスは仮縫いの段階に入っていた。真っ白な繊細なレースが幾重にも重なり首元や手首まで隠していた。なるべく肌を他人に見せたくないレイモンド様の希望だった。結婚式の前に公爵位を賜り、住まいは王宮から馬車で一時間ほどの離宮を譲り受けた。


レイモンド様と一緒に行った離宮は先王が王妃とたまに遊びに行くために作らせたらしく、贅が凝らされていたが華美過ぎることはなく落ち着いた雰囲気だった。



リリエルの好みで壁紙や私室の模様替えをしてもいいと言われたので、屋敷全体の壁紙はそのままにして私室は可愛らしい小花模様を取り入れた壁紙にした。夫婦の寝室はアイボリーの壁紙に張り替えて貰った。ベッドとお風呂とトイレだけは新しい物に替えた。


ベッドは五人位は余裕で寝られる位の大きくて上等な物にして貰った。レイモンド様のお部屋はアイボリーの壁紙に机とクローゼットが付いている。それぞれの部屋にはお風呂とトイレも完備している。



「ここで結婚生活をするんだ、楽しみだね」

蕩けるような瞳でレイモンド様が囁いた。色気が半端ない。元婚約者は綺麗だったが、レイモンド様は細身なのに鍛えられているのが服の上からも分かるくらいだ。

知性と美貌と穏やかな性格で私を魅了する。



攻略すると言った言葉は嘘では無かったようだ。髪をいじられ口付けを落とされ額や手にも口付けが止まらない。侍女や護衛がいるところでもお構いなしだ。


恋愛偏差値が低いリリエルは今迄されたことがなかったので、恥ずかしくて堪らない。真っ赤になった顔さえ可愛いとレイモンド様は耳元で囁くのだ。とても良い声で。聞いているだけで腰が砕けそうになる。


色気って知らなかったけれどレイモンド様から出るフェロモンのようなものの事かしらとリリエルは思っている。





我慢の半年をなんとかやり過ごし公爵となったレイモンドは、長年の想い人リリエルとの結婚式を今日という日にやっと迎える事が出来、感激もひとしおだ。



総レースの白いウエディングドレスのリリエルはダイヤモンドのティアラとイヤリングとネックレスで女神のように美しい。隣に立つレイモンドも王家の白い軍服で金のモールが幾重にも飾られ凛々しさを強調していた。



国教会での式には王族や外国からの賓客国内の高位貴族が参列していた。司祭から祝福を受け誓いのサインとキスで式は終了した。



城のバルコニーに出ると国民が祝福しようと待ち構えていた。街はこれから三日間お祭りになる。お祝いなので沢山のお菓子が国民に配られた。食料のほうが喜ばれるのではとリリエルは言ってみたけれど普段甘い物を食べない人達に行き渡るのでこれはこれで良いのだとレイモンドに教えられ納得したのだった。


客たちは宮殿でパーティーに参加するのだ。大がかりな準備が整えられていた。


宴もたけなわの途中でリリエルは先に抜け出し湯浴みをした。この先に待っていることを思うと恥ずかしくもあり期待もある。好きな人と本当の夫婦になるのだ。嬉しくない理由がない。



つま先から髪の先まで磨かれたリリエルは薄い夜着を着せられ夫婦の寝室に案内された。部屋には花の香の香が焚きしめられ水と軽めのワインが置かれていた。


レイモンドが来てくれるまで落ち着かないリリエルは部屋の中をぐるぐると歩いたり水を口に含んだりしてみた。早く来てくださらないと心臓がドキドキして爆発しそうと思った途端レイモンドが入って来た。

安心したリリエルは思わず抱きついてしまった。


「おやおや、随分積極的になってくれて嬉しいよ。待っていたの?」

「お顔を見た途端嬉しくて安心しました。一人でどうしようかと思っていたのですもの」

「結婚式の後なのにしつこく酒を勧める奴がいてね離れるのに苦労をしたんだ。気配りも出来ないなんて付き合う気にもなれないよ。待たせたね、私のリリエル」

「本当に結婚出来たんですね、嬉しいです」

「そんなに煽ると優しくできなくなるよ、良いの?」

「良いです、レイモンド様になら何をされても怖くないもの」

「可愛い、でも痛くはしないようにするからね。ワインが置いてあるね、一緒に飲もうか?」


ワインは気を利かせた侍女がリラックスできるものをと選び抜いたものが出されていた。離宮には信頼できる使用人しか連れてきていない。リリエルの公爵家からは専属だったマリエールと数人の護衛が付いてきていた。そのうちの一人は元婚約者が馬鹿だった時に拳を握りしめていた者だった。



ソファーでワインを少し飲んだ二人は誓いのキス以外で初めて唇を合わせた。

レイモンドは我慢をした甲斐があったと内心で小躍りした。リリエルの唇はとても甘かった。何度も角度を変えてキスをし深いキスを堪能する頃になるとリリエルが蕩けるような瞳になってきた。


お姫様抱っこでベッドに横たえ夜着の上から全身にキスをした。リリエルは可愛い声で何度も鳴きレイモンドを欲情させた。


全てが愛おしく貪りたくなったレイモンドはそれでも理性を総動員してリリエルが痛くならないように頑張った。二人が意識を手放したのは明け方だった。


リリエルは初めての快感に驚き、レイモンドはかけがえの無い宝物を手に入れたことを実感した。

再び目が覚めたのは日が高くなった頃だった。

レイモンドはリリエルに水を飲ませお風呂に連れていき身体を丁寧に洗った。


その間に侍女たちはシーツを替え軽食を置いていった。リリエルは恥ずかしいので侍女たちに会いたくなかった。身体にはレイモンドが付けた印が花のように散らばっていたのだから。



仲の良さで知られる公爵夫妻は外交で手腕を発揮した。夫の公爵はその類まれなる知識で国内外の人を魅了し、夫人は美貌と会話で夫を助けた。

たまにどちらにも愛人を狙う輩はいたが、その熱々ぶりに尻尾を巻いて逃げて行った。


二人の間には男の子と女の子が生まれ、公爵家と伯爵家の爵位を継いで国の繁栄に力を尽くしたというのはまた別の話。



リリエルは幸せになりました。良かったです。またお会いできたら嬉しいです。

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