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第24話 アリア、嘘発見調査官を怒らせる

前回のあらすじ


 サイレント、警備員を油断させて鍵を奪う。

 奪った鍵は、警備員の家の鍵だったので、脱獄できない。







「あ、オラの鍵、お前らが盗んだんだべな」

「えっと、そんなわけないじゃないですか。ほら、ボク達、牢の中にいて何もできないですし」


「何か魔法をつかったんだべ」

「そんなわけないじゃないですか。檻の中では魔法は使えないはずでしょ、普通は」


「確かに、そうだべな」

よし、このままうまく誤魔化そう。


「そうですよ、魔法無力化の処置を忘れたわけではあるまいし」

「……あ、魔法無力化の札を檻に貼るの忘れてたべ」

ちっ、気づかれた。

警備員は自分のポケットから札らしきものを取り出し、檻に貼った。


「これで、檻の中で魔法は使えないべ。絶対に脱獄なんて試みるんじゃないべ。次は命がないべ」

「はい、しません」


ボクが素直に返事すると、警備員はどこかへ立ち去った。


立ち去ると同時に、マジック・バックの魔法を使ってみる。

ダメだ、バックは出てこない……


「師匠、もしかして、この檻って、師匠が壊したんデスか?」

アリアが1本足りない檻を指差して訊いてくる。


「うん、そうだよ」

「師匠、鉄格子を壊すことができたなら、最初から鍵を手に入れるんじゃなくて、すべての鉄格子を壊し続ければ、その隙間から出ることができたのではないデスか?」


「しまった。その手があったか……ごめん、アリア、もうちょっとで脱獄できたのに……」


ああ、せっかく逃げるチャンスがあったのに、鍵を手に入れることだけに固執しすぎた。

また、やっちゃった、ボク。


「仕方ないデス。別の方法を考えるデス」

「いや、次は命がないって言ってたし、脱獄を諦めよう」



「諦めるんデスか?」

「うん、人生諦めも肝心だからね。ここは嘘発見調査官にすべてを正直に話すしかないよ」


「そうデスね」


「警備兵さん、警備員さん!!」

「なんだべか?」


「ボク達正直に説明するから、嘘発見調査官を呼んできて」

「分かったべ」


しばらくすると、警備兵は嘘発見調査官を連れてきた。


「さて、自白する気になったのだわ?」

檻の外から嘘発見調査官が尋ねてきた。


「自白なんかしません。ボク達は犯人じゃないですから」

ボクはぐっと目に力を入れて訴える。


「そんなことないのだわ、貴方は嘘をついているのだわ」

「嘘じゃないことは、嘘発見調査官ならわかりますよね?」


「嘘じゃなかったとしても、犯人しか知り得ない情報を知っていた時点で、貴方達は犯人なのだわ。安心して欲しいのだわ。偽の証拠を私が作ってあげるのだわ」

全然、安心できないじゃないか。


「真相を闇に葬っているだけじゃないか!! そんなことしても、根本の原因は分からないままだよ!!」

それじゃあ、人狼を野放しにしっぱなしで、次々と人が襲われてしまうじゃないか。


「ところで、何で私が嘘発見調査官になったかわかるのだわ?」

「そんなの知らないよ」


「それは、自白させるための強要・拷問が許されているからなのだわ」

嘘発見調査官はドレス姿で仮面をつけたまま、持っていた鞭でパチンと床を叩いた。


「嘘発見調査官のお姉さん、ボク達は何もやってないんです」

「私のことは女王様と呼ぶのだわ!!」

嘘発見調査官……いや、女王様はもう一度、床を鞭で叩いた。


「女王様、ボク達は何もしていないんです」

「ウソでないのは分かっているのだわ。でも、鞭で叩いて体にきいてあげるのだわ」


「ウソではないって分かっていて、どうしてそんなことをするんですか?」

「偽の証拠を作るために決まっているのだわ」


「正直に言ったのに、横暴だ!! 訴えてやる!!」

嘘発見調査官のくせに!!


「それは困るのだわ。鞭で黙らせるのだわ!!」

言いながら、檻の外からボク目掛けて鞭で叩いてくる嘘発見調査官。

しかし、檻の外から叩いているので、簡単に避けることができた。


「へへーんだ、当たらないよ」

あっかんべー。


「それなら……」

お姉さんは胸の谷間から何かを取り出した。


「あ、それはスライム!!」

「正解なのだわ」

スライムはわずかしかない檻の隙間から、入り込んでくる。


「嘘発見調査官が村に魔物を持ちこんでいるぞ!!」

ボクは大声で警備員に訴えかける。


「私がテイムしたスライムで、許可もとっているから問題ないのだわ」

「そうだべ、何も問題ないんだべ」


「スライムなんか使って、何をする気だ?」

「このスライムは特殊なスライムで、私の命令で身に付けている装備品だけを溶かすことができるのだわ」

なんてハレンチな魔物なんだ!!


「裸にされたくなかったら、偽の証拠を出すのだわ」

「だから、ボク達は犯人じゃないって。知ってることを全部正直に話すから、スライムは勘弁してください」


ボクは両手をあげて降参のポーズをとった後、土下座をする。

ボクはともかく、アリアまでも裸にするわけにはいかない。


そんなことになったら、院長先生に間違いなく殺される。


「本当に全部正直に話すのだわ?」

「はい、全部正直に話すと誓います」


「わかったのだわ。スラちゃん、カモン」


嘘発見調査官が呼ぶと、スライムは胸の谷間へと入って行く。


「もしかして、スライムで胸を盛ってるんデスか?」

ダメ、アリア。

そんなこと聞いちゃダメ!!


「この口? 変なことを言う悪い口はこの口?」

ボクが壊した檻から手を入れて、ほっぺをつねってくる嘘発見調査官。


「いたた……って、それボクの口なんですけど……」

何でボクのほっぺをつねるんだ。


「弟子の失態は師匠が責任をとりなさい!!」

「そんな横暴な!!」


忙しい人のためのまとめ話


 サイレント、脱獄を諦め、正直に話すことを決める。

 嘘発見調査官、事実を捻じ曲げようとするが、結局サイレントの話を聞くことにする。


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