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邪眼は正しく使って下さい!  作者: たかはし?
世界転移の邪眼勇者編
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第17眼 君達の未来を選んで下さい! 第3問




「さてと。じゃあ気を取り直して。」



 これが正真正銘ラストクエッション。

 私の味方にはなってくれないって回答だったけどさ?最後にもう一度だけ、さっきの答えを忘れてもう一度よーく考えて欲しいんだ。

 確かに君達は沢山の物を失うかもしれない、それは君達の意思では選べないかもしれない。

 もはや君達の意思とは関係なく、私が独断で結構すればそれだけ、決定事項だと言っても過言ではない。なので、諦めて欲しい………


 だからさ!発想を逆にして考えて欲しいんだよね!


 もしも私が、「なんでも君達の欲しいと言った物を用意するから、こんな私を許して力を貸してね!」って言ったらどうだい?

 どんな物を、どれだけ君達に用意すれば納得してくれる?

 勿論、物は一つじゃなくて良い。

 失う物が沢山あるからね!

 納得できる物を、何種類でも、数だけあげてくれて良い。

 ……これは一斉に答えられないか。




「レン、どうだい?君は、私が何を用意したら許してくれる。」

「許せるわけが、受け入れられる訳がないだろうが!それとも貴様は受け入れられるとでも言うのか?もしも許せると言うなら、私ならば正気を疑うな!」

「……そうね。まあそう言うのが普通だとは思うよ。でも、これはまだ例え話だからさあ……NOって答えはできればやめて欲しいんだ。」

「何を言われようが答えは変わらん!貴様にはわからんのだろうな、勇者!私がこの国で、今までどれだけの努力を重ねてこの生活と家族を守ってきたか、貴族ではない貴様にはわかるまいよ!地位も、家族も、金も、そしてこの国も、全てが私の命だ!失って許せる物等1エイン分たりとて無いわ!」

「うーん………どうしても代わりにできる物は無い?何をしてもダメ?絶対に許せない感じ?」

「くどいぞ!ない!ん、いや……そうだ。ならばそうだな、私に国王と言う立場を用意して見せろ。この国とは別の国とやらで、私を国王にするのだ。当然貴様は、私の下につくのだ勇者!その国ごと全て、このカー・ラ・アスノートへの献上品としてやるわ!それならば考えてやらん事もない。どうだ?できまい!」

「だからさあ…聞いてた?君は、この国にゃ戻れんのだってさっき条件を言ったじゃないか……献上しちゃったらもう一度君は素寒貧になるけど、それで良い?」

「ならばその条件、到底呑めんな!」

「あっそ。つまり結局は、何を用意しても許せないって事ね。」



 OKっぽい事を言われたと思ったのに、気がついたら一回二回分くらい無駄にやり取りが増えただけだったな。時間を無駄にした気分。



「わかったよ。じゃあ次はミドリーちゃん。どう?」

「アンタ頭イカレてるでしょ。何をどうしたって許さないわよそんな事してみなさい!一生かけてでもアンタの人生ぶち壊して生きてる事を後悔させてやるわ!」

「まあミドリーちゃんは姫って言うなかなか他と比べようも無い地位があるから、なかなか難しいと思うけどね。でもそこを何とか考えてよ。新しい国でもお姫様にしてあげるし、その上で欲しい物あげるって言ったらどう?なんとかならない?」

「なるわけないでしょ!?だいたい、なんで私が下民の如きの都合に合わせなきゃいけないわけよ!?そこから、根本的に間違ってんのよアンタ!合わせなきゃいけないのはアンタなのよ!」

「あ、ミドリーちゃん、そう言うのは聞いてないんだ。あんまり関係ない話はしないでね?ね?答えだけもう一回確認させてもらうけど。どうしても、何を用意されても許せないか、これを持って来れば許すよって物があるのか。言ってくれる?」

「…ないわ。」

「わかったよ。さて、お二人ともご協力ありがとうございましたー。皆さん、二人に暖かい拍手を!」



 パチパチパチ!


 ………誰もしてくれない。 


 未だに私の動向を伺うのが半分程。

 もう半分は、ヒゲの人と同じく顔面を蒼白にしている。

 どうやらそろそろ気がついた人も結構居るらしい。



「…わかったら、もうはなしなさいよ。」

「はなす?君を放す?開放しろって?」

「…っ!!さっきのが最後の質問だって言ったじゃない!ちゃんと答えたでしょ!?まさか、下民の分際で、この私を騙したっての!?」

「騙しちゃいないよ。もう終わり、結果は出た。でもさミドリーちゃん、まだ気付かない?」

「は!?何がよ!!」

「周りで聞いてた人は結構気がついたみたいだよ?君のおつきの、ヒゲの人とかも。」

「…え、何、何の話?……え?」



 先程まで、喉が壊れるんじゃないかと思うほど叫び散らしていた勢いが一瞬で消える。どうやら、言われて初めて周りの人々の不自然さに感付いたらしい。



「レン君はわかるー?」

「……」



 レン大臣もどうやらわからないようだ。答えられず、ただ周りの様子を伺っている。

 私達三人の様子を直視できず、申し訳なさそうに佇む意気消沈の人々。武器を手に取っている人間より、その後ろで聞いていたレンのような貴族らしい人物の方がより気付いた者が多いようだ。


 因みに。

 座っている戦線離脱組は特に反応が大きい。壇上のハクは鎮痛の面持ちで真っ直ぐにこちらを。近くで武士座りをするウルカスは手元に脇差があれば切腹待機中にしか見えない程暗い決意の表情で地面を見つめている。

 キーロはいつの間にか声を殺して泣いており、隣でムースが無言のまま宥めている。

 

 質問に答える立場だった二人は、自分の事だと思って非常に真剣に答えていたせいでわかりにくかったらしい。

 こう言うのは外野の方がわかりやすいのかもね。



本日のミリアン一言劇場

「因果、応報…。愚か者は、それに気がつけないから、愚か者のままなのですよー…?」

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