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第6話:嵐の予感・・

偶然のハプニングから、午前の女神ことまひると接点が出来たナルだが、それから進展はなく・・心の中はまひるのいことで、埋め尽くされつつある自分に気がついたナルは・・・

 

 あれから3日たった。

 

 彼女から連絡・・・ある訳がなく、いつも通り授業をこなして家に帰って、アルバイト先のコンビニにいって、いつくるかも分からない女神を今日も待ち続けた。


 「なぁっ最近あのかわい子ちゃん来ないと思わねえか??」


 同じ大学に行ってて、アルバイト先も同じ工藤が話しかけてきた。


 「あの子さぁ、ぜってーお前に気があるって!俺が隣のレジにいてさぁこちらへどうぞって も絶対並ばないし!お前しか興味ないって感じだよなぁ」


 ニヤニヤしながら、からかい半分に言ってきた。


 「そんなんじゃないよ。たまたまだろ」


 「いーや! だって雑誌コーナーでお前をチラ見してるの、何回もみかけたぜ?声かけてみろよ〜あの子、格好は微妙だけど素材がいいぜ。俺結構タイプなんだよなぁ」


 なぜかカチンときた。


 「お前彼女いるじゃないか。いつもどこ見てんだよ。ちゃんと仕事しろよ!」

 

 カウンターを叩いてしまってハッとした。


 「そんな熱くなんなくてもいーじゃん。珍しいな〜お前がそんなになるの初めてみたぜ? もしかして、恋しちゃってるとか? まさかーすでに連絡先聞いちゃったとかないよなぁ?」


 その言葉を聞いて、顔が熱くなったのを感じて、思わず陳列を直しにレジから離れた。


 振り向くと工藤が、手招きして電話で話すそぶりをしながら、面白がって笑っていて、うんざりした。

 

 あぁ・・・おしゃべりの工藤のことだから、明日には面白おかしく人に話すだろう。

 

 想像してため息が出た。口止めするべきか? いやっそんなことしたら、好きですって言ってるみたいじゃないか? 別に何も悪いことしてるわけじゃないし、ここはほっとくのが一番いいかぁ。


「はぁ〜」


 ため息つきながら、野菜サンドの位置を直していた。


 野菜サンド。これ女神がいつも買ってたやつじゃないか。


 あの子どうしてるんだろ? 貧血なおったのかなぁ。


 ご飯食べれるようになったんだろうか。彼女のことばかり、考えてしまう。


 イケナイ! イケナイ!


 頭をふってまひるの事を考えないようにしようとした。


 「おいっ今日も来なかったなあの子」

 

 工藤がいつの間にか隣にいた。


 「別に。なんか用事があるんじゃないか? それに関係ないし」

 

 関係ない。自分で言っといて何だか少し傷ついた。


 「あっそーですかぁ。んじゃー俺アタックしても関係ないってことですねぇー!」


 「お前! だから彼女いるだろ? なんでそんなこと言うんだよ!」


 「俺、昨日別れたんで〜す!完全フリーだから自由だ〜〜!」


 「はっ?」


 どこから湧き上がったかわからない怒りが、瞬間的にこみ上げた。


 言葉に出来ずに手のひらを強く握り締めた。


 「おいおいっ怒ってんの? 冗談だってば! 彼女と別れたのは本当だけど、お前みたいなイケメンに勝負なんて挑まないし〜それに彼女はいつもお前しか見てないしな」


 僕の肩をポンッと軽く叩いて「お疲れ〜」 と工藤はバックルームへと向かった。


 焦った。


 何にかは分からないけど、彼女をとられるかもしれない状況・・・


 それを想像するのが耐えられなかった。


 認めたくなかったけど、ここ数日、僕の頭は女神=まひるでいっぱいのようだ。


 どうしても彼女を頭から振り払えない。


 元カノ優菜の裏切りの呪縛と、まひるへの気持ちがここ数日、心の中で戦いを繰り返していた。

 

 隅っこのほうで、女は信じない主義がきしみ始めている。


 でも臆病なもう一人の僕は、裏切り映像にスイッチを入れては、恋なんて幻なんだ! って叫んでくる。


 でも・・・仕方なく持ってた興味がないはずの携帯ばかり気になっている近頃の自分。


 トイレに行くときも、料理するときも、肌身離さずいる自分が気持ち悪い。


 彼女から電話がかかってくるんじゃないか?


 いやかかってくるわけない!


 心の戦いは毎日繰り返していたが、どんなに自分に言い訳しても、嘘つけなかった。


 電話がかかってきて欲しいし、期待しているのが今の僕だ。


 ついに戦いは、まひるに会いたい派が優位になってきたようだ。


 次にもし会えたのなら・・・僕から話をしてみよう! 


 心に決めてコンビニを後に、家へと向かった。


 帰りに川沿いの道で自転車をとめた。


 いつものなんてことない風景が、何故か新鮮に思えて深呼吸した。


 すると


 「ピリリッピリリッピリリッ」


 突然の機械音にびっくりして、何が起こったか一瞬わからず辺りを見渡した。


 「あっ携帯か!」

 

 カバンを探って取り出すと、見慣れない番号に心臓が止まりそうになった。


 一回深呼吸して通話ボタンを押す。


 「もっもしもし」


 「あっははは。イケメンのナルくんですかぁ〜?」


 だれ? ほんとに見覚えがない。


 「あの誰ですか? 間違えてませんか?」


 「んもーなんで忘れんの〜? 美人のママさんだよ」


 あ・・・もしかして・・・一人だけ頭に浮かんだ。


 まひるの母親だ。


 「まひるさんのお母さんですか?」


 「ピンポーン!正解ぃ〜あはは嫌だーもう」


 どうも話し方からして、酒に酔ってるみたいだ。


 「あのねぇ〜まひるだいぶよくなったんだけどぉ〜私が今日からツアーがあって忙しいのよ ぉ。だからぁ〜ちょっと昼間にナル君様子見たりしちゃってくらさーい。よろしくぅー」


 ちょっとまって。わけが分かりません!


 「勘違いしてませんか? 僕まひるさんの彼氏とかではないですし・・・ただ単に知り合いっ てゆうか、コンビニでアルバイトしててそれでお客さんとしてですねー」


 言いかけて、電話が切れてることに気がついた。ウロウロしてみたが何をどうしたらいいのかが分からない。


 まず、頭を整理しようか。


 1 今の電話は女神=まひるの母親で、酒に酔っていたようだ。

 

 2 まひるは回復しているが、全快ではない。

 

 3 母親は仕事があるから忙しい?

 

 4 僕に様子を見に行って欲しいようだ


 整理してみたけど、なんで僕が?


 ますます分からない。分からなさ過ぎる。娘が心配なのは分かるけど、男に頼むなんてさ・・・まさか男だとみなされていなんだろうか? いやっどこからどうみても男だよな・・・やっぱり彼氏と勘違いしてんのかな?


 一人でブツブツ言ってたので、犬を散歩をしている人が、不審がって見ているのに気がついて、急いで自転車に飛び乗った。


 「うあーーーーーーー!」


 僕は気持ちがどうしようもなくて、ペダルをフル回転でがむしゃらにこぎながら、叫んだ。


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