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ジガルガ

 黒い髪の、妖精ではない小さな女の子は、誇らしげに胸を張って答える


「うむ。よくぞ聞いてくれた。ジガルガ――それが、創造主様より賜りし、誇り高き我が名よ」


「はぁ、なるほど。ジガルガちゃんね」


「ちゃんはいらぬ。子ども扱いするな」


「はいはい。それじゃジガルガ。お前がいったい何者なのか知らないけど、俺のベッドで変なこと言うのやめてくれない? どっか別のとこに行ってやってよ」


「変なこと?」


「ほら、人類滅ぼしたいとか言ってたじゃん」


「それは変なことではない。我は人類を滅ぼすために作られたのだからな」


 不敵に笑うジガルガに、俺は呆れたような微笑を返した。

 いくらなんでも、こんなちっぽけな存在に滅ぼされるほど、人類はやわじゃない。

 しかし、そんな俺の態度が気に入らなかったらしく、ジガルガは顔を赤く染めて、つっかかってきた。


「貴様、今、我のことをわらったな? 嗤っただろう? 侮辱は許さぬぞ!」

「いや、そんな、何も言ってないじゃん……」

「そういう目をしたっ! 許さぬ! 人類の前に、まずは貴様をめっしてくれるわ!」


 短気だなあ、こいつ……

 まあ、こんなちんまいのが怒ってても、別に怖くもなんともない。

 滅せるものなら滅してみるといい。


 俺は、自分の肘をベッドに立てて枕代わりにし、あくびをしながらジガルガを生暖かく見守る。

 ジガルガは、俺の舐めた態度を見てますます憤慨し、頭から湯気が噴き出させながら叫んだ。


「来い! ゼルベリオス!」


 おっ、なんだなんだ。

 仲間を呼ぶ気か。

 まあ、こんなちんまいのの仲間だから、大したことはないだろうが、一応警戒し、辺りを見回す。


 ……特に、何の変化もない。

 俺は、若干しらけた瞳で、ジガルガを見る。


 ジガルガは、それでもしばらくゼルベリオスとやらを待っていたが、やがて俺の冷たい視線に耐えられなくなったのか、弱々しく口を開いた。


「お、おかしい……ゼルベリオスが来ぬ……どういうことだ?」


「俺に言われても知らないよ……だいたい、そのゼルベリオスってなんなの?」


「うむ。ゼルベリオスは、我とついになっておる、人造魔獣だ。我が頭脳担当で、ゼルベリオスが肉体担当。我々二人が揃って、最強の人造魔獣、ジガルガ・ゼルベリオスとなるのだ」


「ふーん」


 生返事をしながら、俺はジガルガが言ったことを頭の中で反芻していた。

 人造魔獣。

 今こいつ、人造魔獣って言ったな。

 まさか、昼間に燃やしたあの本と、関係あるのだろうか。


 ……そりゃ、あるに決まってるわな。

 燃やした当日の夜に、こうして変なのが現れたんだから。

 仕方ない、ちょっと聞いてみるか。


「なあ、お前、もしかして、魔導書に封印されてたりした?」


 ジガルガの顔色が一変した、怒りも焦りも消え、驚愕のみが小さな顔を支配している。


「貴様、何故それを知っている?」


 あー、やっぱり。

 どうやら、こいつがあの魔導書に封じられていた人造魔獣とやらで間違いないらしい。


 さて、どう答えようかな。

 少しだけ考えて、俺は今日起こったことを、全部包み隠さずに伝えることにした。

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