責任があるから毒舌っぽくなるってこと、とてもよく分かった
「さっきからこっち見てるけど、何か言いたいことがあるなら口で言いなよ」
カナタさんの正論が僕に対しても炸裂する。ああ、ちょっと気持ちいいのは僕がおかしいのだろうか。
「ごめん。その、カナタさんの論拠というか、話す内容に興味をがあるもんだから」
「名前、なんだっけ」
「カトオ」
「ん? カトウ、じゃなくて?」
「本名はカトウだけど、小学校の頃からカトオ、って呼ばれてる」
「ふ。面白いね。わたし、カトオのこと気に入ったよ」
「ありがとう。じゃ、友達になってくれる?」
「は? 今さら。同じクラスの時点で友達でしょ」
「あ、うん・・・その通りだね。じゃ、色々訊いてもいいかな?」
「情報は与えることで初めて得る資格ができる。まずはカトオのことから教えてよ」
「分かった。え、と、僕は滑り止めでこの高校に入った」
「正直でよろしい」
「入学したての頃はなんでこんな学校にいるんだろうって鬱々としてたけど、今はこの高校好きだよ」
カナタさんもいるし。
「じゃあ、わたしはね、時間がないから」
「時間がない? どういうこと?」
「カトオ。人間の寿命ってどのくらい?」
「え・・・90とか、長くて100歳?」
「まあ、そうだよね。100年なんてあっという間。若いって言ってもうかうかしてたらあっという間に寿命が来ちゃう。500年ぐらい生きられるんなら、友達とのやりとりもなあなあにしておくけど、時間は限られてるんだから本音と事実で話さないと後悔する。だからわたしは嫌なこともズバッと言う責任がある」
「はあ・・・」
「あれ? ピンとこない?」
「ううん。すごいな、って思って。いつも真剣だから言葉が鋭くなるんだね」
「嫌な奴だって思うでしょ」
「ううん、そんなことない。むしろ、カナタさんはすごいいい人」
「ふ。無理しなくていいよ」
あと、これは僕がもう一つ気がついたこと。
カナタさんが笑うと、天使みたいだ。