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第55話 サイレント、見知らぬ男の招待を知る

これまでのあらすじ

 サイレント、姫に『自害する』か『姫に従う』かの選択を迫られる。

 『自害する』を選んだサイレント、死ぬ直前に見知らぬ男に止められる。

「誰かは知らぬが、あのものを捕らえるのじゃっ!!」

「「「「「分かりました」」」」」


「舐めてもらっては困ります!! 引退はしたものの、ボクはアサシンですよ!! あなたたち貴族が束になろうと捕まえられるわけがないでしょ!!」

 ボクを助けようとしてくれている男は、貴族たちをあおりながら逃げる。


「それなら、兵士たちも追いかけるのじゃっ!!」

「「「「「分かりました」」」」」

 城の中で待機していた兵士たちが男を追う。


「まさかとは思うけど、兵士たちも操っているの??」

「当然じゃっ!! テイムする時間はあったからのっ!!」


「さすがに、兵士たちから逃れるのはきついか……」

 息切れをしながらも、逃げ続ける謎の男。


「あのさ、追いかけっこで取り込み中のところ悪いんだけど、君は誰??」

 ボクは大声で尋ねた。

「紹介が遅れました。ボクはニック村であなたに命を助けられたアサシンで、名をショウ・ジキと申します!!」


 ニック村……

 ニック村と言えば、フェニックスの羽根で病気やケガした人がたくさんいたはずだ。


「ああ、もしかして、ハイタッチしてボクが病気を治した人ですか??」

 そういえば、特徴的なやけどを負った人がいた気がする。


「違いますね、あなたとはハイタッチしていません」

 首を振るショウ・ジキ。


「そうですよね」

 ニック村でハイタッチしてやけどを治したなら、今、やけどをしているわけないもんね。

 うん、なんとなく分かっていた。


「それならボクはいつあなたを助けたんですか??」

「娘を治してもらったんです」


「娘??」

 娘ってことは女の子だよね??


「ええ、不治の病にかかっていた娘です」

「ああ、あの、治療薬を採るためにボルケノ山に登ったアサシンのお父さんを信じて待っているから、治療を拒んだあの子か!!」


「そうです、その娘の父です。娘を治していただき、ありがとうございました」

「お父さん、生きていたのか! 良かった!!」


 ボルケノ火山を登っているときに、人の気配がなかったから、てっきり亡くなっていたのかと思ったよ。


「ボクもフェニックスに戦いを挑んだのですが、返り討ちにあって、マグマの中に落とされた時は、ボクも死んだと思ったのですが、あなたがすぐにフェニックスと戦ってくれたおかげで、フェニックスの目を盗んで、近くの岩に捕まることができたのです。まあ、その時にやけどを負ってしまったのですが……」


 そう言いながら、ショウ・ジキはやけどの跡をさすった。


「それでも、生きて娘さんとあえて良かったよ。一件落着だね。じゃ、そういうことで!」

 ボクは死刑台から降りようとした。


「どさくさに紛れて逃げようとするでないっ、サイレントッ!! ショウ・ジキと言ったかのっ?? 結局、お前も仲間なのじゃっ!!」


「きいていなかったのか?? サイレントさんはボクの顔すら分からなかったんだ!! 仲間のはずがないだろ!!」


「「「「「「「「「確かに」」」」」」」」」」

 追いかけながら、貴族も兵士たちも納得する。


「いや、仲間ではないかもしれないが、サイレントはニック村でみんなが信仰するフェス様を殺したんだぞ!! やはり悪いやつなんだぞ!!」


 群衆の中の誰かが……いや、ナ・リキンが叫ぶ。

 どこまでボクの邪魔をするんだ、この男は。


「いいか、良く聞くんだ!! ニック村で崇めているフェス様は、村を滅ぼそうとしていたんだ!!」

 ショウ・ジキは貴族に衝撃の事実を告白した。


「フェス様が村を滅ぼすだって?? そんなわけない」「そうだ、滅びかけた村に舞い降りて、希望の言葉を授けてくださるのがフェス様だぞ!!」「ニック村ではそう伝わているじゃないか!!」

 貴族たちは衝撃の事実にかなり混乱しているようだ。


「違うんだ。聞いてくれ、すべてフェニックスの自作自演だったんだ」

「自作自演だって??」


「そう、フェニックスは、自らボルケーノの魔法で村を半壊させた後、半壊した村に出向き、救いの言葉をかけていたんだ」

「「「「「なんだって!?」」」」」


「ああ、そういえば、あの火の鳥は確かにそんなこと言っていた気がする」

 うろ覚えだけど。


「つまり、フェス様は聖獣ではなく魔獣だったということか??」「ウソだろ」「マジかよ」

 貴族が別々のことを言い始めた。


「この期に及んでウソとは往生際が悪いんだぞ!! このウソ発見調査官から成り上がったナ・リキン様にウソは通じないんだぞ!!」


「「「「「ウソだって!? ショウ・ジキのウソにあやうく騙されるところだった!!」」」」」

「違うデス! ウソをつくはずないデス!!」


「「「「「魔族の言うことなんか信じられるか!!」」」」」


「ウソじゃないのだわ!!」

 大声で現れたのは、仮面をした女性だった。


「「「「「あれは、嘘発見上級官のミイ・コンじゃないか!!」」」」」

「みんな騙されちゃいけないのだわ!! このアリアと呼ばれている魔族の子は、1度もウソをついていない正直者なのだわ」


「「「「「「本当か??」」」」」」

「本当なのだわ!! この男、ナ・リキンがウソをついているのだわ」


「何を言っているんだぞ、ミイ・コン。このウソ発見調査官から成り上がったナ・リキン様がウソをつくわけがないんだぞ」


「ナ・リキンは、ウソをついているのだわ!! 元嘘発見調査官のくせにウソをつくなんて、人の風上にも置けないのだわ」


「「「「「どっちの言っていることが本当なんだ??」」」」」

 困惑する人々。


「このお姉ちゃんの言っていることが本当だよ。あたい、このお兄ちゃんに命を救われたんだから。あたいだけじゃない。他にもこのお兄ちゃんには救われた人がいっぱいいるんだから!!」


 あれは、ニック村で不治の病を治した女の子じゃないか。


「おお、なんということなんだぞ!! こんな小さな女の子にまでウソをつかせるとは!!」

「この子は、ウソなんかついていないのだわ!!」


「みんな、よく考えてみるんだぞ! 一介のアサシンが人助けをするなんてことはありえないんだぞ!!」


「ナ・リキンの言う通りなのじゃっ!! はやくその男と娘を捕まえるのじゃっ!!」


「逃げて!!」

 ボクは叫ぶ!!


「あたい、世界一強いアサシンの娘で、あたいにもアサシンの適正職業だから大丈夫!!」

 ぽんと自分の胸を叩いて逃げ続ける女の子。

「何をしているのじゃっ!! はやく捕まえるのじゃっ!!」


「「「「「「すみません、捕まえられません!!」」」」」

「まあ、よいのじゃっ!! 親娘たった二人でサイレントは助けられないのじゃっ!!」


「二人じゃないぞい!!」

 男の人も女の人もぞろぞろと人があらわれた。


「誰じゃっ??」

「ニック村の勇士達だぞい!!」


「「「「「「うぉー!!」」」」」」

 ニック村の人たちが声をあげる。


「セキゾ・ウックールさん!! みんな!! 今ここは危険だ!!」

 ショウ・ジキが叫んだ。


「危険なのは承知だぞい!! だがしかし、村を救ってくれたサイレントのピンチを助けないほど恩知らずじゃないぞい!!」

「「「「「そうだ、そうだ!!」」」」」


「え?? でも、ボクのことを魔族だと言っていたよね??」

「ショウ・ジキの説明を受けた後、もう一度ホバッカ村で事実確認をして、誤解だと分かったんだぞい!!」


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、ニック村のショウ・ジキ親子が助けにくる。

 サイレント、ニック村の勇士達も助けにくる。

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