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第8話:なんでこうなるの!?

まひるとの一件から数日・・以前連絡がないままだったが、まひるの母親からの「様子をみてきて欲しい」の言葉に戸惑いながら、またまひるに会えると、彼女のマンションに向かったナルだが・・・

 

 ものの15分くらい歩くと、彼女のマンションについた。


 そういえばここのマンションは暗証番号いるんだっけ?


 そんななことまったく考えてなかったな。彼女のマンションに向かう!vそれしか頭になかった


 しばらく考えて、朝かかってきたまひるの母親の携帯に、もう一度かけてみることにした。


 プルルルプルルルプルル 「こちらはお留守番センターです」


 やっぱ出ないか。


 どうする?どうしようも出来ないけど、とりあえず入ってみるか?


 ちょうど犬の散歩から帰ってきたおばあさんとはち会った。


 もちろんここの住人だろう。暗証番号を押してドアが開いた。


 今行くしかない!!僕は怪しまれやしないか内心ドキドキした。犬を連れたおばあさんも、エレベーターへ向かった。


 こちらをみてる・・・冷や汗がドッと出てきた。


 やっぱり怪しいよな。住人じゃないんだし、管理人さんに言われたりしたらどうしよう。なんて考えていると、


 「こんにちは」

 

 おばあさんがにこやかに話しかけてきた。


 「あっこんにちは」

 

 精一杯の笑顔で返した。


 「今日はね、ももちゃんのお誕生日なのよっ」


 「ももちゃん?」


 おばあさんは抱っこしていた犬の顔を、僕のほうに向けて「この子」 と微笑んだ。


 「おめでとうございます! 可愛いですね」


 ほんとにかわいらしいトイプードルだったので、僕も自然と微笑んだ。


 エレベーターがついて、おばあさんを先に乗せてあげ、犬のももちゃんの首輪がプレゼントなんだって話を聞いて、3階で「じゃぁ」 とお別れをした。


 「よかった〜!」


 ほっとして、思わず深くため息をもらした。こんなにドキドキしながら、誰かの家に向かうなんて初めてだよ。


 最上階に到着して、「よしっ」とー自分に気合を入れなおして、いざ彼女の部屋へ!!


 ピンポーンピンポーン

 

 寝てるのかな?


 ピンポーン

 

 うーん。やっぱり寝てるよなぁ。


 「様子見て来いとは言われたけど、さすがに鍵は開いてないだろう」

 と、ドアに手をかけると


 ガチャッ・・・開いてる・・・


 「すいませーん。誰かいませんか〜?」

 

 彼女しかいないはずなんだけど、小声でそう言ってみた。


 「すいませんーまひるさんいますかぁ?」


 シーン・・・


 何の音もしない部屋に、不安がこみあげてきた。


 

 もしかして、また倒れていやしないよなぁ?


 いやっベットで寝てるだけだろう?


 でも・・・でも・・・


 「ごめんなさいっあがります!」

 

 僕は不安に耐えられなくなって、急いで靴を脱ぐと、足早に彼女を運んだベットルームへ急いだ。


 扉をあけると、彼女がいない。


 どこにいる? 


 僕はなんだかバカみたいに焦って、「まひるさん!」 って言いながら、リビングまで走り、全部の部屋を開けていった。


 すると


 「もー!うるっさいっ!!」


 一番最後に開けようとしていた部屋から、声がした。


 僕はかけよって、すぐに開けようとしてしまったが・・・いやいやっいけないぞ。

 

 トントン。2回ノックして


 「まひるさん?大丈夫ですか?」 と声をかけた。


 「誰?」


 「僕、まひるさんのお母さんに頼まれて、様子見にきたんです。」


 「だから誰かってきいてんの! あんた耳ついてんのー?」


 「あのっこないだ犬に襲われたときに、運んできたやつです。名前まだでしたよね?松山成実って言います」


 「なんでここにいるのよ!」


 「あの、お母さんに・・・」 言うより先に


 「あのバカ親! もー信じらんない!!」 と聞こえて口をつぐんだ。


 少し沈黙が流れた。


 「で? あんたは何しにきたの?」


 「それで・・・様子見にきてっていわれて、僕も大丈夫かなって心配だったから。あっそうお粥持ってきたから、食べれるかな?」


 「置いといて。レトルトでしょ。後で温めて食べるから」


 「あぁ、いや僕作ってきたから」


 「はぁ? あんたが?」 


 「そう。それくらいしか僕が出来ることないし。テーブルにおいておくから、気が向いたら食べてね」

 

 「・・・」


 これくらい元気に話せるなら大丈夫だろう。そう思って安心した。


 「じゃっこれで帰るから・・またあのっ、早く元気になってね」


 「あっそれと、勝手にあがってごめんね。じゃっ」


 ドアに背を向けて歩こうとしたとたん・・・


 「まってよ!」


 彼女が呼び止めた。


 「あんたさぁ、様子見に来たのに、顔も合わさないで帰るつもり? バカじゃないの?」


 おや? なんだか怒ってる?


 「そうだけど、病気してるときにあんま見られたくないかなって思って・・・」

 

 「なによそれ!!」


 ガチャリ


 ドアが開いて、乱れた髪をした明らかに怒ってる彼女が顔をだした。


 「わっごゴメンね!」


 あまりの剣幕に謝る僕。


 「何がよ!」


 「いや、怒ってんのかなって思って」


 「怒ってないわよ! これが普通なの! 怒ってるって言われるのが一番腹立つわ」


 いやっ怒ってる様にしか見えない。


 「具合はどう? 良くなったかな?」

 

 おどおどしながら聞いてみた。


 「別に」


 怒った顔で、ぷいっと顔をそらしたが、手がモジモジしていてちょっとおかしかった。


 「何がおかしいのよ! あんたねぇ、人の家あがりこんどいて失礼なのよ!」


 「あ・・・すいません」


 「それに謝ってばっかだし、男らしくない!」


 「ごめ・・・」


 言われた先から言いそうになって、彼女に睨まれた。


 しばらく睨んだ彼女は、ちょっと落ち着いてこう言った。


 「うち、部屋汚いからびっくりしたでしょ?」


 おもむろに彼女が言ったので、辺りを見回すと、こないだよりもっと汚れてきたようだな。


 雑誌やバック、服がところせましと散らばっていて、ブランド物もちらほらごみと同様に散乱している。


 「お母さん忙しそうだから」


 何となくフォローしようと必死に言った。


 「どこがぁ? あのおばさん忙しくなんかないし! ただ家事できないだけなのよ」


 「じゃあ、まひるさんがしてあげたら?」


 「はぁ? 何で私がするのよ。大体家事はあのおばさんの仕事でしょ?」


 それはないだろう! そんな言い方したら、お母さんが可愛そうじゃないか。


 「お母さんが出来ない分、カバーしてあげたらいいんじゃないのかな?僕は家ではそうやってしてあげてるよ?」


 思わずそう言ってた。


 「あんたみたいに私暇じゃないの。家事すんのは母親の仕事でしょ? なんであんたがやってんのよ。 もしかして好きでやってるとか? へんなの!」


 頭にきた。


 何でそこまで言われなきゃなんないんだ! 


 口が悪いのは妹で慣らされてるって思ってたけど、それ以上の女の子に出会ったのは初めてだ!


 「僕だって忙しいよ! それに、君だってもっと女の子らしくしたらどうなんだよ!全然かわいらしくないよ!」


 言ったと同時に彼女がバターン! とドアを閉めた。


 しまった・・・


 彼女は病み明けの彼女に、あんなこと言ってしまった。


 女の子に、「かわいらしくない」 はいけないだろう。 


 後悔したけど、何度話しかけても2度と答えてくれなかった。


 最悪だ。さんざん自分を責めた後、彼女に謝るメモを残して、すごすごとマンションを後にした。


 「心の狭い奴だなほんと」


 せっかく彼女に会えて、顔も見れて、話できたのに台無しだ。


 ガックリ肩を落として、川沿いをボーっと歩いていた。


 何度も自分が言った言葉が頭をグルグル回って、当分家に帰る気分にはなれなかった。



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