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邪眼は正しく使って下さい!  作者: たかはし?
邪眼勇者の冒険者譚編
121/162

第29眼 食後の一時を寛いで下さい! の2つ目

たいっっっっっっっへん遅くなりました。

一年越しですが、作者誕生月がまたやってきた5月。そろそろゆっくり再開いたします。

そのうちに掲載速度も戻していきたい…




「な…!ぐぅ……断られるとは思っておりましたがまさか即答とは!」



 こいつ、ダメ元で言ってやがったのか!



「…良いのですかな?ワシが居ると居らんのとでは、随分とこの先のやりやすさが変わってくると思いますがのぉ…」

「あん?」



 …ついついけんか腰で応えてまったが、言いたい事はわからないでもない。

 こいつは要職についているからと言うだけでなく、色々な情報を統括している関係なのか非常に知識量が豊富だ。

 こちらに来て常識がわからないと言う場面には何度か出くわしたが、まあ大抵の事はコイツに聞けばまず的確な答えが返ってくる。

 



「この国で……いやもしかすると、この世界で一番の有用な知識を持っとるのはワシかもしれませんぞ?もしそうでなかったとしても、次にそんな人物と出会えるのはいつになりますかのぉ?まして出会えたとして、必ずしも勇者様に協力的とは限りますまい?」

「っ…!」



 協力的とか友好的とか、そういう言葉で表すにはいささか過剰だとは思うが……確かにハクは私に、と言うよりは勇者へ使う労力や時間を一切厭わない奴のようだ。そういう意味でも、これ以上に都合の良い適任者を見つけるなど現実的ではないとは思う。

 だが…



「だとしても!お前だけは絶対に選ばん!」



 しかし、しかしだ!どうあっても受け入れられない!

 高齢幼女ロリババアな時点で私的にはかなりアウトだが…それよりなにより、その行き過ぎた好意が怖い!

 一緒に居ればいつか必ず私の貞操がどうにかされてしまうのは間違いない、そういう危うさがこいつにはある。これは確信だ。

 こいつを連れて行ってはいけない…そうささやくのよ、私の魂が!



「だいたいお前、ヤタとか言うのだしこの国出れないだろ!?」

「カハハ!こんな事もあろうかと、既にヤタの職は辞する準備ができております!」

「…はあ!?え、マジで!?」

「実は、はい…」



 思わずキーロに振り返って確認したが、ぎこちなくも肯定された。



「引継ぎが終わっておりませんのでな、未だ手は貸しておりますが…ワシはもういつでも、好きな時に只人となれる身でございます!さあ、どうぞお連れ下さいませ!」



 そこまでするかよ…いや、言われてみればそれ位の事はしそうなやつだと思うけど!



「ついて来るのは認めてねぇ!私の許可なく勝手に進めやがって…!」

「国とアイ様の利益になるのであれば報告不要…と、人事も含めほぼ丸投げされましたのでのぉ!ワシが国よりアイ様に付き従うのであれば、ほらなんと!アイ様の利益しかございますまい?カーッハッハッハ!」

「職権乱用にも程があるだろ…」



 確かにその通りではある。が、そんな個人的な理由で辞めて良い仕事じゃないだろ絶対!



「……と言うかそもそも、この国の人間も全部私の物だとか言い始めたのお前だろ…連れてくとかそう言うの関係なく、知ってる事全部吐けよ!契約無視してんじゃねぇ!」

「そ、それとこれとは話が別でございます!」

「これっぽっちも別な部分ねぇよ!お前の知識もこの国の物だろうが!」

「くぅ…ここまで外堀を埋めてもまだ首を縦に振ってはくださらないのですか…!」

「絡め手使われて素直に従う馬鹿じゃないっての。さあ、観念して白状しろ!」

「ぐんぬぬ………っ!!こうなったら!亡命して他国民となるのがよろしいですかのぉ!」

「伯母様!?」

「アイ様の命令を聞く必要のない身分になったしかる後にもう一度相まみえるとしましょう!」



 一緒に居たいから国籍を移します!と言う事か。なるほど発想がぶっとんでいらっしゃる。



「そうなりゃ私の敵って事になるが、それでも良いの?」

「良いわけがありますまい!?しかし、共に行けぬと言うのならば……せめて、せめてその記憶に残るべく…!」

「アイ様、どうかお止めいただけませんか!?伯母様は本気です!」



 本気なのは嫌でも理解させられてるよ…



「ああもう、とりあえずヤタの仕事の引継ぎを滞りなく終わらせろよ…それからならちょっとは考えてやるからさ。それ疎かにしてこの国がやばくなってでもみろ。一生許さないからな。」

「かしこまりました!引継ぎ等三日で終わらせて見せましょうぞ!カーーーッッッハッハッハ!!」



 言うなりドアを体当たりで開け、目にも止まらぬ速さで駆けていったハク。まるでイノシシだ。



「……で、結局私がハンターになれない理由ってなんだったんだよ。」

「……さあ?」

「それは言えませんのぉ?」

「おわぁっ!?」



 ものすごい勢いで出て行ったばかりのハクは、音も無く扉の所まで戻って来ていた。

 顔を半分だけ出した状態で、それもあまり大きくない一言ではあったが、聞こえるはずのない方向からの声に驚き思わず叫んでしまった。


 今のどうやったの!?走ってった音はなんだったの!?透視してなかったから何が起こったのかさっぱりだよ!



「やはり、ワシが居ればどれだけ重宝するか、居なければどれだけ不便かとその身で感じて頂くのが、有用性を知って頂くには一番良いかと思いましてのぉ…カハハハハハ!」



 そしてまた、その笑い声以外は音も無く、すっと扉に隠れていった。

 ハッと気づいて今度は扉の向こうを邪眼で透視してみるものの、既にその姿はない。

 

 結局のところ振り回されただけか…

 この件については何も言わないから、せいぜい不便に感じて自分に頼れ、と。

 誰が思い通りになる物か。

 確かに、ハクは一番使える手ごまかもしれないが、別に唯一の頼みの綱ってわけでもない。

 私にはまだ別の手段があるんだ!と言う事で。


 アイテムボックスを発動、人よりも少し大きい縦長の楕円を描く。



「……お呼びでしょうか、アイ様……」



 現れたアイテムボックスから一拍二拍置いて出て来たのは、こけた顔を二回りほど大きく見せるほどのご立派なヒゲを携えた、長身の男だった。

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