表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

254/266

常軌を逸した武器

 だんだんと頭がこんがらがってきた俺の問いに答えたのは、ジガルガである。


「数少ない情報から、我が調査と推察、そして検証を重ねた結果、『調和を保つ者』の刺客は、『常軌を逸した武器を持ち、秩序を乱す傾向のある者』の前に現れることが分かった。……ここまで言えば、もうだいたい分かるな?」


「いや、分かんねーよ」


「ええい、相変わらず鈍い奴だ。『秩序を乱す傾向にあるもの』とは、つまりぬしのことだ」


「えっ、俺が? なんで?」


「自覚しておらぬのか? ぬしは、自分がこうと思ったら、誰が相手でも、考えなしに行動するだろう? 運命などクソくらえと言った感じでな。……おっと、失礼、汚い言葉を使った。ぬしの言葉遣いがうつってしまったようだ」


「汚い言葉って? クソ?」


「聞き返すんじゃない。話を続けるぞ。ぬしのように、直情的で、後先考えない者は、秩序を保とうとする人々とは、真逆の存在……まさしく、『秩序を乱す傾向にある者』だ。しかも、ぬしは一度、ピジャンという『調和を保つ者』に目をつけられている。そんなぬしが我――つまり、『常軌を逸した武器』と行動を共にしていれば、すぐにでも、『調和を保つ者』の刺客がやって来るかもしれない。だから、我はぬしと離れようと思うのだ」


 俺は、大きく首を捻る。


「ちょっと待てよ。俺が『秩序を乱す傾向にある者』っていうのは、若干不本意だけど、まあ分かったよ。でも、なんでお前が、『常軌を逸した武器』なんだ? だいたい、今までだって一緒にいたのに、刺客なんて来なかったじゃん」


「分からぬのか? 人造魔獣は、魔術と科学の粋を集めた、究極の生体兵器――『常軌を逸した武器』なのだ。そして、ぬしの肉体を借りることでしか行動できなかった一ヶ月前の状況と、現在はまったく違う。我はご主人様の手によって、こうして新たに肉体を授かり、自由に動けるようになった。そんな我が、要注意人物のぬしと共にいれば、いつ刺客が襲ってきてもおかしくはない」


「ま、まあ、理屈としては分かるけどさ。刺客なんて、ぶっ飛ばしてやりゃいいじゃん。俺も随分強くなったし、何よりお前、新しいボディを手に入れたんだから、アーニャと同じくらい強いんだろ? 誰が来ても、二人で戦えば大丈夫だって」


 ジガルガは、小さくため息を吐いた。


「分かっておらぬな。単純な武力以外でも、抹消対象を殺す方法などいくらでもある。寝込みを襲う、毒を盛る、火をつけて建物ごと燃やしてしまう等々……連中が本気なら、もっとえげつない方法を使ってくるかもしれない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ