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邪眼は正しく使って下さい!  作者: たかはし?
世界転移の邪眼勇者編
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第4眼 異能は手早く選んで下さい! の1つ目

実は5月が作者の誕生月!

アニバーサリー記念で、本日2話分連続投稿。




「名前の件はひとまずこれで大丈夫です。」

「…その言い草、依頼は他にもあるの?」

「実を言うと、結構沢山…勿論、絶対にとか、無理にでもとかは言わないのです!ただ…できれば、どうしてもお願いしたい事が、全部で、5つ、あるのですよー。」

「…覚えきる自信がない。」

「あ、後で手続きの時に、表にまとめて渡すのですよ。」



 こちらは契約申し込み書の通りに…って、聞きなれた単語のせいで脳が仕事モードに!いかんいかん。

 …にしても、手続き?表?

 私は何をやらされるんだ。



「一先ず最優先して欲しいのが、勇者召喚の儀式魔法を、根絶して来て欲しいのです。」

「任された」



 即決。

 こんな害悪にしかならない物、残しておいて良い事はない。

 私のような悲劇を繰り返してはならない。

 と言うか、現実に戻れても、また小説読んでる最中に呼ばれたら、今度は確実に断固拒否するだろう。


 王都、消滅。


 …そんな悲劇は、そもそも生んではならない。



「完膚なきまでに、宜しくお願いするのです。」




※------------------※




「…まだなのですか。」



 それは、疑問系ではない。断定だ。

 まだ考えてるの?じゃない。まだ考えてたのかよ、だ。

 さて、ビジネスと言うからには当然見返りがあるわけで。

 その見返りとやらは、可能な限り、最大限、有意義で有益な物であるべきだろう。

 私は宙に浮く一冊の厚めな辞典に似た物と、その横でまた目の前に浮く長方形の窓とを睨めっこしている。

 …体感時間で、2時間はとっくに過ぎている。

 神様?ああ、私の隣で寝てるよ。

 ごろごろ、でろでろ、だらしなく。

 浮いているのも疲れた、とか言って。







 私は悪くない、仕方がないのだ。

 だって、そりゃそうだ。

 「予定外で、突然で、一方的な上、女神からはクエストを発注するわけですし。超サービスするのですよー!」と言って渡されたのは、選べる異能力百科事典。

 この中から、本来は一つである所、三つまで持って行って良いと言われたのだ。しかもこの空間でなら、お試し可能。

 曰く、なんだか別件の異世界召喚の際、お試しができなくてトラブルが発生したからとかなんとか。

 …めぼしい物は一通り、試してみたくなるのが人ってもんだよね。みんな、そうだよね?


 

 なお、最初にこのステータス画面を見た時から既に、一つの枠が埋まっていた。


「それは体感速度とか思考速度を加減速する能力ですよー。会話が進まないので、先行御試しも兼ねて、ちょちょいと。」


 と言われた時に思い出したのは、会ってわりと早い段階で、見えない空間でなにやらしていたお姿。

 あの時はまだちょっと、女神様らしさも残っていた気がするんだけどなあ。


 『加速世界の孤独思想(イデオロギスト)


 …どうしよう。ルビがふってある。

 それも、結構キツメの奴。

 イデオロギー。何、それ。聞いた事有る気がするし、気のせいのような気もする。

 英語の成績は良くなかったが…なんだか意味が間違っていそうな気がする。やだ、怖い!

 いやいや、誰のセンスかはわからないが、人智の及ばぬ奇跡の力。

 見た目で判断しては駄目だ。うやうやしくしなければ。決して引いてはいけない!


「…カッコイイでしょう?」


 ああ、女神様。

 貴方だったか。


 とりあえずこの、加速世界のなんたらりすとは一旦外そう。

 そう思って手を近づけると、全体ではなく一文字だけを選択してしまった。


 …なんだ、これは…?

 一文字ずつ編集できる…!?

 一文字消してみると、その途端に今までの思考速度が保てなくなる。

 思ったよりも意外と優秀だったのかもしれない、ナントカリスト。


 消した「速」の文字を元に戻す。思考が巡る。

 その様子を見ていたらしく、だらっとしていた体に少しだけ力を入れて、声を投げてくる。


「あ、その本はさっき言った通りあくまで『見本』ですので。能力名はご自身で決められますよ。とは言え大変な上効果がどうなるのかは試してみない…と…、え、と………まさか、今からまた、試したりは…?」

「寝てても良いよ?」


 リアクションが無い。どうやら、フリーズしたようだ。 



 そして辞典の横に浮く、タブレットの画面みたいな透過ウィンドウ。

 これは俗に言う、ステータス画面だ。

 こっちもまた「自分自身のパラメータは、現実的な範囲で好きに変更できるようにしたのです。なんなら男にだってなれるのですよ!どうぞご自由に!」なんて言ってくれた。

 因みにウィンドウをスクロールしていくと、空白の枠が三つ現れる。

 下二つには、ご丁寧に「NEW!」とか「EXスキル」とか書かれている。


 ネット風だったりチープなサブカルチャーっぽさ。理屈ではなくなんだか笑いがこみ上げてきた。  


 本来一人一つしかないスキル枠が二個追加され、計三個。

 辞典で選択したスキル名が自動でコピペされる便利仕様だった。



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