0章EX 高校一年の邪眼女子(イビルガール) エピローグ
それから先の高校生活、再び訪れた長い一人の時間。
自分では以外だと思ったが、実は慣れるまでそれほど時間はかからなかった。
部室は既に私の居場所になっていて、先輩達が卒業してもう来ないだろう事を悟った後になって、
……つまりは来てくれるかもしれないと期待する人なんて存在せず、部室の扉がいつ誰が開くかもわからないなんて想像して気になったりする事も殆どなくなり、一人で本を読むだけの静かな部屋が日常になった頃。やっぱりここは居心地が良い場所だなと改めて感じたから、だろうか。
そして私は二人の事を忘れずに、でももう沢山思い出したりする事もなく、次の出会いがあるまで空っぽになったこの高校生活を、それなりに満喫していくのだ。
空っぽになった部分を本で埋め終わる頃には、砂原愛の25点生活は通常運転に戻っていた。
だからと言って、やっぱり平穏無事に高校生活が進んだか?と言えば、あんまりそうではない。
2年では、文芸部への新入部員は一人も居なかった上に、元文芸部員の人とまた一悶着あったり。そして3年になった年、今年も一人のままなら廃部だと顧問に言われて勧誘をした結果新入生とまたまた一悶着あったり。
でも、それはまた別のお話…と言う奴だろう。
だってここまでは、二人と私の話だから。
この世にたった二人しか居ない、私が敬語を使いたい先輩達との
部長と先輩との、思い出の話なのだから。
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高校を卒業して、私は大学には行かず社会人になった。
あの後も、二人が卒業した後も、部長と話したいと思う時は何度もあった。
だが一度も、部長も先輩も、この部室に来る事はないまま、私も部室を去った。
それぞれ希望の大学へと進んでいった二人と大学へ進学しなかった私、偶然出会うなんて事はまずないだろう。
あの時携帯のなかった私は連絡先を知らないまま、高校を卒業してからも一度も連絡を取っていない。
今では仕事と本ばかりの毎日、日々生活する中で二人の顔が浮かぶ事は殆どない。
ただ…これは携帯を手に入れてから10日と経たないうちの話だが。
私は「いつか機会があれば送りたいメール」として、送信フォルダにそのメールを保存した。
宛先はずっと入力されないまま。宛先のメールアドレスがわからないまま。
保存されたメールをふと見つけて、たまに思い出したりする。
だから送られる予定のないそれは、送信フォルダに書きかけメールとして、未だ残り続けている。
携帯が、忘れる私の代わりに覚えてくれている。
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□ 送信先:
(送信先アドレスを入力してください)
□ 件名:
永遠の砂原です。
□ 添付:
選択してください
□ 本文:
お久しぶりです、部長。永遠の砂原です。
突然ですが、ずっと言いたかった事があるんです。
もう大体解ってると思いますが、最初にお勧めされたあの本についてですよ。
もしかしなくても、ボキャブラリーとユーモアを兼ね備えた部長の事です。
わかってて勧めましたね?
私は部長が「部長」じゃなくなってからしばらくして、たまたま気がついたんですよ?
もし本当にそういう意図なら、部長のギャグセンスは少し回りくど過ぎる気がします。
お笑い芸人に向いていると言った過去の発言を取り消したい気分です。
て言うか、種明かしはせめて在学中にしてって下さいよ!
P・S ←(1度使ってみたかっただけ)
三巻も読みました。
部長ももう読んだでしょうか。
いつか、続編の感想会を一緒にしたいですね。
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番外編、高校一年の邪眼女子はこれにて終了。
番外編は毎回最新話として書いていますが、暫く後で時系列の適当な部分に移動などされるかもしれないです。
わーい!七夕に完結だっほい!でも季節は関係なく春の話だよやっほい!
地球での愛ちゃんの人生の中では、高校時代が一番幸せな時期だと思います。
セステレスでは中々見れないセンチな愛ちゃんに幸あれ。
今回が高校一年でしたが、二・三年編等は時期未定ですが掲載すると思いますです。
中学生編は執筆予定未定。
何より大事な本編は鋭意執筆中…!
生暖かい目で今しばらくお待ち下さいませ。