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十二月の雨(2)

傘を持ってこなかった事を後悔した。晴れていれば今の時間は西の空が夕焼け色に染まっているはずだけど、今空を見上げると、どんよりとした灰色がだんだん黒くなっていくだけだ。相当雲が分厚いだろう、今にも降り出しそうな感じだ。その証拠に周りを歩いてる人の大半が傘を持ってる。

五時前の新宿駅西口はそんな感じだ。相も変わらずここは人がごった返してる。

ふと、考える。この場所に、人がいなくなる事って有り得るんだろうかな。仮にあったとして、そんなのどういう状況なんだろうか・・・・

ん?やばいな、ポツポツきだした。どうしよう、今からコンビニかどっかで傘を買ってたら絶対に五時を過ぎるな。長岡と合流してから買いに行こう、なんとかそれまで持ってくれればいいんだけどな。

アスファルトに黒い点々が広がって特有の雨のにおいが広がり始めたころ、長岡から電話がかかってきた。

「もしもし、長岡は今どこにいるんだ?」

「今アルタの前の横断歩道渡るところよ」

「わかった。俺がそっちに行くから待っててくれ。」

雨が少しずつ強くなってきて、周りの人間のほとんどは傘をさしてる。早く長岡に会わないとずぶ濡れに・・・あ、いた。すぐに分かったのは長岡も傘を持ってなかったからだ向こうも俺に気付いた。

「お待たせ、悪いけど先にコンビニに行っていいかな。傘忘れちゃってさ。」

「あの・・・ごめんなさい、それは後でいいかな。少し急いでるから。」

 そういって長岡が歩きだす。・・・なんか、話があるって言ってた割にはそっけない感じだ。よく見ると服装もなんか地味だし、俺なりに気合入れてオシャレしてきたのになんか肩すかしをくらった感じだ。

 雨は本降りになってきたが、アーケードの下を歩いてるので濡れることはない。長岡は無言で早足に歩いて行く。なんか話し掛けづらくて、俺はただついて行くだけだ。一体、どこに行くんだろうな。話って一体なんだろうな・・・。

 長岡が足を止めて振り返った。

「ここに入りましょう」

 そう言って入って指差したのは、チェーンのファミレスだった。何ていうか、ほんとに変哲のないただのファミレスだ。

「ここでいいのか?」

「ここで、待ち合わせだから・・・」

「待ち合わせって、誰と?」

「とにかく待っていれば分かるから。」

 そう言って入っていく。待ち合わせの相手ってのは、まだ来てなかったみたいでとりあえず窓際のテーブル席に座る。座って、今日初めて長岡と向き合った。浮かない顔っていうんだろうか、なんか、いつもの長岡らしくない。

 お互い黙り込んだままだ。

 気まずい沈黙。とてもじゃないが俺は堪えきれない。「あのさ、」と言いかけた時、

「ごめんなさい、少し待ってて。電話してくるから先に何か頼んでおいて。」

 そう言って席を立っていってしまった。

 何、だかな・・・何か注文する気分でもなく、頬杖をついて窓際で外をながめる。

 外は、雨が本格的になってる。今日はそんなに寒くはないから雪にはならないだろうな。

 ・・・雪とかだったら少しはロマンティックだったかな。

 それにしても誰なんだろうな、待ち合わせの相手って。友達とかそういう雰囲気でもなさそうだし・・・まさか長岡の両親?いやいや、いきなり飛躍しすぎだろ、まだ付き合ってもいないのに。

 でも、ホントに付き合うってことになれば、色々と考えなきゃいけないよな。仕事だってきちんと安定した所で働いて、貯金だってしっかり貯めて、俺も、・・・長岡もお互いいい齢だし、そりゃ結婚とかだって・・・だから、飛躍しすぎだって俺。とにかくまずは仕事だろう。向こうはちゃんと働いてるんだからせめて釣り合いが・・・

「いやいや、お待たせして申し訳ない。」

 俺の妄想?はその声で中断された。目の前にいたのは長岡と、男女の二人組だ。

 二人とも四十歳ぐらいだろうか、少なくとも俺よりかは年上だろう。ただ長岡の両親とかにしてはいくらなんでも若すぎるし、顔立ちも全く似てない。

 いやそれよりも、変な感じだ、とても。

 どうして、そう思う?なんでだ?

 格好は小奇麗だけど、なんか、違和感がある。何ていうか、この街にマッチしてないっていえばいいんだろうか、三十年ぐらい前のドラマに出てきそうな服装というか、とにかく何かズレてる。

 それより何よりの違和感は、気持ち悪いくらいの満面の笑みだ。

 そう、それだ。初対面の人間に対しての笑顔じゃあ、とてもない。もし後ろにスペースがあるなら思わず後ずさりしてしまいそうだ。

「おや、注文してないみたいですね。せっかくだから食べながらお話しましょうか。」

 そういって男の方が俺の隣に座り、女が正面の席に座った。長岡は女の隣、つまり俺から一番遠い場所に座った。

 長岡が連れてきた二人は注文を始めた。

「君はどうします?」と言われたが、「いや、別にいいです。」と断る。

 すると男の方が顔を寄せてきた。近い。

「遠慮することはありませんよ。今日は私達の奢りです。」

「いや、それは自分で出しますんで。ドリンクバーを。」

「・・・私もドリンクバーで」

 長岡も俺に続けて同じものを頼んだ。

 とにかくいったんこの場を離れたい。俺はドリンクを注ぎに席を立つ。いや、ドリンクなんてついでだ。長岡には聞きたいことが山ほどある。そう思って視線を送ったが、長岡は座ったまま動こうとしなかった。

「長岡も、ドリンク・・・」

 つい、低い声が出てしまう。

「今はノド乾いてないから・・・後にします」

 なんで敬語なんだよ?

 無理やり連れてくか、とも考える。

 だけどそれも・・・くそっ、いつまでも突っ立てたら不自然だろ。

 一人で、ドリンクコーナーに向かうしかなかった。背中に、視線を感じる。

 コーヒーマシンの前で思考がぐるぐると回りだす。

 予感がする・・・イヤ、どっちかというと予想だ。とてつもなくイヤな予想だ。

 これってアレか?そうなのか?そうだとしたらどうする?

 ここに連れてきた長岡に対して俺はどうすればいいんだ?

 気持ちが、混ざる。変な色の混ざり方だ。黒くて泡立っている。

 両手でつかむと、熱い。単に取っ手をつかめばいいんだろうけど、両手でしっかり持ってないと震えて手を滑らしそうで怖い。そうなればこぼれてしまう、黒が。

 回ればまわるほど、息が荒くなっていく。動悸が激しくなる。もうこのままここから出ていこうか。いや待て、今日は何のために来たと思ってるんだ、それにまだ完全にそうだと決まったわけじゃないだろう。思い過ごしかもしれないじゃないか・・・願望じゃないか?分かってるんだろ、そうじゃなくて、もう・・・・ああ。

・・・落ち着け、俺。とにかくハッキリさせないと。

 コーヒーを持って席に戻ると例の二人が笑顔で出迎え、男の方がわざわざ席を外して俺を窓際に座らせる。逃げ場が、塞がれる格好だ。

 手持ちぶさたでコーヒーを口にするが味なんてわからない。

 そんな俺の様子を満面の笑顔でなめる様に見つめてくる。思わず目を背ける。

「武田君ですよね、話は長岡さんから聞いていますよ。」

 女の方が身を乗り出して話し掛けてくる。おい、何を話したってんだよ、長岡に目を向けるが、相変わらずうつむいてこっちをみようとしない。

「・・・話って何ですか?あなた達って一体誰なんですか?」

「申し遅れましたね、僕はグセシンリノカイ新宿支部長のテラダと言います。」

「私はイノウエです。」

「な、何ですか、そのグセなんとかのカイって・・・」

 俺の言葉に、テラダとイノウエが意外そうに顔を合わせる。

「長岡君、彼とはどこまで話をしたのかな?」

 テラダに話を振られた長岡はうつむいたまま、ますます小さくなる。

「武田君にはここに来てもらっただけで、ほとんど話は・・・」

「ふうん、まあいいでしょう。ところで武田君、今お仕事は何をされてるんですか?」

「あ、いや、その・・・飲食関係の仕事っス。」

 おいおい、何律儀に答えてるんだ、俺。

「飲食ですか、じゃあ厨房に立って料理されるんですよね、すばらしいじゃないですか。私は料理が全くできないのでうらやましいですよ。」

「いや、別に・・・バイトですし。」

「いいえとんでもない。色々レシピをご存知なんでしょ。今度教えてほしいですわ。」

 それからテラダとイノウエが、かわるがわるに俺の身の上の質問を浴びせかけてくる。っていうかさっきの俺の質問は完全に向こうにおいやられてる。

 それから延々と俺の事について聞いてきた。それに答えるたびにやたらとほめちぎってくる。恐ろしい事に、正直悪い気はしない。思わず気を許しそうになってしまう。

 そうじゃない、俺が知りたいのはこいつらが何者で俺は何をしにここにつれてこられたかってことだろう?

「あの、すいませんが」

「いやーあなたは本当にいい人だ。こういった方にはなかなか巡り合えませんよ。」

 また、はぐらかされて

「やめて下さい・・・俺なんて、この年になってもプータローなんですから。どうしようもないですよ。」

「あらお悩みがあるようですね。でもどうしてかしら、あなたのような素晴らしい人が報われないというのは、どういうわけでしょう?何故か判りますか?」

「そりゃ、俺自身の問題で」

「いや、そうじゃないんです、あなたが悪いんじゃないんです。私にはわかりますから、あなたが素晴らしい人だという事が。ここでお話しできるのも何かの縁、いや運命だと言ってもいいかもしれません。」

 距離が、ますます近い。

「武田君、今の世の中は本当におかしいとおもいませんか?真面目に働いても報われず、人を騙し騙されたりするのが当たり前になり、若者が未来に希望を持てなくなっています。これはひとえに人が本当に幸せになるため道を知らないからに他なりません。」

「・・・なんっすか、本当に幸せになるための道って。」

「正しき仏の教えです。」

・・・・・。

・・・最低な、答えが。

「仏教は昔から日本に広まっていましたが、それでも世の中は良くなりません。そしてモとより仏教の造詣が深いハタ・レンショウ先生は大いにギモンお持ちにナラれました。そして気付かれたのでス、無数にある仏教の宗派の言ってルコトハゼンブウソッパチダッタトイウコトヲ!。」

 俺は・・・俺は・・・なんなんだよ・・・こんな事のために、どんな思いで・・・

「ハタセンセイノオシエヲ二シタガエバ、ヒトハミナ、ジョウブツデキルノデス!」

「ソレダケジャアリマセンワ、ワタシノシリアイハ、カジ二アッタトキマワリノイエガヤケテシマッタナカデユイイツブジダッタンデスヨ。ホトケサマガマモッテクレタンデス。」

「コノオシエヲマモレバ、タトエシンダトシテモソノカオハヒジョウニヤスラカニ・・・」

 畜生、長岡・・・何でこっちを見ないんだよ・・・本気だったんだぜ・・・変わろうと思って・・・こんなクソみたいな・・・・そうだ、そうだよ。

 全部・・・みんな・・・クソったれが

「クソったれが・・・」

 ふざけんじゃねえよ

「ふざけんじゃねえよ・・・」

「え・・?」


 ドン!!!


 机をたたく大きな音、そして、握りしめた拳から広がる熱・・・

 怒ってるのか、悲しいのか、悔しいのか、辛いのか苦しいのか切ないのか、もうぐちゃぐちゃで何が何だか分からない何かが、弾けて、俺は思いっきり机をぶったたいていた。

 拳から湧き出た熱がそのまま全身に広がる。頭の中が、昂る。その癖、感覚だけは妙にクリアになってきて、その証拠にイノウエやテラダが驚いた顔でこっちを見たまま硬直してるのが、ハッキリ見える。周りの客や店員がザワついてるのも、聞こえる。だけど・・・だけど・・・肝心の長岡の姿だけがぼやけて。近くにいるはずなのに遠近法が狂ったみたいに距離が広がっていく。

 そうだ・・・長岡は、顔をそらし続けていた。ずっと・・・あんなに派手に音立てたって・・・。

「長岡ァ!!!」

 声が裏返って、ノドに痛みが走る。

 一瞬びくっとする。それでもなお、顔をそらし続ける・・・

 もういい。

 どうだって。

 関わりたくない。

 顔も見たくない。

 隣に座ってたテラダを押しのけて、俺は歯を食いしばって肩をいからして足早にファミレスを出た。もう振り返りたく何か無かった。

・・・・。

 なんだよ・・・・。冷たい・・・濡れてるのか・・・ああそうか、雨が降ってたんだ・・・傘、買うつもりだったんだよな・・・いいや・・・どうでも。

 冷たさが沁みわたって足取りが重くなる。さっきまでのいかり肩ががくんと垂れ下がる。それどころか足元までおぼつかなくなって、あれ・・・?新宿駅ってこっちだっけ・・・

 うん?後ろからバシャバシャと足音がきこえてくる。

「武田・・・君」

 女の声がする。知ってる女の声だ。だけど、だからこそ俺は振り向くことなく泥のように重たい足を止めなかった。

「ごめんなさい武田君、私、ズルイ人間だよね・・・」

 その言葉に反応して、足が、止まる・・・ヘッ。

「分かってんじゃんか・・・自分がクソ女だってことがさ・・・」

「えっ・・・」

 ゆっくりと振り向く。目の前には雨で濡れた女が、立っていた。

「あのさぁ・・・お前、どこまで俺をコケにすれば気が済むんだよ・・・」

「そんな・・・私は」

「五年前はほかの男と天秤にかけたあげく見事なポイ捨て、そして今度はシンコーシューキョーで壺でも売りつける気だったのかい?ホント笑わせてくれるぜ」

 唇の端がヒクついて、目の前の濡れ女に・・・クソ女に、ゆっくりと迫っていく。

「おかげさまで俺の人生はグチャグチャだよ。300万の借金背負って、親からは勘当同然。30手前になってもこの通りプーターロー身分、挙句の果てには女性不信になってこの年まで素人童貞さ!」

「あぁ・・・ああ」

 女の顔が、ゆがむゆがむ・・・

「それでも今度こそ信じようと思った!やり直せると思ったんだよ!それがどうだい?やっぱり馬鹿を見ただけじゃないか。どこまでも俺は愚か者だって解らせてくれてありがとう!さあ・・・笑えよ、笑い飛ばせばいいじゃないか!みじめなこの俺をさ!」

 おい・・・

「もうこれ以上お前みたいなビッチには関わりたくないんだ!バカでビンボーな俺なんかにかまってないで今すぐ戻ってあの二人に媚でも売ってくりゃいいじゃないか!」

 さすがに、言い過ぎだろ・・・

「それとも教祖様に股を開いてお許しでも乞えばどうだ?!その方がよほどお前らしくてお似合いだぜ!」

 最低だ・・・これは・・・

 長岡は顔を伏せたまま振り返って、走り去って行った。その後ろ姿は、すぐに傘の中に埋もれて見えなくなる。俺は、ただ立ち尽くすだけだった。

・・・終わった、もうこれで・・・

 空を、見上げる。ビルの合間からドス黒い空が渦巻いて、俺の顔に、体中にひたすら冬の雨をぶつけてきやがる。目に入って街灯やイルミネーションが滲んで霞む。

 こんなに

 くそっ

 ただひたすら、冷たい。



 次の日、俺は見事に風邪をひいてしまった。当たり前だ、帰ってから風呂に貼るどころか群れた服を着替えもせずにそのまま布団に倒れこんじまったんだから。39℃以上の熱が出てそれから丸々一週間寝込んでしまった。バイトは、休むしかなかった。

 長岡から電話やメールがあったが全部無視した。メールをひらくことすらしなかった。いや、できなかったというべきか・・・。そんなのも三日もしたらパッタリと途絶えて、それからは音沙汰なし。

 この一週間、布団の中の俺は、頭の中がひたすらグチャグチャに掻き混ぜられてるみたいで、それが熱のせいなのか、それとも自暴自棄になって混乱してるせいなのかもうよく判らなくなっていた。

 もういやだ

 死んでしまいたい

 ただ、何を考えていてもそんな結論ばかりに行きついてしまうのだけは、なんとなくわかった。だけど人間って、いや少なくとも俺は、思うだけでは、死にはしなかった。生き延びてしまった。腹が減って、メシを食っていた・・・

 そんなんでこの一週間は永遠にも一瞬にも感じた。なんだかよくわからない。ああ、今日はバイトだ。さすがに今日はいかなきゃ・・・どうなんだろう?どうだっていいような気がする・・・熱は下がったのに頭は風呂にのぼせたみたいにふわふわしたままだ。

 重たい体を引きずって電車に乗る

 朝の、満員電車だ

 ああ・・・うざったい

 全身にかかる圧迫感も、加齢臭と蒸れた汗の臭いも、立ち並ぶしかめっ面も、何もかも、全部ひっくるめて


 うざい・・・壊したいほど



 俺の顔を見るなりパートのおばちゃん達がぎょっとする。

「武田ちゃん大丈夫?ずいぶんとやつれちゃって、風邪が治ってないんじゃないの?」

 そうなんだろうか、鏡なんて見てないから今自分がどんな顔をしてるのかわからない。そういや髭剃ってきたっけ、まあそれもどうでもいいや・・・

 ここにきて何をすればいいんだっけ、思い出そうとしたけど、それもどうでもいい・・・

「あなた、こんなところで何ボーっと突っ立ってるんですか?」

 声がする、俺に話しかけてるんだろうか・・・

「まったく、風邪だか何だか知らないですけど一週間もシフトに穴を空けるなんていい身分ですね、何様ですか?あなたは」

 ああ、こいつは・・・この声は・・・いちばんどうでもいい・・・

「おまけに髪はボサボサ、髭は伸び放題、ウチの仕事に対する態度がこれでよくわかりましたね。まったく情けない人ですよ」

 人を見下した視線も・・・口元に浮かぶ冷笑も・・・

「そんなことだからいつまでもフラフラとして定職にも・・・な・なんですか」

 どうでもいい・・・うざったい・・・どうしようと・・・どうなろうと・・・

「な・何ですかその目は、私に逆らおうってんですか、ちょ・ちょっと」

 そう・・・俺は・・・この野郎を・・・現実を・・・

 ずっと、こうしてやりたかったんだな


 バキッ!


 派手な音がして目の前の男が床に転がる、周りが騒ぎ始める、誰かが俺を後ろから羽交い絞めにする、そうしていろいろなモノがもみくちゃになって、頭の中は相変わらずふわふわして、まるで夢の中にいるみたいだ。

 ああ・・・そうだ・・・きっと

 全部・・・悪い夢だったらいいのに・・・



 俺はこの日、須永の顔面を思いっきりブン殴った。



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