少年 ②
「ねぇ、もうご飯は食べた?」
馨に尋ねる。
もしかしたら馨はずっとあそこで立っていたのではないかと思ったからだ。
「食べてないよ。」
「じゃあ、お腹空いたでしょ?
あり合わせで申し訳ないんだけど、ご飯作るね。」
「僕、、、本当にいいの?」
申し訳無さそうに馨がこちらを見る。
気を使わなくてもいいのに。
「いいのよ。
貴方はテレビでも見て待ってて。」
そう言って、冷蔵庫の中を確認した。
卵、肉、玉ねぎ、ピーマン、冷や飯、これだけあれば立派な炒飯が出来る。
やけに静かだなと思い馨の様子を見ると、物憂げに窓の外を見ていた。
炒飯を作り、馨に差し出す。
「うわぁ!美味しそう!」
歳相応な喜び方をし、美味しそうに食べ始めた。
良かった。
口に合っているようで、安心した。
「ゆっくり食べてね。」
「うん!」
口をモゴモゴさせながら食べる馨は可愛かった。
私は、席を立ちベランダへ行き煙草を吸う。
あの子の表情を見ていると、過去の自分と重ね合わせてしまう。
辛かった学生時代。
私には家にも学校にも居場所が無かった。
だからこそ馨の力になりたいと本気で思う。
私は煙を吐き出した。
そうする事で、私の過去が精算されるような気がするから。
「夏樹さん!
ご馳走さまでした。」
馨の声がする。
私は火を消し、馨の元へ向かった。
「全部食べたのね。
お皿洗っとくから、お風呂入ってきて。
リビングを出て左側にあるから。
服は私のを貸すわ。」
「お風呂までいいんですか?
それは本当に申し訳ないんで遠慮します。」
「私が嫌だから。
早く入って来なさい。」
きつめにそういうと、馨は渋々お風呂に入った。
馨がお風呂から上がると、私は再度同じ事を聞いた。
「馨はどうして家に帰れないの?」
「パパがね、お前はオカシイって言うんだ。
僕は普通なのに。
だから家を追い出されちゃった。」
馨がポツリポツリと話し出す。
「何をしたの?」
「猫がね、車に轢かれてたの。
その猫を埋めてあげてたらそう言われちゃった。」
こんな優しい少年なのに、、、。
どうして親は気づいてあげられないんだろう。
思わず私は馨を抱きしめた。
「馨は悪くないよ。」
馨は私を抱きしめ返しながら泣いていた。
私も泣いた。
この子を守ろう。
そう感じた。
馨はひとしきり泣いた後、眠ってしまった。
私はベッドへ運び、馨を寝かしてあげた。
持ち上げた馨は驚く程軽かった。
女の私でも運べる程に。
私もその後、ソファで眠りについた。