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魔装

 古道具屋からの帰り道。

 路地裏を出て、昼下がりの大通りを進む俺とレニエル。

 商業都市アルモットのメインストリートであるルテージ通りは、多種多様な人々で賑わっている。


 レニエルは、買ったばかりの荷物を大事そうに抱えて歩きながら、俺に問いかけてきた。


「あの、先程、店主さんが言っていた『魔装』って何ですか?」


「えっ、お前、知らないの?」


「はい、修道院では習うことのなかった言葉です」


「黒ローブが言ってた通り、魔力の宿った強力な装備品のことさ。……たぶんだけど、お前の持ってる聖騎士の剣も、魔装だぞ。魔力の波動みたいなのを感じるからな」


「へぇ……言われてみれば、確かに何かの力を感じます。ただのショートソードにしては強力すぎると思っていましたが、魔力が込められていたのですね」


「ただ、魔装は強力な分、それぞれに使い方のルールみたいなものがあって、そのルールに反した使い方をすると、効力を充分に発揮できなかったり、最悪の場合は、装備者に害をなすこともあるから、気をつけないといけないんだ」


「なるほど。この聖騎士の剣にも、きっと何かのルールがあるのでしょうね。リモール王国に戻れない今となっては、調べることもできませんが……」


「まあ、特に問題も起こってないし、その剣に関しては、今まで通り、普通に使ってれば大丈夫だろ。それよりも、今日買った装備品のルールを見てみるのが先だな」


 俺は、歩きながら、荷物の中から注意書きを取り出す。

 はがきの半分ほどの、小さな紙だ。

 書いてある文量も、少ない。

 どうやら、大したルールじゃなさそうである。


「ええっと、まずは俺の『精霊の服』についてだが、普段使う分には、特にルールはないそうだ。ただ、『大量の水に濡れると、著しく防御性能が落ちるから気を付けるように』だってさ」


「水が弱点、ということですね。雨の時とか、どうしましょうか?」


「たいした問題じゃないよ。上からカッパでも着ればいいさ」


「そうですね。それで、僕の『宵闇の鎧』については、なんて書いてあります?」


「はいはい、今見てみるよ。……なになに、『こいつを装備する時は、専用のニーアーマーも着用すること。そうしなければ、本来の防護性能を発揮できないばかりか、鎧に内在する魔の力が、着用者の心と体を蝕んでいくことだろう』だとよ。……なんだよ、専用のニーアーマーって」


「言葉の響きからすると、ニー……膝、そして、アーマー……鎧ですから、強固な膝当てのようなものでしょうか?」


「あの黒ローブから貰った袋に、そんないかつい防具、入ってたか? やべっ、セットで買わなきゃダメだったのかな」


「うーん……わざわざ注意書きまで持たせてくれた店主さんが、付属品を別売りするとは思えませんが……ちょっと待ってくださいね、良く探してみます」


 俺たちは往来の端っこで立ち止まり、荷物袋を隅から隅まで良く調べる。

 しかし、やはり足鎧のようなものはない。


 もしかして、あの店主に一杯食わされたのかと思い始めたころ、レニエルが何かを発見した。それは、鎧と同じく黒色の、長い靴下のようなものだった。


「……もしかして、これが『ニーアーマー』なのでしょうか?」

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