婚約破棄される運命の悪役令嬢(5歳)は思った、王命で婚約が断れないなら自分が王になれば良いのでは?と
侯爵令嬢レティシア(5歳)は、階段で転んだ拍子に、前世を思い出した。
前世でレティシアは、乙女ゲームが大好きな女子高生だった。
そしてここが何回も遊んだ乙女ゲーム「君の光で」の世界で、さらに、自分が婚約破棄される悪役令嬢であることに気がついた。
「そんな、すべてのルートでレティシアは婚約破棄&国外追放される運命じゃない!!」
「君の光で」は、平民としてお母さんと二人で暮らしていたヒロイン マナが、光の力に目覚めるところから始まる。マナは、聖女として認定され、平民でありながら、貴族が通う精華学園に入学する。そして、攻略対象の王子アルスや騎士団長の息子ロイ、宰相の息子マキナと一緒に仲良くなりつつ、光の力により世界を覆い尽くそうとする魔王を倒すのだ。その際に、マナが放つ光の色は、仲良くなった攻略対象のテーマカラーになる。それが「君の光」というタイトルの所以となる。
そんな「君の光」だが、ヒロインをいじめる悪役令嬢はレティシア一人だけである。これはゲームの予算が少なかったこともあるのだろうが、何故か王子の婚約者であるレティシアは、ヒロインであるマナが王子以外の攻略対象と仲良くなろうとしても、邪魔しにくるのだ。その結果、どのルートでもいじめを行ったとして、レティシアは王子から婚約破棄&国外追放を言い渡されてしまう。
「どうしよう・・・。多分このパターンだと、いじめをしていなくても、いじめをしたと決めつけられて断罪されるパターンよね」頭を抱えるレティシア。
う〜んう〜ん・・・、と悩んだレティシアは、メイドのアンに相談することにした。
みんな忙しそうだったので、こっそりサボって日向ぼっこしているアンに聞いたのだ。
「このままだと、王子と婚約した後、婚約破棄される運命だったの!!どうしよう!」
「はあ・・・、何を言っているのかよくわかりませんが、王子と婚約しなければ良いのでは?」
アンは眠そうに答えた。
「ダメなの!王命だから断れないの!」
「そうなんですね〜。ふああ、お嬢様が王様だったらよかったのにですね。おやすみなさい。」
と言ってアンは寝てしまった。
このダメメイドは!!と思ったレティシアだったが、閃いた。
「ん?そうだわ!私が王様になれば良いのよ!」
ということで、レティシアは、庭師のトムのところに行って聞いてみた。
トム以外は忙しそうだったので(略)
「王様ってどうやればなれるのかな?」
「お嬢どうしたんです?王様ですか・・・。俺っちにはよくわかりませんが、王様っていうくらいだからきっと強いんじゃないですかね」
「それだわ!!」レティシアは飛び上がってそのまま部屋にダッシュしていった。
置いて行かれた庭師はしばらくぽかんとしていたが、まあお嬢のことだからいいかと思い仕事を始めたのだった。
レティシアは部屋に戻ると考え始めた。
「このゲームは何十回もやりこんだから効率の良いレベルアップ方法もレジェンド武器や究極魔法の魔導書の場所も覚えているし、最強になれるわ。」
そうして、レティシアは、レジェンド武器や究極魔法の魔導書を手に入れると、モンスターを倒しまくった。
S級モンスター、ヘビモス、フェニックス、ダークドラゴン、ヒドラを全滅させたところでレベルが90に上がった。
「ふふふ、ついにレベル90まで到達したわ。えらいぞ私。最大レベルまで後少し!」と喜ぶレティシア。ちなみに、この世界で最強と呼ばれている英雄でもレベル32である。90でも十分過ぎるほど化け物である。
「でも困ったわね・・・。レベル90以降は、必要な経験値がすごく上がるから、S級モンスターは倒してしまったし、あとはどうすれば・・・。そうだわ、ラストダンジョンである魔王城の敵を倒せば良いのよ」
考えたら突っ走る性格のレティシアは早速魔王城に向かった。
==魔王城サイド==
「魔王様、大変です。強い魔力を持つ敵がこちらに急速に接近しています。魔力53万です」
「なんだと!計器の故障ではないか?この魔王でさえ5万だぞ?なんだ邪神でも現れたのか・・・」
「敵が魔王城前に到達しました。えっ・・・子供・・?」
==レティシアサイド==
魔王城に辿り着いたレティシアが
「えいっ。」と魔法を放つと魔王城の半分が一撃で消し飛んだ。
「あれ?魔王城ってもっと硬いイメージだったんだけどな・・・」レティシアは忘れていた。レジェンド武器や究極魔法は魔王城でボスを倒した後、手に入るいわゆるラスボス倒した後、手に入っても使う相手いないんだけどなアイテムであったことに。当然、そんなアイテムを使ったら、ラスボスも手も足も出ないのだった。
「ん?白い旗が見える?」
「降参します。どうか我らの王になってください」魔王(旧)は、レティシアの強さに敗北をすぐ認めたのだった。
「まあ、王になれるなら良いか」とレティシア
「「新魔王様万歳!!」」合唱する魔王軍
「ワハハ、我を敬うが良いのよ!」と本来の目的を忘れて、調子に乗るレティシア
そしてお腹が空いてきたので、家に帰ることにしたレティシア
魔王として遊ぶのに飽きたのだ。
「お腹が空いたので家に帰るね。」
「えっ・・・」
「またね。悪いことしちゃめ!だよ?」と言って空間転移で去っていった
家に戻ったレティシアは、お母さんに怒られた。
「もうどこに行ってたの?心配したんだから」
「ふふふ、レティシアは王様になってきたのです!」とドヤ顔で報告するが
「はいはい・・・。近所の子供と遊ぶのもほどほどにね。ご飯食べる前に手を洗ってきなさい」
「はーい」そして、ご飯のことで頭がいっぱいになったレティシアの冒険は終わったのだった。
こうして、魔王軍は魔王の指示通り悪さをやめたため、世界の平和は守られたのであった。
この時のレティシアの様子を遠隔魔法でみていた少年がいた。王子アルスである
「なんだこの少女かっこいい」
ご飯を食べながら、なぜか悪寒を感じたレティシアであった(終わり)
==おまけ:ヒロイン(転生者)サイド==
「おかしい・・。魔王の脅威から世界を守るために光の力をもらうイベントが発生しない・・・」
「またあの子変なこと言っているよ。この世界は私のためにあるとか」
ヒロインを見て、ため息をつくお母さんだった