プロローグ
世界観にそぐわない表現がたびたびあるかもしれませんが、どうかお目こぼしくださいm(_ _)m
既視感を多く感じるかもしれません
不快に思った方は本当にすみませんm(_ _)m
「これより、公爵令嬢アンジュリエット・ヴォーパルの処刑裁判を行う、賛成のものは挙手をせよ」
多くの民衆がひしめく、本来は政治家が演説を行う為に作られた広場にて、その処刑は執り行われていた。
人々が望む事は、圧政を敷いて、国民に貧困と戦禍をもたらした愚かな権力者たちの処刑ショーであり、少女の処刑を止められるものは一人もいなかった。
それも仕方の無い事だろう。
何故ならそれは〝革命〟であり、旧態依然の社会の徹底的な破壊が目的だったのだから。
だからここには何の特技も持たない性格の悪さだけが取り柄の無能なだけな少女にも死ぬ意味があった、むしろ、少女が無能であればある程に処刑する側の都合がいいくらい、少女が処刑される意義が存在したのである。
でも、少女は、そんな大人の理屈なんて知らない。
だから叫んだ。
「助けて!、お願い!、私は貴族よ!、偉いのよ!、女神様だって私の事が大好きでっ、私は女神様に寵愛されててっ、だから私を助ければきっと天国に行けるわっ!、でも私を殺したらみんな地獄行きよ!、この世界もきっと地獄に変わるわ、だからっ・・・!」
そう言って少女は自分が処刑台に立たされてもなお、無様に命乞いをして周囲の同情を引こうとした。
他の貴族達が己の運命を受け入れて大人しく処刑された上でのその見苦しさは、観客の嘲笑を誘い、少女は大勢からの心無い野次を浴びせられた。
「貴族なんてもういらねーんだよ!」
「罪の無い息子を救わなかった神様なんか知るか!」
「この世は既に地獄だろうが、この売国奴!!」
この国の平民にとって貴族とは悪魔であり悪の象徴だった、ある者は重税により家族を餓死するほどに追いつめられ、またある者はその負債を帳消しにする為に国が起こした戦争で家族を失った。
だからここにいる民衆にとっては、貴族とは根絶やしにするべき仇であり極悪人だったのだ。
だから少女は多くの民衆から罵られて、石を投げられて、少女はそれに耐えきれずに泣き出し、それを見た民衆は僅かに溜飲を下げて、少女を「殺せ」と口を揃えて叫んだ。
「それでは、判決を言い渡す、公爵令嬢アンジュリエット・ヴォーパル
──────────死刑!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
自分の死刑に対して、地鳴りがしそうな程の歓声が上がる。
そんな地獄のような光景を見た少女は、これが悪い夢か何かなのだと、そう錯覚した。
だって少女の生きて来た世界はもっときらびやかで、純粋で、清廉な世界だったから。
だから自分が人々の黒く濁った汚泥のような〝悪意〟に晒された上で、こんな非道な処遇を受けるなんて、悪夢以外に考えられないとそう思ったからだ。
処刑される少女に、鎌を持った処刑人が遺言を聞いた。
「何か、言い残す事はありますか?」
「・・・こんなのおかしい、夢よ、これは夢、だって私は貴族で、皆から愛されてて、女神様の寵愛を授かりし者なんだからっ!!」
「・・・ならばきっと、地獄では女神様がお救いになってくださいますでしょうね」
この期に及んでも己の罪を自覚出来ない愚かな少女を処刑人は憐れんで、せめて一息で断頭して苦しまぬようにと大きく刃を振りかぶった。
そしてこの土壇場になっても助けが、奇跡が起きない事を知った少女は、最期にこう叫んだのである。
「お願いします女神様!!、生まれ変わったら今度はもっと真面目に生きます!!、真面目に勉強して中退もしません!!、平民にも優しくします!!、お祈りだって毎日します!!、だからどうか、私をお救い下さい──────────」
アンジュリエット・ヴォーパル、18歳
一度目の人生、革命による粛清によって処刑される。
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