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邪眼は正しく使って下さい!  作者: たかはし?
世界転移の邪眼勇者編
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! 第10眼 悪戯は密かに企てて下さい! の2つ目


「はぁ、はぁ…ふぅー。兎に角だ、細部が、違ったとしても、ね?だいたいこんな感じだろうと思う。と、さっきのロウとキーロちゃんの話を聞いて思ったわけだよ。」

「ええ…。あの時のミドリーの心の声が聞こえてきたようで、寒気がしました。」

「で、それを使って悪戯するにはどうするか?勿論、ミドリーちゃんの予想できない事をする。」



 全員に近くに寄るよう言って、小声で話し始める。



「作戦は単純だ。ミドリーちゃん一行の予想ではキーロちゃんが絶対にしないだろうと、特にロウが居る前では絶対しないだろうと思っていた私との交渉を、今私にもちかける。アホみたいに高額を出すと宣言する。しかし私は結局、王様にはミドリーちゃんとの約束ですよと高らかに宣言したら?ミドリーちゃんは、キーロちゃんが宣言したアホみたいな金額の、更に倍!払わなきゃならんわけだ。」



 力を入れて言ってみる。勿論伝わらないのだが…



「キーロちゃんの倍と言っても、そもそもキーロちゃんが交渉すると思ってない。その証拠に、確認方法を用意してなかったみたいだしね。で、証人を残して貰ったわけさ。私が王様にはミドリーちゃんの名前を言って、作戦大成功!って高笑いしてる所に、後から払えないような額になってると聞いて超ビックリ!ね?いい顔が見れると思わない?」



 作戦内容は問題なく伝わったようで、ムースは堪えては居るが笑いが漏れており、ロウはなんとか笑うのを我慢しているようだった。

 キーロだけは怪訝な顔をしていた。 



「そうですね…ミドリーもおねだりに余程苦労しそうだとは思うんですが…」

「キーロちゃん。王様はいくら位までなら出せると思う?」

「えっと…どうでしょう。勇者であるアイ様との交渉に関わる事なら重大なはず…何億程でしょう?限界なんてあるのでしょうか?」

「姫様、そんなにポンと出せる位なら、この国は、勇者様を召喚する前にもっと別の手段で備えを行いますよ。」

「え?えっと……本当に?それは、お父様がまだ本気を出していないだけでは?」

「本当ですよ。それに、何事にも限界は当然あります。ありますし、軍備にまわす資金の限界と言うのは、『ある物』である前に、『作る物』なのです。…それが普段見えないのは、陛下とヤタ様が、そういった物をおくびにも出さない手腕をお持ちだからと言うだけなのです。」

「そういうものですか…」

「ええ。」



 そこまで話し、キーロはそのまま一人思考に耽る。



「これは、ムースに聞いた方が良いのかな?ミドリーちゃんを通じた要求に、幾らまでなら出せるのか。」

「私にもわからん。が、現状なら、億単位の金は不可能ではなくとも、そうほいほいと出せないだろうな。まして、更にこれから、『金を見せれば動いてくれる勇者』と交渉するとなれば、尚更、交渉の舞台に立たせる為だけの金額はおさえておきたい所だろう。」

「そこまで考えるかね?ミドリーちゃんが」

「ニールだ。珠玉の間にはニールも既に入っただろう。なら奴が勇者との交渉に役立つ情報で点数を稼いでおかない理由など、私には思いつかんな。」



 ああ、そう言えばそんなノッポの髭おじさんもいらっしゃいました。

 


「まあ、この金額開示は最悪話が終わった後になる可能性もある。交渉とは、順番が逆転するかもしれないんだ。それに、別に実際いくら払えるかより、いくら位になればミドリーちゃんの顔色が悪くなるのか知れれば良いだけだから。」

「ふむ…ならやはり一億エインを超えるだけで話は難航するかもしれんが、その10倍もあれば絶対に不可能だろう。どうだ?」

「うーん、…現実的じゃない数字はどうなんだろうなあ。『ものすごーく頑張れば払えるかも…?払えるかしら、払えないかしら…』って額すら超えたら……あの性格だし、一瞬も悩まず踏み倒しそうじゃない。下民相手、なんだしさ。」

「ああ、確かに。」



 ああ、やっぱり?納得しちゃうよねー。そうだよねー。

 いくら報酬はちゃんと払う方だって言っても、自分の想像を超えたら簡単に掌クルーって返してくるタイプだよね。例え自分から口にした約束でも。



「じゃあね。…キーロちゃーん。」

「あ、はい!」

「ミドリーちゃんみたいなおねだり以外の方法で考えて欲しいんだけど、キーロちゃんがもの凄く頑張って、今自由にできるお金ならどの位。」

「…?もの凄く頑張って、ですか?」

「うん。」

「えっと、ムース。どうなんでしょう?」

「アレ!?」



 ここでムースに話をふるの!?

 さっきのジュースの話題もそうだけど、こっちの姫も金銭関係については結構残念なのかもしれない。


 そしてキーロちゃんのお財布の紐を握っているのはムースなのかもしれない。

 ……この二人って、ただの姫と護衛じゃない?どういう関係なんだ?



「もの凄く、限界までやるとしてか。ふむ……姫様だけなら?いや、取れる所から…なら、アレも切る…?隠蔽も必要か。安くて簡単な、口封じ……。うん!何人か死んでもよいなら、10億位が限度だろう。」

「ムース!?何を言っているのです!?」

「まあまあ、キーロちゃん。絶対にしないから。でも、もっと穏便で現実的な方法で計算して欲しいなあ…」

「ふむ……身包みを剥いで生命を保障…。人数が…いや、無理か…?はぁ…申し訳ありません。人は殺さずであれば、将来的な遺恨は無視しても、3億エインがやっと、かと。」



 さて、ムースさんの頭の中で、いったい何人が路頭に迷っただろう。

 と言うよりも、死人が出た場合との差額が7億とは恐れ入る。

 いや、純粋に怖い。その7億どうやって出してきたのって、聞きたいけど聞きたくない。

 捨てられそうなチワワの眼差しを向けてくるキーロちゃんがこれまた可愛い。



「いや、心配しなくても、大丈夫だよ?本当に、やらないからね?」

「当然です!」

「勿論です」



 なんでもないような顔のムースを、横から攻めるような目で睨むキーロちゃん。

 いいな、私もそんな熱視線を送ってほしい。



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