お題「白い部屋」(ほんのりBL)
その部屋は白かった。
壁はくすんでベージュになり、カーテンはレースの半透明。花瓶だけが紺色をしている。
それでも、白い部屋だと思った。
なぜそう感じるのかといえば、きっと住人のせいだ。香月は、徹底して白い服を身にまとっていた。多分、カレーとか食えない。
ベッドのヘッドボードも白い。掛け布団も敷布団も白い。その真っ白な空間に、今も白い服の男がストンと腰を下ろしている。
「白が好きなのか?」
「いや、別に」
「服、白いじゃん」
「白い方が幽体離脱しやすいんだよね」
「……はい?」
耳を疑った。頭でも打ったのか? なるほど、だから香月の顔は青白いのか?
どう対応すべきか、さっぱりわからない。否定してはいけないのか、肯定するべきか? そもそも幽体離脱なんて信じていないのに。
「幽体離脱?」
「幽体離脱」
「……わかった。幽体離脱、ね。どうして幽体離脱が必要なんだ?」
自分が混乱して訳のわからないことを口にした自覚はあった。
しかし、香月はふむ、と顎に手をやり、真顔で言う。
「風呂をな」
「……ん?」
「のぞきたくてな」
お前の。
──もしもし、警察ですか。今、頭の中から話しかけています。友人が「自分の風呂を覗きたくて幽体離脱したい」とか言ってます。どうしたらいいでしょうか?




