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意外な結婚

 マチュアには、男の影など全くない雰囲気だったので、祝福の気持ちより驚きの方が勝り、やや上ずった声で聞いてしまう。


「お、お前、結婚したのか? いったいいつ?」


「ええっと、ちょうど二週間前ですね」


「へえ、相手はどこの誰だよ?」


「ふふ、ナナリーさんも知ってる人ですよ」


「マジか。なんにしても、水くさいぜ。結婚式にくらい、呼んでくれてもいいのによ」


「呼ぼうとしましたよ。でも、この一ヶ月間、どこかに行ってたじゃないですか」


「そうでした」


 こちとら、レグラックで地獄の猛特訓をしていたんだった。


 カランカラン。


 ギルドの入り口につけられているベルが鳴り、ドアが開くと、巨体がぬうっと室内に入ってくる。冒険者になってから、俺もレニエルも、何度も世話になったタルカスだ。


 別れの挨拶をしようと近寄り、なんと、彼の左手の薬指にも、マチュアと同じ意匠の指輪がはまっているのを、俺は目ざとく発見する。


「まさかとは思うが、マチュアの旦那さんって、タルカスなの?」


 俺の問いに、マチュアははにかみながら答えた。


「そのまさかですよ」


「マジか。超奥手男だと思っていたが、裏ではやることやってたんだな!」


「もう、変な言い方しないでくださいよ」


 よく考えてみれば、女が苦手のタルカスだが、初めて会ったときから、このマチュアに対してだけは、接近して耳打ちしてたりしていたし、思えば、あの頃からいい関係だったのかもしれない。


 そう、一人で納得する俺に対し、ごついが、優しい笑顔を浮かべて、タルカスが言う。


「実は、マチュアさんとは、以前から交際関係にあったのだが、女性とまともに触れ合うこともできない私では、彼女を幸せにできるかどうか不安で、結婚という段階に進むべきかどうか、迷いがあった。しかし、きみのおかげで、こうして彼女と添い遂げることができた。本当に感謝している」


「俺のおかげ? なんで?」


 その疑問に答えたのは、マチュアである。


「ナナリーさんと一緒に依頼をこなすことで、女の子といる時間が増えたから、タルカスさん、随分と女性慣れしたみたいなんです。今では、私が触れても、拒否反応を起こさなくなったくらいなんですよ」


「へえ、そりゃ大変けっこうなことだ。やったじゃん」

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