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第7話 アリア、水浴びをする

前回のあらすじ

サイレント、マジック・バックの中をアリアに見せる。

アリア、水浴びをしようとする。





 

「さてと……」


 アリアから距離を十分にとってから、ボクは気配を消して、木々の茂みの中に入る。

 ここからなら、アリアの水浴びしている姿がかろうじて見えるはずだ。


 べ、別に、アリアの裸を覗きたいわけではないじゃないんだからね。

 気配察知で魔物や野生動物を感知しているけど、ボクのスキルも完璧じゃないから、目視しているだけなんだからね。


 もしも、動物や虫が突然変異を起こしたとしても、すぐにアリアを助けに行けるギリギリの場所が、アリアからは死角になっているであろう、この木々の茂みだったってだけなんだからね……って、一体誰に言い訳しているんだろう、ボク。


 アリアの命に関わるようなことがあったら、院長先生にどんなお仕置きをされるか分からないからね。


 ……あ、アリア、きょろきょろと辺りを見回して、警戒し始めたな。


 そうそう、その調子で警戒し続けるんだ。

 警戒しないと、魔物や動物に襲われたり、悪い人にのぞかれちゃったりするんだから……


 アリアが警戒する姿を見て、ボクはもう一度気配を消すと、やっぱり、罪悪感がこみあげてくる。


 落ち着け、落ち着け、ボク。

 これは覗きじゃないんだ。


 万が一に備えているだけなんだ。

 ゆっくりとロングブレスで深呼吸をしていると、アリアはゴスロリワンピースのボタンに手をかけた。


 ボクは息をするのも忘れ、アリアを食い入るように見る。


 ボタンが外れるごとに、ぷちり、ぷちりと音が聞こえるような気がした。


 ごくり。

 ボクは生唾を飲みこむ。


 アリアはゴスロリのワンピースを脱ぎ去ろうとする。


 その瞬間、ぷるんとした感覚がボクの右肩から感じられた。


 ……ん?


 ボクの右肩の方から、ぷるん?


 ボクはすぐさま自分の右肩をみた。

 そこには、黄色い色をしたスライムがボクの肩に乗っかっていた。


 なんだ、スライムか……

 今いいところなんだから、邪魔しないでよ……


「……って、スライム!! うわーっ」


 アリアの着替えをもう一度見守ろうとしたボクは、スライムを二度見してから大声をあげてしまった。

 ボクの声にスライムも驚いたのか、ぷるんと肩から飛び降り、地面へと着地する。


 慌てて取り出したダガーで、スライムを脳天から刺すと、スライムは飛び散って消えてしまった。

 倒せたか……


「師匠、どうしたんデスか?」

 ボクの声に気づいたアリアは服を着なおして、大鎌を持ってボクの方へ駆け寄ってくる。


「ボクの肩にスライムが落ちてきたんだ。まあ、余裕で倒したんだけどね」

 ボクの肩に乗るくらい、小さな子どものスライムだったしね。


「余裕だったのに、大声をあげたんデスか?」

 う、痛いところをついてくるな、アリアは。


「それは……ボクの気配感知に引っかからなかくて、突然目の前にスライムが現れたからびっくりしたんだよ」

「スライムなら、近くに居ればすぐに気づけますよね? 師匠、油断してたんデスか?」


「いや、油断はしていなかったよ」

 だって、アリアを覗いているのがバレるかもしれないと思っていたから滅茶苦茶警戒していたからね。


「油断していなかったのに、気づけなかったんデスか? 師匠は羽虫の位置も分かるはずデスよね?」

「うん、それなのに気づけなかったから、自分でもびっくりしているよ」


「もしかして……」

 アリアは急に考え込む。


「どうしたのアリア?」

「師匠が倒したスライムは何色デスか?」


「確か、黄色かったな……それがどうしたの?」

「それは、スケアード化したスケアード・スライムデス!!」


「スケアード・スライム? 何それ? 普通のスライムとは違うの?」

 聞いたことのない魔物だ。


「違うデス」

「どう違うの?」


「スケアード・スライムというのは、恐怖状態にいるスライムデス」

「恐怖状態……もしかして、さっきのダークドラゴンの咆哮のせい?」


「おそらく、それはないかと思うデス」

「どうして?」


「恐怖状態は、1時間以上の長い間、時間をかけてストレスを与え続けないといけないデス」

「そうなのか」

 1時間というのがどれ位かは分からないけど、とりあえず、長い間なんだろうな。


「そうなのデス。ダークドラゴンは1時間以上もデスので、ダークドラゴンではないかと思うデス」

「そっか」


 確か、ダークドラゴンは、トカゲが突然変異をしたばかりだったっけ。

 そんなダークドラゴンがスライムを長い時間ストレスを与え続けるなんてことできるわけがない。


「それじゃあ、誰がスライムにストレスを与え続けたんだろう?」

「それを特定するのは難しいデスね」

「それもそうだよね」


 ずっとスライムを監視でもしていないと、犯人がわかるわけがない。


「ところで、スケアード・スライムと普通のスライムに違いはあるの?」

「あるデス。普通のスライムは電気を使うデスよね?」


「うん、普通のスライムならそうだよね」

 スライムは、少ししびれる電撃を使えるけど、そんなに脅威ではないので、Fランクモンスターの代表だしね。


「スケアード・スライムは電撃に加えて、装備品や筋肉を腐食させる酸も吐くようになるデス」

「つまりは、普通のスライムより強いってことだよね?」

「そうデス」


「ちなみにスケアード・スライムって何ランク?」

「えっと、直径150cm以上の大型になるとEランクデス」

「なんだって!!」

 直径150cmはよく分からないが、大型のスライムはEランクだということは理解した。


「大きな声を出して、どうしたんデスか、師匠?」

「いや、結構強んだな……と思ってさ。良かった、倒せて」

 まあ、ボクが倒したのは小さかったからFランクだったのだろう。


「1匹撃退しても安心できないデスよ」

「どうしてさ、アリア?」


忙しい人のためのまとめ話

サイレント、アリアの水浴びを覗こうとする。


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