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第56話 サイレント、かばわれる

2025/2/15 誤字脱字があったので訂正しました。(お話に影響はありません)


これまでのあらすじ

 サイレント、ニック村のショウ・ジキ親子が助けにくる。

 サイレント、ニック村の勇士達も助けにくる。

「「「「「「ホバッカ村で事実確認とはどういうことだ?? サイレントはホバッカ村で『国家転覆罪』並みのウソをついたのではないのか??」」」」」


「それは儂から話そう!! サイレント殿がホバッカ村でウソをついたのは儂のせいないのじゃ!!」


「あれは、ホバッカ村の村長!!」

 ホバッカ村の村長がお城から出てくる。


「サイレント殿には悪いことをしたのう。儂が村の者と組んで、魔族の人狼だと宣言するように追い込んだようなものなのじゃ。つまり悪ノリじゃ!!」


「え? いや、あれは自分から……」

「悪ノリじゃ!! そうじゃろ?」


 ウィンクをしながらハイタッチを求めてくるホバッカ村の村長。


「悪ノリですよ?? サイレント様」「悪ノリですね?? サイレント様」

 あ、双子のムーとジュンも一緒だ。


「そうだったんですよ、実は」

 ボクは何度もはげしくうなずく。


「「「「「ああ、いつものノリか」」」」」


 納得する貴族と兵士たち。


 あ、ホバッカ村の村長の悪ノリはアーノム・ギトーゲでも有名なんだ。

 良かった、悪ノリが有名で。


「「「「「やっぱり、サイレントはいい人なのでは??」」」」」

 貴族も兵士も脚を止める。


「そんなわけないのじゃっ!!」


「サイレント様はいい人だよ」「サイレント様はいい人ですね」

 ボクをいい人だといいはるムーとジュン。


「こやつらもつまみだすのじゃっ!!」


「「「「「いや、でも……」」」」」

 テイムがうまくいっていないのか、貴族も兵士たちも戸惑っているようだ。


「力ずくなら抵抗させてもらうよ」「そうだね、抵抗させてもらうね」

 ムーとジュンは矛と盾をかまえた。


「ええい、いいからつまみだすのじゃっ!! このサイレントは、天界では神の作った杖を無断使用して願いを叶えたのじゃっ!! そうじゃろっ?? 天使長カナエル様っ??」


 城の窓からこちらを見ていたカナエルに話をふる姫様。

 姫の口元を見ると、声には出さずに何か口を動かしていた。


 間違いない。

 姫は『バリア』と何度も声に出さずに口パクしている。


「サイレントは……この男は……」

 天使長カナエルは口をつぐんでしまった。


「天使長カナエルさん!! ボクのことは気にしないで!!」

 ボクを守るために天界の天使達を危険にさらすわけにはいかないよ。


「サイレント様は天界を救ってくれたっす!!」

「「「「「何だって!?」」」」」


「あの時は、天界が魔族にやられて危機だったっす!! その危機をサイレント様は救ってくれたっす!! もしも、あの時サイレント様が救ってくれなければ、まだ、この国の王のように、天使たちは魔族のしもべになっていたっす!!」


 天使長カナエルの言葉に舌打ちをする姫。


 天使長カナエルは空からボクの元へ駆け寄ってきた。


「天使長カナエルさん、本当のこと言って良かったの?? バリアのことがバレたら大変ですよ」


 ボクは天使長カナエルだけに聞こえるように尋ねる。


「天界を守るためとはいえ、ウソはつけないっす!! どっかの誰かさんみたいに堕天使になるわけにはいかないっす」


 そう言いながら、ホーリィを唱える天使長カナエル。


「「「「「天使長カナエルもサイレントについているということは、私達がやっていることは間違っているのでは??」」」」」


 自分たちの行動に疑問を持ち始める貴族と兵士。


「騙されるなっ!! この男はカバッカ町で人々と司祭様を気絶させたのじゃっ!! それに、警備兵も殺そうとしたのじゃっ!! この男の死刑は確定じゃっ!! 今こそ執行すべきじゃっ!!」


「それには語弊がありますな」

「「「「「語弊だって?? あんた誰だ??」」」」」


「今、話にあがっている、カバッカ町の独身の司祭様だよ!!」

 ボクは貴族たちに教えてあげた。


「「「「「独身なんだ……」」」」」

「サイレントを助けようと思ったが、やはり、ここは姫様の味方をして、死刑にしてもらうか。大鎌が私の頭に刺さったのは事実だしな……」


「ごめんなさい!! 司祭様!! 助けてください!!」

 ボクは完全なる土下座をして頼み込む。


「しかたあるまい……助けてやるか……」

「ありがとうございます」


「サイレントを助ける前に確認させてほしい。魔族アリアよ、お前は人間にウソをついたり、人を殺したりしたことはあるか??」


「師匠に言われて人間にウソをついたことはあるデスが、人を殺したことはないデス!!」


「そうそう、ボクの指示がない限り、アリアは絶対にウソをつきませんでしたよ」

 アリアがウソをつかないせいでどれだけ大変な目にあったか……


 司祭様は噓発見調査官のミイ・コンの顔を見ると、ミイ・コンはこくりとうなずいた。


「私は今の今まで、魔族はすべからくウソをつき、人を襲って殺すものだと思い込んでいました。ですので、サイレントが100年祭の時、魔族の少女と一緒にいたのを見て、祭りに乗じて人が殺されると思い、人々をパニックにさせないように魔族をつかまえようとしました。しかし、それは大間違いでした」


 すごい、この人。

 自分が間違っていたということをみんなの前で素直に告白しているんだ。


「そんなことないのじゃ!! 魔族はすべからくウソをつき、人を襲って殺すのじゃっ!! 司祭の判断は間違っていないのじゃっ!!」


「いいえ、私は間違っていました!!」


「それならば、なぜ、サイレントとアリアはカバッカ町で人を攻撃したのじゃ?? それはこの魔族がサイレントをそそのかしたからじゃっ!!」


「それは違います!! 私が人々を扇動して、二人を襲わせたから、いたしかたなく自己防衛のためにやっただけのこと。すべては強引な方法をとって人々を扇動した私に責任があります!! サイレントを死刑にするなら、私を死刑にしていただけないでしょうか??」


「え?? 無罪でいいよ。司祭様の立場ならボクも同じことを言って人々を扇動したかもしれないし、司祭様のことを憎んでないし。司祭様の言葉に乗ってボクを捕まえようとした人たちもやる気満々だったから、自分たちに責任があるはずだよ。ね、アリア??」


「師匠がそういうなら、アリアも無罪で良いデス」


「サイレント、あなたという人はどこまでバカでお人よしなんですか」

 司祭様は泣きそうな顔をしていた。


「百歩譲って、司祭と人々を襲った件は司祭の責任になったとして、カバッカ町の警備兵を殺そうとしたのは、誰が責任をとるのじゃっ??」


「あれは、不慮の事故だよ。アリアが警備兵に攻撃しようとしていたから、ボクが止めた時に手が滑って、ダガーが刺さっちゃったんだよ」


「まったく、死刑になりたくないからって、ウソをつくとは、本当に往生際が悪いのじゃっ!!」


「嘘じゃないのだわ!!」


 フォローしてくれたのは、ミイ・コンだった。


「嘘じゃなくても実際にダガーが胸に刺さっているなら、傷害事件なのじゃっ!! 死刑なのじゃっ」


「あの後、私が回復魔法をかけたのだが、刺さり具合から見ても皮膚が切れただけの軽傷で死刑をするには及ばないと判断いたします」


「ちょっと待つのじゃっ!! カバッカ町で警備兵にたてついて傷を負わせたら死刑だったはずじゃっ!!」


「警備兵が自分たちの独断で行き過ぎた刑をすることはカバッカ町で長年問題視されていたこと。これを機に、それ相応の刑に変えてまいりました」


「なんじゃとっ?? それならば、サイレントの刑はどうなるのじゃっ??」

「今回のサイレントの罪はすべて私にあります。死刑にするなら、私にしてください」


 ありがとう、司祭様。


忙しい人のためのまとめ話

 ホバッカ村の村長とムーとジュンと天界の天使長カナエル、サイレントをかばう。

 カバッカ町の司祭様、自分の罪を認め、サイレントをかばう。

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