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邪眼は正しく使って下さい!  作者: たかはし?
邪眼勇者の冒険者譚編
118/162

第28眼 絶対の強さを示して下さい! の2つ目

 

 あなたにとってRPGロールプレイングゲームとは?



 …突然すぎたかな。申し訳ない。質問は順序良く行わないといけないね。

 私はこのセステレスに降り立つ際、神様ミリアンちゃんからものすごいステータスを貰いました。むちゃくちゃ強いです。でも比較対象が無いのに、どれくらい強いかを言葉にするのって難しいよね?だよね?


 さて、この難しい難題を解くためにたった一つの方程式…一つの情報だけでは答えを導き出せません。一つでは難しいなら他の所から情報を集めてくるのが良いでしょう!

 と言う事でここで関係あるようで関係ないような質問が出てきますが、「それにどんな意味があるんだ」とか難しい事を考えないで次の質問に答えましょう。

 RPGアールピージー…ロールプレイングゲームと言われたら、いったいどんなゲームを想像しますか?


 まあRPGに限らず、とある一つの単語を聞いて、万人が全く同じ情景を想像すると言う事はない。だからと言ってその内の多数派を正解とするのはナンセンスだ。マジョリティを肯定的にとらえて「常識」とか「一般的」と言う言葉を使うと、まるで少数派は悪であるかのようではないか。………それはいただけない!!

 例えば世論調査に参加させられたなら、きっと殆どの回答でマイノリティ側に属するであろうと断言できる程に異端な思考を持つ私からすると、そういう数の暴力みたいな考え方は好きではない。

 だがしかし!私が選好みしようがしなかろうが、傾向と言う物は往々にしてある。殆どの人がこう考えるから、これって合ってるよね?って言う奴だ。

 傾向。片寄り…ないしは偏り。偏見。


 話を戻そう。

 つまりこの疑問をもうちょっと低年齢用に言い換えると「良い子のみんなー!ねぇねぇ、みんなは『RPG』って言われて何を想像する?例えば君が、『RPGを知らない人に説明して下さい』って言われた時に、一番最初に考えた言葉ってなにかな?」と言う事だ。


 『剣と魔法のファンタジー。魔王と勇者。モンスターや独裁者による世界の危機。世界を冒険。etc.etc...』


 …いいや、いやいや。待って欲しい!これらはあくまでも『RPGによくある設定』と言うだけであって、RPGには必ず出てくる要素ってわけじゃあない。

 「そんな事は知っている!」と言う人も多いだろう。なら、次に出てくるイメージは…?


 『HPとかステータスがあって、敵と戦って経験値をためてレベルを上げたり装備を良くして、そうやって自キャラを強くしてもっと強い敵と戦う、そんな戦闘システムのゲームとかetc.etc...』


 そう。「RPGとはだいたいそういう物だ」と思っている人が実は大多数だ。

 だがしかし、実はこれも勘違いだったりする。

 じゃあRPGってなんなのさ?と、逆に疑問に思うだろう。迷走した時は原点に立ち返ってみれば良い。原点とはそれ即ち、議題となっている言葉の事だ。



 Roleplay(役割演技)……自らに役割を課し、その役割を全しながら行うゲーム。だからRPGロールプレイングゲームなのだ。


 つまりRPGと言う言葉から答えを逆算すると、『下地のストーリーがあって、その中に自分のキャラクターが割り振られている』ゲームは全てRPGと言う括りになるわけである。

 アクションだろうがシミュレーションだろうがパズルだろうが、レーシングや格闘やスポーツ、シューティング、カードバトル……果てはアナログボードゲームでさえ、RPGになり得る。と言うかアナログでボードゲーム風のRPGとか普通にあるし。

 むしろそういう観点から言えば、昨今MMORPGと呼ばれているゲームって自分でキャラ作れるじゃん?それに魔王倒す勇者でも無くね?それって役割与えられてなくね?RPしてなくね?とか考えるのは私だけだろうか。ああ、きっと私くらいなものだろう。早速発揮してしまった私の中のマイノリティー。



 まあ、とは言っても?それら役が割り振られる他のゲームこそをRPGと認識する人はやっぱり少ないわけで。申し訳程度に主人公のバックグラウンドストーリーが設定された近未来SFシューティングゲームがあったとして、販売文句に『RPG』の文字が入った事例は恐らくないし、これから先も永久にありはしないだろう………。

 なんてったって、ゲームジャンルとは宣伝文句と言い換えても良い。「こんなジャンルのゲームだよ」って伝えるつもりでRPGと書いてしまった事によって、悲しいかなゲームをプレイしていない人がこのシューティングゲームを「ああ、あの経験値貯めるのが面倒なアレか……イラネ。」と間違って伝わってしまうなんて事になるのだ!!!

 ああ嘆かわしい。なんと悲しい事に、言葉の本当の意味にたどり着いたところで、それが一般的でなければ相手に伝わらない、なんて事態が起こってしまえば意味がないのである。


 結論。言葉って難しいネ!



 さて。ここまでの、事実を織り交ぜつつもゲームジャンル世論への考察交えの見解と言う名の批判を、頭のてっぺんから爪先までをバカ真面目に受け取って頂いた方へ。

 ……申し訳ありません。

 大変恐縮な所だけれど、私は別にRPGって言葉の本当の意味とか、正直どうでも良い。ほんと、心の底からどうでも良い。

 と言うかそもそも異世界の人たちにRPGの概念とか改めて説いて布教するつもりなんてさらさらないので、こんな思考はとんと意味がない。どちらかと言えば大切なのは、多くの人が勘違いしているRPGの認識について……具体的に言えば、人間の強さを表すとされる数値…いわゆる『ステータス』と言う奴についてだ。



 と言う事で、話はここから本題!


 私はゲームにおけるステータス表示で常々疑問に思う事がある。

 攻撃力、防御力……これらが高いから強い!

 ………ほうほう、ふむふむ。で、結局その攻撃力とか防御力、それってなんなの?


 詳しく話せば長くなるので、今は重要な部分だけとありあえず考えるとして…簡単に言うと、このセステレス式ステータスが高い事って、いったいどんな風にどれくらい強くてどの程度安全なの?って所を探るのが目下最重要案件だと私は考えた。



 防御力999の相手に対して、攻撃力10とか20の主人公。さあ、さっそく攻撃してみよう。ダメージは0……まあ、計算方法によってはおまけ程度に1のダメージが入る事もあるだろう。

 はい実験終了。ここまでは、ゲームの話。


 だがもしも例えばその相手と言うのが、超絶目つきが悪くて規格外な防御力を持った生命としては魔族ではあっても、人と変わらぬ柔肌を持ったアイと言う名前の少女だったとしよう。そして主人公が、レベルが低くて攻撃力もそこそこ…更に剣を持った事が無いド素人がその手に持つのは、攻撃力表示が低いものの武器としての機能を損なってはいないそこそこに鋭利な刃物。例えば100均で売ってる包丁とかで良い。多分ゲーム世界換算すればそこまで高い攻撃力は出ないだろう。

 さて、では、ここでもう一度再現してみよう。

 ………主人公はその鋭利な刃を少女アイのどてっぱらに突き刺す。さて、何が起こる?

 …刺さるだろ?刺さらないの?刺さりますよ?もしこれが刺さらないと言うならば物理の法則に反しているような気がしませんか?

 はい!ここまでは、現実での話。地球での話。


 なら物理を超越する魔法が当然のように存在し、そんな魔法すらを超越するスキルが一般に知れ渡って居て、スキルを授ける神が実在するこの異世界であれば?

 ステータスの数字が物理を超えるその他諸々、魔法やスキルや神様の力等、この世界を構成する全ての情報を余す事なく表している数字だとすればどうだ?

 ……ああ、多分そう。柔肌に突き立てた鋭利な刃は、勇者アイの体力を0、もしくは最大で1しか削る事が出来ないと言う事実へとつながるのだ。

 はい…と言う事で、ここで最終段階。本実験です。



 ムラクモと呼ばれる国士無双の最強戦士、ウルカスが全力で振り下ろした大剣。

 その終着点で響いたのは、金属剣が出すような甲高い音ではなく、巨大な鉄球同士を高速で正面衝突させたような、腹の底まで届く低く大きく何よりも耳障りな轟音だった。 

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