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第9話 サイレント、おっちゃんと雑談する

前回のあらすじ

サイレント、通行証を汚したため検問所で止められる。

サイレント、検問所のおっちゃんが疲れていることに気づく。

「何それ?」

「明後日にこの町で行われる祭りの旗だよ。この旗を知らないってことは、紛れもなくお前はこの町の一番のバカ、サイレントだよ。再確認させてくれて、ありがとうな」


 おっちゃんは半ギレしながら、そう言い捨てる。

 良かった、旗のことを知ってなくて。

 旗のことを知っていたら、疑われて身体検査されていたかもしれなかった。

 さすが、ボク。


「へー、祭りは明後日だったのか」

「おいおい、サイレント、祭りのシンボルはおろか、祭りの日も覚えてなかったのか?」

「あはは……」

 基本的に日にち感覚がないからな、ボク。

 ちなみに祭りの内容もよく分かっていないけど、そのことは黙っておこう。



「あれ? 祭りがあるのに、何でおっちゃんは浮かない顔をしているの? おっちゃんは祭りが好きだったよね?」

 毎年の祭りが近づくと、おっちゃんのテンションはだんだんと高くなっていたはずだ。


「おっちゃんだって祭りは好きさ。ただ、今回の祭りは、街の生誕100周年を祝うお祭なんだ」

「へー、100周年のお祭りなのかー」


「おいおい、薄いリアクションをするな、サイレント。数字を知らないバカなお前には難しいだろうが、100周年っていうのはそれはそれはすごい祭りってことなんだぜ」

「そうなのか!! 100周年の祭りはすごいのか!!」

 すごいらしいので、テンションを高くしてオウム返しをする。


「そうなんだ、すごいお祭なんだ、サイレント!!」

「それなら、なんで浮かない顔をしてるの?」


「100周年の祭りのせいで、例年以上に各地から人が集まっていて、そいつらが通行証を失くしたり、危険物を出し忘れて魔法陣の上に乗ったりする輩がいたりするせいで、いつもの10倍は持ち物検査をしているんだ」

「それは大変だね」

 10倍という数字がどれくらいかは分からないけど、とにかくたくさんの持ち物検査をしているということなんだろう。


「そうだ、大変なんだ。100周年のお祭りを楽しむことができないくらいにな」

 おっちゃんは『ふぅー』……と、深いため息をついた。

 だから、ボクの身体検査を口実にさぼっているのか。



「猫の手も借りたい状況なのに、さらに忙しくなる案件が舞い込んできてな」

「忙しくなる案件? 何があったの?」


「王都のお姫様が行方不明なんだと」

「え? 王都のお姫様が行方不明? 一大事じゃないか」


「まあ、そうなんだが……」

 おっちゃんは頭をぽりぽりとかいた。


「どうしたの? おっちゃん?」

「その様子だと、サイレント、お前、お姫様のことを知らないようだな」

「もちろん、知らないよ」


「そのお姫様はかなりのおてんばでな。今年に入って、これで5回目なんだよ、お姫様の行方不明事件」

 おっちゃんは指をパーにして突き出す。

「5回目って、え? 5回目?」

 ボクは聞き返してしまう。

「ああ5回目だ」

「一体、抜け出して何をしているの?」


「露店に買い物していたり、カエルや蛇を捕まえたり、ダンジョンに潜って魔物をテイムしたり、魔王を倒しにいこうともしていたらしい」


「買い物や虫取りは分かるけど、お姫様が魔物をテイム? あはは、そんなことできるわけないじゃない。王族に産まれた人の適性職業は『王族』なんだから。それに魔王を倒しに行くとか、絶対に無理だよ」


 動物や魔物を調教して従わせて使い魔にしたり、従わせた動物や魔物の力を借りて自分の力にしたりするモンスターテイムは、モンスターテイマーの職業じゃないとできないことぐらい、バカのボクでも知ってるよ。


 その王族が魔物をテイムした上に、魔王を倒すなんてできるわけない。


 ははーん、さてはおっちゃんボクを騙そうとしているな。

 これは眉に唾をつけて話をきかないといけないぞ。


「お前もそう思うだろ、サイレント。ところがだ、お姫様なのにモンスターテイマーの適性があったんだよ!!」

「なんだってー!! そんなことあり得るの?」

 ボクは大声を出す。


「王族の中ででも適性職業が王族にならないことが、ごくまれにあるんだとよ。実際にお姫様は、魔物の知識が豊富で、生態にも詳しいらしいぞ」

「へー、そうなんだ」


「まあ、このことは、王族の中で秘中の秘だったんだがな」

「それなら、なんでおっちゃんが秘中の秘を知っているの?」

 町の警備兵が知っているなんて、明らかにおかしいじゃないか。


「モンスターテイムの適性を持つおてんば姫は、こともあろうか、人間も動物の仲間だと言い張って、人類最強と謳われている騎士団長を騎士団員達の見ている前でテイムしようとしたからだよ」

「騎士団長をテイム!? そんなことできるの?」


「できるわけないだろ。テイムは自分より弱い生き物を従わせる力だぞ。力は言うまでもなく、地位もお姫様より騎士団長様のほうが上だろーが」

「へー、騎士団長ってお姫様より偉いのか」


「あのな、騎士団長と言えば、この国で3番目に偉いんだぞ」

「そーなのかー」


「そーなのかー……じゃないだろ!! この国は上から、王様・王妃様・騎士団長様だ。本当にお前はこの国の住民か!?」

「もちろん、ボクはこの国の住民だよ」

 ボクは胸を張った。


「住民なら、そのくらい覚えおけ」

「分かったよ。上から、王様・騎士団長様・王妃様ね」

「うん、お前は間違いなく、サイレントだよ」

「いやー、それほどでもないよ」

「一応言っておくけど、褒めてないからな」

忙しい人のまとめ話

サイレント、明後日に町で祭りがおこなわれることを知る。

サイレント、お姫様がテイマーだと知る。

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