何でもない日
ダーヴィン、その進化論は間違っている…
ーーー2024年9月16日ーーー
夏休み明けなのに暑さは健在、セミも忙しく鳴いている…
安藤 おーい、如月、明日の5限って家庭科だよな?
如月 ーーー?あぁ?…あー、確かそうだったよ、化学の山本が午後出張になったから2限と入れ替え。
安藤 やっぱそうだよなぁ〜、てか、家庭科の内容ハンバーグ作りだぜ?昼休みの後にハンバーグ食べるとか、もうコレ拷問だよ??教育委員会に訴えもんだよ!?
安藤は身振り手振りで不満を全力で表現している
如月 大袈裟だって…まだ事前に知らせてくれる方がマシでしょ、明日は昼軽めにしとけば良いし
僕はため息の混じった声で背を丸めてそう言うと
安藤 お、れ、はぁ〜、昼の12時にしっかり食わないと今日1日が上手くいかないの!!あぁ〜、明日は不幸な一日だわ〜
如月 もう折り返してんじゃん一日…
安藤 今なんつった?
如月 …何も… ていうかさ、こういう話って普通放課後に話さない?なんで登校中に話してんのよ
安藤は少し呆気にとられた顔をした
安藤 なんでって、それはお前とはもう毎日話してるから、話題がどんどん新しくなってんのよ、夏休みもほぼ毎日一緒だったしさー
如月 あれは安藤が毎日勝手に来てるだけでしょ、たまには黙ってみたら?その減らず口も行く分かマシになるでしょ…
そう言うと安藤の愚痴は閉じた、結構素直な男だ、僕はそういう安藤が好きだ。
安藤とは幼稚園からの幼なじみで家も隣だから自然と仲良くなった、今では安藤が何を考えてるのか手に取るように分かる。そんな僕らももう高校2年、青春は折り返していた。
こんな他愛も無い日がずっと続くと思っていたのに…
蝉の音が煩く響いている、まるで時間が有限であるかのように
安藤 あ、学校着いちった、たまには静かに登校するのも悪くないもんだな!
如月 だね、教室クーラー付いてるかな…暑いのは嫌だなぁ
階段を1段飛ばしで登り、3回折り返して2回の教室に着いた、クーラーは…良かった、効いてる
安藤 いやぁー、文明の利器って素晴らしいな!暑い夏もわるいもんじゃないって思えるよ!なぁ!
如月 暑苦しいなぁ…まぁ確かにそうだね
如月…あれ、僕達だけ?もうすぐ出席の時間なのに、おかしくない?
安藤 確かに…あ!皆寝坊してんだよきっと!
なんて能天気なやつなんだ、そんな訳ないだろ…さっきまでいつもの時間が過ぎてた気がするのに、今は全く違う気がするのは僕だけか?いや、そもそもこの教室には安藤と僕しかいないから比べられないのだけれど。
ガラガラっ、前のドアが開いて担任が入ってきた
三井 おはよーおはよー、てか二人しかいないよね〜、そうだよね〜…うーん、まさか僕がこの担当になるとは思ってなかったけど…上も昨日の夜報告してきたからなぁ、急だよな〜…おーい如月、安藤、ちょっといいか?
安藤 ………
如月 なんですか?
心臓が近い気がする
三井 単刀直入に言うと如月お前はな、実は普通の高校生じゃないんだ。
如月 …どういうことですか?
三井 なんて言うかその〜、俺も詳しくは知らないんだが、普通の高校生じゃない、というか普通の人間ではないんだよ、言ってる意味分かる?
如月 は?分かりませんけど
先生が何を言っているのか分からない、というかこれが現実かどうかも定かじゃなくなっている、それ程先生が言っている事が現実から逸脱しているのだ
安藤 先生っっ!…
三井 あー安藤、どうした?
安藤 もう終わり…ってことですか
三井 んーーー、言い方は良くないけど終わりって表現でも間違っては無いな
如月 安藤…どういうこと?何か知ってるの?
安藤………………
安藤はそれ以降喋らなくなった
如月 と、とにかく訳の分からない話は辞めて、出席取りません?二人しかいないけどね、ね?
三井 出席とる必要はー、ない。とりあえず先生から話すことは以上だから、あとはこの人の指示に従って
そう言うと先生と入れ替わりで黒スーツの若い女性が入ってきた
黒スーツの女性 おはよう、如月くん今は自己紹介とかは出来ないけどごめんね、急だけど今から私と一緒にあるところに来てもらうわ。安藤くん、今までお疲れ様、君は帰って最後の報告書を書いて提出して、それで君の家の仕事は終わりよ
安藤 はい…分かりました…
何故か分からないが怒りと悲しみが込み上げてきた、このままもう安藤と会えない気もした
如月 何言ってんだよ安藤…仕事ってなんだよ!僕なんにもわかんないよ!お前も急に出てきて何訳のわかんないこと言ってんだよ!そんなこと言われてノコノコついて行くわけないだろ!
黒スーツの女性 残念だけどあなたに選択する権利は無いの、少し手荒になっちゃうけどごめんなさいね
そう言うと前のドアから防護服を着た人間が数名入ってきた
如月 なんなんだよこいつら、僕が何したっていうんだ!安藤、助けてよ!何か言ってよ!
安藤 如月!!お前と過した日は楽しかったよ…仕事なんて忘れてたよ…騙しててごめんな…でも、一緒に居た時間や話した言葉には嘘はなかったから、本当に友達だと思ってたから!!だから、俺たちを救ってくれ…頼む…
如月 何言ってんだよ…助けてって言ってんだよ!!訳わかんないこと言うなよ!お前らも僕に触るんじゃない!やめろぉぉぉ!
防護服の人間が何やら注射器のようなものを取りだした
防護服の人間 鎮静剤打ちます、宜しいですか?
黒スーツの女性 構わないわ
女性がそう言うと直ぐに僕の首元に注射器を押し付けた
プシュッ
如月 ウッッーーーーー。
ぼやけた視界と朧気な頭で日常を噛み締めた。
おはよう、こんにちは、もしくはこんばんわ
冷泉幽雅です、書き物は初めてなので読み辛いとこありますでしょうがご了承くださいm(_ _)m