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邪眼は正しく使って下さい!  作者: たかはし?
世界転移の邪眼勇者編
105/162

第25眼 最悪の災厄に備えて下さいっ…! の2つ目


 さてと。

 敵軍全てが見渡せる位置で停止。

 ここからは滞空モードに切り替えます。快適なフライトをお楽しみ下さい。



『やあ、頭上から失礼。何処の誰ともわからぬ諸君。こちらの声は聞こえているだろう?遠路はるばるなのかもわからないけど、こんな場所までご苦労様。私は本日この国に召喚された勇者だ。よろしくぅ。』



 自分の声が反響して聞こえる事を確認し、目の前と地上各所をアイテムボックスで繋げる。これで地表に設置した出口各所が、魔法で増大した音声をお届けする中継地点となった。


 返事を待ってみたが、返事どころか呼びかけてはみたものの大きな動きはない。

 まあ相互通信ができるわけじゃない。こちらの声をただ一方的に放送してるだし仕方ない。もしくは相手も同じ手段で声を届けられるのに、わざと無視している可能性もあるが…



『単刀直入に行こう。この国は私の管理下に入った。私の所有物だ。人一人どころか、壁に畑、そこら辺の草木に至るまで全て私の物と言うわけだ。当然傷でもつけよう物なら君らは勇者の敵になる。勿論私に対して攻撃があってもね。勇者の敵になるってのがどれだけの事かはわからないわけじゃないでしょ?……それを理解した上でだ、所属を明らかにして降伏する気はあるかい?』



 未だ返答はない。


 面倒だ…。

 ここまで人が居るなら代表人物が指揮をとってるだろうけど、そう直ぐに返事は帰ってこないかぁ。

 


『対話する気があるなら、私と話してくれる人が居る所で目印でもあげてくれよ。まあ、3分位は待ってあげよう。』



 そう言い切ったか否かと言うタイミングで一つの火の手があがる。

 いや、炎の塊が空に向かって飛んだ、と言った方が正しい。

 私の身長を軽く超える大きさの火球が、数メートル横を霞めて行く。 


 これは、私の予想をはるかに超えた目印のつもり………はないな。

 もしや私の優しい優しい忠告は聞こえてなかったって事なんだろうか?

 いやいや。

 戦争のきっかけが命令無視した一兵卒の銃声、なんて話は虚構史実問わず数多に存在する。

 決めつけは良くないしね。



『これが返事って事だろうか?一応、もう少しだけ返答がないか待ってるよ。』



 そのまま無反応が1分と少し続いた。

 が、改めて始まった魔法らしい光は先程とは違って地上から無数に飛んできた。

 横に広がった中で中央近く、私に比較的近い位置からだけだが、それでも数えるのが億劫になる程の数だった。


 大きさがまちまちな火の玉、それよりも速度がかなり速い青く細い雷。目に見えない半透明な物等もある。一部は私に届く前に重力に負けたらしく地表に戻っていった物もあるし、そのすべてが私に直撃するコースではなかった。が、私に届く勢いで飛んできた物は全て、足元の少し下に展開済みのアイテムボックスのとても大きな入口に吸い込まれていく。

 私に当たりそうもない範囲外の物はそのままスルーして、半径25メートル程を霞めていくだろう至近弾だけ。



『ああ、とりあえず君たちの選択は理解した。まったくさぁ…君ら、それで本気なんだろ?そんな遠くから頭も使わずバカバカ魔法撃ってばっかだけどさあ、こんなんじゃ勇者の相手としては落第だよ君たち。私とまともに戦いたいなら、重力くらいは覆してくれなきゃお話にならないよ?ま、言っても仕方ないだろうけどさあ…。それじゃあ、最後に一つだけ言っておきたいんだけど…』



 返事はそれで充分だが、私にはもう一つ気になる事がある。


 一斉に始まったその瞬間に比べれば勢いは落ちたが、それでも繰り返し放たれる魔法弾の豪雨。

 アイテムボックスの直前まで激しく鳴り響く轟音がノイズにならないよう、さらに上空へふわりと浮く。



『この中に本当は戦いたくないのに、事情があって連れてこられた人は居るかい?人を傷つけたくない、相手が勇者だと知ってたら戦いたくなかった、誰かを人質に取られている、とかとか、その他、エトセトラエトセトラ……。まあ、敵前逃亡はやっぱりこの世界でも厳しい罰則があるのかもしれないけどさ。それが怖いって言うなら降伏した君の命だけは保護してあげよう。さあ、今スグ武器と金属鎧を全て脱ぎ捨て……金属類の全てを手放した奴だけは助けてあげるよ!今スグにだ!』



 呼びかけ後、心なしか魔法の勢いが弱まった気がした。

 気のせいかもしれない、と思う程度だが。


 そのまままた1分程待って、おそらく最初の呼びかけから3分ほど経過したかと言う頃。

 未だ魔法は止まる気配もない。

 この位置から放たれる魔法は王都近くに居る軍にまでも届かない位置だが、それでも私のアイテムボックスに入らなかった物の一部は放物線を描いて後方へ飛んでいく。

 もう少し近づかれてからだともっと色々な物を巻き込んでいたと考えると、まだここで良かったと思うべきなのかもしれないが……荒れていく道や道沿いから離れた場所にある小さな畑らしき場所。

 やっぱり見ていて気分の良い物ではない。



『さあ、そろそろ時間かな。』



 現在自分が使っているアイテムボックスの数を確認。

 まず飛行の為に自分自身に使っている出入口。1。

 魔法を受け止める盾役が、1枚だと角度的に不安だったため2枚をブイ字型に使っている。計3。

 音声発信の中継地点に使っている物が4。ちなみにレン、おばさんが入っているを使っている。突然私の声が響いて中で驚いているだろうけどそれはまあいいや。と言う事で計7。

 なので実は現状、全て使い切っている。

 なら呼びかけはもう終わったし、中継機はもう必要ないだろう。そう思って4つを解除する。


 さて、そろそろごみ掃除の時間だな。



『絶対鑑定の遠望透過(イーグルアイ)』さらに『積量有限の七道具箱(アイテムボックス



 遥か上空。所属不明軍を一望できる位置に視点を固定。

 そして新たにアイテムボックスの入口扉を4枚展開。



「キヒヒ!ごみはごみ箱へ…!」



 そして入り口の条件付けをしたうえで効果を発動。

 すると、それまでずっと耳障りに響いていた音が止んだ。



「ついでに分別にもご協力くださいってね?キヒヒ、キヒ、ヒーハハハハ!!」



 見下ろす地上は、魔法で荒れた地表以外は平和そのもの。

 人が居た痕跡等、何一つ残っていなかった。



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