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第38話 サイレント、司祭様と言い争う

前回のあらすじ

サイレント、アリアとパーティーを組むことを決断。

サイレント、アリアに手を握られたところを町人に目撃される。




 

 ……って、ちょっと待って。

 司祭様が言っているの?

 嘘でしょ?


 司祭様って、この祭りを取り仕切る偉い人だよね?

 まさか、ボクをあおるなんてことしませんよね?


「みなさん、サイレントが女の子といちゃいちゃしているのに、100周年のお祭りなんかしている場合ではありません! サイレントを捕まえてしまいましょう!」


「司祭様の言う通りだ!」「司祭様が捕まえろって言うんだから、サイレントを捕まえないとな!」「そうだよ!! 考え直してみれば、『一生交際しない同盟』を結んだんだから、交際はしちゃいけないだろうが、サイレント!!」

 一気にサイレントを捕まえろムードが漂った。


 司祭様何でそんなにボクなんかにかまうのさ?

 どこかで恨みでも買ったか?

 相手は偉い司祭様だから、素直に土下座すれば、お慈悲の心で許してくれるよね。


「すみませんでした」

 ボクはキレイな土下座をする。


「何に対して謝っているのだ? サイレント」

 司祭様が問い詰めてきた。


「あのー、えーっと、100周年の祭りの支援金を払わなかったことですよね?」

「おー、なんということだ、サイレント、支援金を支払っていなかったのか。その罪も増えたぞ、サイレント」

 違った。


「もしかして、お祭の準備に参加しなかったからか?」

「おー、なんということだ、サイレント、お祭の準備に参加してもいなかったのか。その罪も増えたぞ、サイレント」


 あれ?

 もしかして、だんだん、ボクの罪増えていっている……

 土下座作戦、失敗だ!


 それならば、おだて作戦だ。

 ここは、司祭様をおだてて気持ち良くさせてから、何に謝ればいいかをそれとなく聞き出す作戦で行こう!!

 えっと、確か、この司祭様のお名前は……

 ……うん、思い出せない。


 でも、確かなことが一つだけある。

 この司祭様は独身だったはずだ。

 名前を言わずに、独身の司祭様で押し通そう。


「崇高な考えをお持ちで、独身の司祭様、ボクに何か落ち度があったでしょうか?」

 ボクは土下座しながら、自分にできる限りかしこまって訊ねた。


「落ち度? そんなものはない!!」

「それならなんで、崇高な考えをお持ちで、独身の司祭様がボクにこんな試練を与えるのですか?」

「そ、それは……」


「お答えください。崇高な考えをお持ちで、独身の司祭様!!」

「独身、独身うるさーい!!」


「え? でも独身ですよね? もしかして、ボクの知らないところで婚者していらっしゃいましたか?」

 もしも結婚していたなら、とても失礼になるぞ。

 それも謝らないといけないな。


「独身じゃぞ」

「なんだ、あってるじゃないですか。まさか、独身を気にしてませんよね?」


「それはの……一番気にしてるんじゃ! サイレントに今強く当たっているのも、独身のひがみじゃ。なんでお主に彼女がいるんじゃ、サイレント!!」

「まさかの私怨!!」


「私怨の何が悪い! 聖職者だって、恋愛したいのじゃ!! この気持ちは彼女のいるサイレントにはわからんじゃろ」

「まさかの逆ギレ!!」


「逆ギレの何が悪い!!」

「司祭様が居直った! 司祭様なのに」


「ええーい、うるさい、うるさい、みんなでサイレントを捕まえるのじゃ!! もちろん、わしも参加する」

「えーっ!! 司祭様は今から大切な聖火の儀式があるでしょ?」


「うむ、確かに今から、100周年の聖火の儀式をしなければいけないの」

「それなら……」


「しかしながら、100周年の聖火の儀式など、ささいなこと」

「100周年の聖火の儀式がささいなこと? いやいや、そんなはずないでしょ」

 おっちゃんが大切な祭りだって言っていたし、献火の練習もしたって院長先生が言っていたけど。


「いや、今、この場でサイレントに制裁を加える以上の大切なことなどありはしないのじゃ。さあ、みんなでサイレントを捕まえるのじゃ」

「ボクを捕まえるってことは、それってつまり……」


「100周年の『聖火の儀式』は、サイレントを捕まえる『人追い祭り』に変更するということじゃ」

「やめましょうよ、そんな突然の思い付きで祭り内容を変更するの。色々と危険ですよ」

 主にボクの命が。


「ダメじゃ。変更するのじゃ」

「そもそも、お祭当日に変更して良いんですか? 混乱するんじゃないんですか?」

 100周年というお祭りの大切な節目に。


「祭りを司ると書いて司祭。私が祭りを変更して何が悪いのじゃ?」

「ふへへへ、諦めろよサイレント」「そうだぜサイレント、諦めが悪いやつは嫌われるんだぜ」「おとなしく捕まっちまいなよ、サイレント」

 群集が好き勝手言ってくる。


「今からお主は捕まるわけじゃが、何か言い残すことはあるかの、サイレント」

「えっと……何とかなりませんか?」


「何とかなるはずないのじゃ」

「そこをなんとか……」

 ボクは手を合わせ頼み込む。


「そうじゃの……それじゃあ、そこにいる女の子の身元を私が引き取るということで手を打ってやるのじゃ」

「女の子ってアリアのこと?」

「そうじゃ」


「いやいや、アリアは渡せないよ」

 アリアは院長先生の大切な教え子だ。

 絶対に渡すわけにはいかない。


「師匠……」

 どうして、アリアが赤い顔をするんだろう?

 ……って、今はそんなことを気にしている場合じゃない。


「交渉決裂じゃな。その少女を差し出せば、自分の身は助かるというのに……」

 なんで、司祭はアリアを執拗に差し出させようとするんだ?

 …………分かったぞ!!


「みんな騙されるな! この司祭は偽物だ!! ロリコン属性のある変態と入れ替わっているに違いない!!」

 ボクは力の限り叫ぶ。


「司祭様が偽物?」「確かに、女の子の身元引受人を申し出るなんておかしいよな」「本当に司祭様は偽物かもしれないぞ……」

 お、これは流れが変わったぞ!!


忙しい人のまとめ話

司祭様、祭りをサイレント追い祭りに変更しようとする。

サイレント、司祭様が偽物だと断言する。



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