0章EX 高校一年の邪眼女子(イビルガール) 1
番外編より本編を優先すると言ったな…あれは嘘だ!
書きかけていた本編がPCフリーズで消えました…。まだ時間がかかりそうです、申し訳ない。
もう少し先に載せる予定だった番外編を数日にわけて掲載していくので、暇つぶしになるかもわかりませんが良かったらどうぞお読み下さい。
地球編(第0章)。その中でも中学高校時代の愛ちゃんを書いたのがイビルガールシリーズ。
その高校1年生の部です。
異世界要素もバトル要素も無いので、そっち好きの人にはちょっと物足りないかもしれないですが、予めご了承いただけると幸いです。
なお地球編登場キャラは一部例外を除き、本編では話題すら出てこない予定です。
高校デビュー。そんな言葉がある。
似たような言葉を何度も見たり聞いたりしてるけど、今までライトノベル以外の文章で読んだ事はないから、そういう意味ではまだ一般的な言葉じゃないのかもしれない。
…ライトノベル以外の小説なんて、そうそう読まないけどね?
中学までの私は、ハッキリ言って本ばかり読む地味な子だった。
学校では本を読むように推奨されていて、朝の短いホームルームの中に、必ず本を読む為の時間が少しだけ用意されていた。
人によっては、と言うか半分以上は本を机の上に出しつつ、感想と言う名の雑談にかまけていた。
学年によって担任もクラスメイトも変わるからか、新しいクラスになる度に朝は静寂につつまれる時間になるが、それは数日までだ。それはまるで、生徒と先生の間にある暗黙のルールみたいに。
生徒は徐々に話し声を増やしていき、先生は声が大きくなり過ぎなければ黙認。クラスメイトに誰がいようが、担任が誰になろうが、それは変わらない。
そんな中空気も読まずに黙々と本を読む私。こんな奴に話しかけてくる人間は居なかった。
友人が居ないから?それも勿論ある。でもそれ以上に、キッカケとなる一つの事件があった。
私は真剣に読書をしてる時間を邪魔されるのが嫌いだった。
朝のホームルーム以外でも暇な時間ができれば積極的に読書タイムに勤しむ私。むしろ本の為に少しでも時間を作りページをめくる私を、遠巻きながら暗いとかウザイとかこれ見よがしに言う奴等を最初は無視できた。
だが、物理的な妨害行動が始まった際には無視できず、物理的な抗議活動を行ってしまった。
それを境に問題児として扱われもしたが、関わってくる人間は激減し大変過ごし易くなったので、私は今でも結果オーライと言うやつだろうと思っている。
人と関わる機会が減った私は本の虫として、友人と語らう事も部活に汗を流す事も色恋に現を抜かす事も無く、平穏で地味で退屈な日常を過ごした。
一応、美術部には在籍してたけどね?
読み始めた本は続きが気になって仕方ない私は、部活より本を優先する事が多くて、気がつけば幽霊部員呼ばわりだった。優しく諭してくる美術部部長は私が部活に行かない前提で説得をする為、これ幸いと行かなくなったのだ。だってしょうがないじゃないか!読みたい本が無い時だってままあるし、そういう時はまあ行っても良いかなって思うけど、全く行かないと声は殆どかからないのに行ったり行かなかったりすると声をかけられる頻度があがって、まあ、つまり、面倒くさいのだ!………不幸な擦違いだね?
ともあれ、そんな私も無事高校生。
家から遠くも近くも無い学校は通う時間が勿体無いとも思うが、私を知る人間もちらほらとしか居ないのでこれもまた過ごし易くて良い。
今が私の高校デビューの時!社交的になって友達たくさん作って自他共に認めるリア充になっちゃうぞ!
………そんなふうに考えていた時期が私にもありました。
鋭い目つき。
「人を殺してそうな」とか、「って言うかもう目だけで殺せそうな」とか、色々言われるこの目つきは望むと望まざるとに関わらず、既に私のトレードマークと化していたらしい。
不良とか人殺しから派生して、中学時代に言われていた『人喰い鬼』『メデューサ砂原』『邪眼の悪魔』なんて呼び方は、高校入学して一週間もしないうちに陰口として定着し始めていた。
アホ共が。喰わねぇよ。石にもしねぇよ。それを言うなら魔眼だろ。…ああ良かろう、直接言えない癖に影では噂する奴は我が邪眼に呪われて死んでしまえ、コンチクショー。
高校デビューなんてなかった。
まあ、別にそれが原因でってわけでもない。
失敗の建前と言うか、言い訳みたいなもんだ。
暴走系文学少女な私は、高校生になったからと言って突然グローバルなパリピでウェーイになったりなんてできないのだ。
そんな勇気も気力もない。そんなつもりも必要もない。
静寂に嫌気がさしたって、手元に本さえあれば良い。本の中はいつだって耳には聞こえない喧騒で包まれている。別に誰かとわざわざ言葉を交わす必要なんてない。
中学は、失敗した。自分でもそう思う。
キッカケがあるなら変わりたい、変えたい。
そう思ったのも嘘ではない。
でも。そのキッカケを、自分で作る程でもない。
何にも心が躍らないのだ、私の人生は。
100点満点の採点方式のはずが、25点が最高に設定されてしまったのだ。50点は、家族の都合でとっくのトウに失われている。そして異性から避けられている非恋愛的日常という現実が自力の限界を25点引き下げる。本を読んでなんとか毎日を25点に留める涙ぐましい程の私の努力をあざ笑えば良い。
1/4って良いじゃない。クォーターの女子って可愛いよね。
高校生になって10日が過ぎようとしていた。
つまり私が、少しだけ頭の端っこに、高校デビューと言う頭の悪そうな単語を携えながら、頭の軽い男子が授業中熱心にかまけていたネリケシの如く、頭の中の想像でその単語をコロコログニグニと持て余しながら、そろそろ4月も初頭と呼べなくなって来た頃の話。
私は文芸部に入部した。
「いらっしゃい。入部希望?」
「………名前だけ入部させて下さい。」
…そう、私は文芸部に入部した!