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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

剣花葬儀 スカイリリー

作者: 青空鈴蘭

2799年。旧オーストラリア北東部。


「さあ!行こう!さあ!行こう!葬式だ!オリバーの葬式だ!奴刀やっとう持って弾を込めて!」


高らかに歌いながら士気を高め、剣と銃がクロスされた看板の建物から出てきた五人の男たち。

後列の一人は棒に提げた空の首桶を担いでいる。


歌いながら、市外へ出るために精悍な面持ちを硬め、完全武装で歩みを進める彼らへ街道からは声援や鈴蘭の花吹雪が飛び交う。


「しっかりやんな!」


「必ず帰ってこい!」


激励しようと行進する五人の肩を叩く者。


「これもっていきな!」


「食いもんは足りてるか?これ干し桃だ!金は要らねえ!持っていきな!」


あちこちの商店から不足なものはないか尋ねられる。


身振りでそれに答えながら男たちは歌い、行進を続ける。



「今日の喪主は!オリバーの兄貴!大剣背負った砂塵のルチャル!本当の勇気を持ったこれぞ漢さ!」


大剣、ショットガン、大槌、ボウガン、大盾に片手剣


「さあ!さあ!行くぞ!オリバーの葬式だ!オリバーの葬式だ!」


各々武装した彼らへ向けられた声援は、彼らが市外へ出る城門を抜けるまで途切れることはなかった。



暗転。場面推移。回想。


ルチャル「何だ!あれは!?あんなもんがいるなんて聞いてねえぞ!?」


のたうつ影は人より大きく三つ四っつ。追われる人影。哀れに六つ。


ルチャル「オリバー!さっさと先いけ!俺が食い止める!」


オリバー「何言ってんだよ兄さん!無理だ!死んじゃうって!」


ルチャル「どの道この重装備じゃ俺は追いつかれる!お前たちは生きろ!」


きびすを返し大剣を構え遠ざかる兄の背中。木々の境目から顔を出す四つの大口。

それらが兄へと迫り、


オリバー「アルマの!」


振り返る兄。


ルチャル「やめろォォォオ!!!」


オリバー「サクリフィシオ!!!」



暗転。場面回帰。回想終了。



‐貴方が人間を辞めれば大切な人の命を救えるのならば、貴方は自ら「人生」を辞めることができますか?


2500年に飛来した隕石に内包されていたウイルスにより、魔法と神魔霊獣があふれかえった世界。

耐性を超えたウイルスを取り込んだ生物は魔獣になる。これはそんな未来のお話。


ルチャル「ヨオ!会いに来たぜ。」


森の切れ目。散乱するうわばみの死骸。


死骸を貪っていた大きな影は死骸を放り投げ、


ルチャル「オリバー、お前に敬意を。この剣にかけてお前の尊厳は俺が守る。」


陣形を組み構える五人。


ルチャル「安心しな?兄さんが終わらせてやるからな?」


小さな人影へと躍りかかった。




この世界では何てことない日常の一コマ。よくある剣花葬儀。


「彼らの栄光は明日の貴方。ギルドガンソード」


記録終了。ギルドガンソードでは勇敢な冒険者を募集しています。宣伝終了。映像編集終了を報告。



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