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邪眼は正しく使って下さい!  作者: たかはし?
世界転移の邪眼勇者編
23/162

第8眼 貴方の想いを語って下さい! の1つ目

本日一話分更新。

第一章は10話程度で終わる予定だった。予定はあくまで予定の模様。





「本当に、本当に申し訳ありません。」

「別に良いって。キーロちゃんが謝る事じゃないよ?」

「ですが!」

「ならさ、謝るよりちょっと協力してよ。ね?」

「協力、ですか?」

「うん。まず、これから私達が向かう所は何処で、歩いてどのくらいかかる?」

「はい。…国王陛下がお待ちしているのは珠玉の間、謁見用大広間で、ここからだと歩いて7分か更に少し程の所…この廊下の端までと同じ長さを、あと更に三回分程の距離です。」

「ありがと。」



 ちなみに今更だが、会話に問題がないのは、女神様がくれた『因果律の神の特権』、別名「異世界初心者サポートパック(神豪華版)」の内の一つで自動翻訳されているからだ

 正直私は因果とか言われてもなんの事だか理解できないので、言語と因果がどう関係してくるとかもう本当にさっぱりだ。

 …『分』と言う時間単位に翻訳されてはいるが、まだこの世界で時計を拝見していない為、同じような物がそう聞こえたのか、それとも時計のような便利な物は存在しないが、姫様の時間の概念がそのまま言葉として出てきたのかは今の所判断できない。

 できれば時計は欲しいなぁ。



「で、ロウさん?…ロウ君、の方が良いかな?」



 ロウは無言で、こちらを見もしない。

 キーロをはじめ、私と本人以外の全員がロウを警戒していた。

 先程のやりとりから推して知るべしと言った所だろうが、この姉妹とそれぞれの派閥のような物は、余程敵対的な関係らしい。



「あ。余計な言質を取られない為に黙ってるって選択肢は有りかもね。でも、こちらを信用しない、態度は非協力的、そのせいで意思疎通もままならない。そんな奴を証人に残してったって事で間違いないなら、私はミドリーの仲間にゃなれないよ?力になってあげたくても、なにせ会話ができないんだぜ?こりゃ手詰まりだ。ああ、残念、君のせいで計画はおじゃんだね!ねえねえ、君はそれで良い?本当に大丈夫?」


 

 勢い良く、そして明らかに苛立った表情をこちらに向ける。

 ハハッ!ねぇどんな気持ち?ねぇねぇ今どんな気持ち??



「で、呼び方はロウ君で良い?」

「好きに呼べ。」

「ほう。じゃあミスターゲロマミレ・シモー・タレナガシオトコ君」

「ふざけるな!!」



 さて、今の名前は想像した通りに伝わったらしい。固有名称として使っても、その意味まで完璧に伝わるようだ。もしもこの世界に本名「ミスターゲロマミレ・シモー・タレナガシオトコ」君が居たら彼の名はどう聞こえてどう伝わるのか?この翻訳機能は、いったいどこまで思い通りに働く…!?あ、勿論今のは、あくまでテストですヨ。テステス、ただ今マイクのテストチュウー。



「くそっ…!君付けでも、呼び捨てでも良い!それ以外は認めない!」

「じゃロウ君、短い間だけどよろしく。あの子、ミドリーだっけ?ミドリーちゃんとやらは、約束したからってお金は素直に支払うタイプ?額によっては渋っちゃったりする?」

「その点は問題ない。」

「そう。…まあ、って言ってもそう言うしかないよねー?じゃないと、私が協力しないわけだし。で、本当の所どうなの?本音言ってくれないと、私信じられないナー。実は私の勇者の力で、嘘を見抜く事ができるのデス!!さあ、本当の事を言えー!」

「くどいぞ。………その、なんだ?人間とは金で動く物、と信じている。故に報酬の件で問題になる事はないだろう。それに他に聞いている者が居なければ、知らぬ存ぜぬと言う事も場合によっては有り得たかもしれんが、…今回は、アーサー様が居る前で言ったのだ。反故になどできないとわかっていて口にしたのは、間違いない。」



 9割以上ブラフだとわかっている私の言動に、でももしかしたら本当かもしれないと悩んで、その上「これ言っても大丈夫なんだよね?僕間違ってないよね?」とか計算した上で結局言っちゃった感じ。…うん、ロウ君、素直で良い子だね!



「成る程、一安心。じゃあ、なんであんな事を、私に約束させたの?半分位予想はつくけど。」

「知らん。知らんから、言えん。」

「知らない、ねぇ。」

「…本当だ!」

「うん、信じたいんだけど、それにはちょっと情報が足りないなあ。あ、じゃあ、逆に知ってる事を教えてよ。さっき話してた中で、本物の勇者がどうのとか、偉そうな髭の人がどんな作戦を立ててたのかとか。」

「髭…ニール様は必要もなく作戦を、…私のような者に聞かせるはずがないだろう。あの人は、そう言うお方だ。」

「ほうほう。本当、キーロ…?…キーロちゃん?」



 呆けていたキーロが、突然話を振られた事に気がつかず、しばらく目が合っていた。


 …ああ、このままずっと見つめあっていても良いかも知れない。


 今回は普段率先して嗜めていたムースも含め、他の全員が呆けていた。

 数秒目が合っていたが、突然コテンと首が傾き、それからようやく意識が戻る。



「…え?は、はい!そうですね、ニールはとても警戒心が強い人物だと聞いています。そして、私自身はそう沢山話した事はございませんが、まつりごとはかりごとにおいては、深慮遠謀を体言するような人物だとも聞き及んでいます。」

「成る程ねぇ。で、ロウ。本物の勇者がどうのって件だけど。」

「…それは、憶測になるが、貴様が女だからだろう、と思う。」

「…ん?え?…は?」



 女の、勇者は、偽者?どういうことでしょうか?

 聞いてないよ!ミリアンちゃーん!



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