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第50話 サイレント、ドラゴンのブレスに苦戦する

前回のあらすじ

アリア、ダークドラゴンに降伏しようとするがサイレントが叱咤して止める。

ダークドラゴン、サイレントと戦っている最中、自分にブレスをする。





 

「自分で自分を攻撃するなんて、トカゲってボクより頭が悪いんだな」

 バカなボクでも自分で自分は攻撃しないぞ。


「ふはは、これは攻撃のブレスではなく、吾輩自身の動きを軽くするブレスだ」

「動きを軽く?」

 つまりは、素早さをあげる補助系スキルってことか!!


「それでは行くぞ!!」

 ドラゴンはもう一度さっきと同じ速度で足をあげる。

 先ほどと同じ速度ということは、全然動きが軽くなってないじゃないか。


「はいはい、その攻撃はもう見切ってますから……って、えー!?」

 はやい!!

 足をあげる速度は先ほどと同じなのに、踏みつける速度が先ほどとは比べ物にならないくらい速くなっていた。


「瞬動!!」

 ボクは瞬動を使って、ギリギリのところで避ける。

 まさか、瞬動を使わされるとは思ってなかった。



「ふむ、速力をあげた吾輩の攻撃にも対応するか……それならば、もう一度、グラビティ・ブレス」

 グラビティ・ブレスってさっきの黒い息のことだよな。


 もしかして、あの黒い息もスピードがはやくなっているのか?

 そうだとしたら、瞬動で動かないと、今度こそ捕まってしまう。


 警戒したボクは、逃げる経路を確認しつつ、いつでも避けることができるように足に力を入れる。


 ……って、あれ?

 速度が上がっていない。


 びっくりさせないでよ。

 これなら、瞬動を使わなくても余裕で避けることができるじゃないか。

 ラッキー。


「その攻撃はもう見切っているから!!」

 ボクはもう一度黒い息に当たらないよう、瞬動を使わずに距離をとる。


「目に見えるものだけが全てとは限らない……ひれ伏せ!!」

 にやりと口を吊り上げるダークドラゴン。


「目に見えるものだけが全てじゃない? 何を言ってるの?」

 ボクが質問を投げかけたその時だった。


「いやぁーーーーーーー!!」

 突然のアリアの悲鳴。


 ボクはとっさに振り返る。

 アリアは空気の塊のようなものに、仰向けに押さえこまれているようだ。


「アリア、逃げて!!」

「ダメです。空気の重りみたいなものに体を押さえつけられています」


「ほお、重力10倍にもまだ耐えるか。ならば、50倍」

「いやぁーーーーーーー!!」

 さけぶアリア。


「助けに行かなくていいのか? 人間」

 トカゲに言われなくても助けに行くさ。


「今行くから待ってて、アリア」

 ボクは足に力を入れる。


「し、師匠、……近づいたらダメです。アリアに近づいたら……し、師匠も……目に見えない何かに押さえつけられてしまいます……」

 息も絶え絶えに忠告してくれるアリア。


 見えない何かがあるのなら、助けに行こうにも行けないじゃないか……

 どうすればいいんだ?

 考えろ、考えろ、自分。


「手も足も出せないだろ。小僧。それなら、吾輩のエスコートに手も足もでまい。アトラクティブ・ブレス!!」

「あれ? 急に体が軽くなったデス」

 どうやら、アリアを押さえつけていた見えない何かが消えたようだ。


「アリア、今のうちに逃げるんだ」

「分かったデス……って、あれ?」

 アリアはドラゴンに背を向けて走ろうとするのだが、地に足がついていない。

 これじゃあ、逃げようにも逃げられない。


「こちらへ来るのだ」

 言ったあとに、ドラゴンは、すーっと空気を吸い込んだ。

 それに合わせて、アリアも急激な速度でドラゴンに引き寄せられていく。


 くっそ、これもダークドラゴンの力か……

 こうなったら……


「アリア、捕まれ!!」

 ボクは早さを調節しながら、ドラゴンの方へと引き付けられるアリアに必死に手を伸ばす。

 よし、あともうちょっとだ。


「そうはさせん。アトラクティブ・ブレス10倍!」

 アリアのドラゴンへと引き寄せられるスピードが急に早くなった。


「アリア、体が軽いなら、なんとか自力で逃げるんだ!!」

「分かったデス」

「逃がすわけなかろう。吾輩の背中で這いつくばっているといい。グラビティ・ブレス30倍」


「いやー!!」

 アリアはダークドラゴンの背中で、もう一度這いつくばる。

「アリア」


「……し、師匠……アリアのことはいいから……逃げ……て……」

 ドラゴンの口にくわえられ、息を絶え絶えにしながら、せつなげに声を出すアリア。

「アリア、今すぐ助けに行くから」

 ボクはすぐさま足に力をこめる。


「させるか。グラビティブレス・ワイドレンジ!!」

 なんだ、急に足が重くなった。

 目に見えない空気が体中にくっついているみたいだ。


「ふはは、体がいつもより重かろう、小僧。グラビティブレス・ワイドレンジは重力が2倍にしかならないが、広範囲に出せるのだよ」

「くそっ」


「連れは吾輩が確かに預かった。さらばだ、小僧」

 言いながらダークドラゴンは羽を広げる。

「待て」


「ふはは、ここまでは来られまい」

 ボクのことをあざ笑いながら、月を背に、ダークドラゴンはどこかへと飛び立った。

「師匠……アリアのことは心配……しないでくださいデス」

 せつなげにしゃべるアリア。


 ぶちっ!!

 頭に来た。

 嫌がるアリアを力づくでさらうなんて。

 お前は骨一本残らないと思え。


 ボクは一気にドラゴンと距離を詰めた。


「ぐはっ!!」

「空へ逃げるだって? ボクから逃げられると本気で思ってるの?」

 ボクはドラゴンの目をダガーで突き刺しながら尋ねた。


忙しい人のまとめ

サイレント、ドラゴンのブレスに苦戦する。

アリアが捕まり、逃げようとするダークドラゴンに、サイレントは一撃を入れる



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