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第53話 サイレント、話を聞いてもらえない

これまでのあらすじ

 サイレント、冒険者ギルドの受付で、神殺しで、騎士団長のフラットさんを降参させる。

 サイレント、フラットさんが姫の命令に従っていたと知る。

「大声を出してうるさいのじゃっ!! 何なのじゃっ??」

「ボク、分かったんだよ!! お姫様がどうやって、フラットさんを従えさせたかが!!」


「どうやったというのじゃっ??」

「フラットさんをテイムしていたんでしょ!! 君の適正職業はモンスターテイマーだもんね??」


「どこでそのことを聞いたのじゃっ!?」

 取り乱すお姫様。


 やっぱり噂は本当だったんだ。

 ダンジョンでファイヤーウルフを倒したあの日、おっちゃんと雑談しておいて良かった。

 本当にありがとう。


「どこって……噂でだよ!!」


「噂じゃとっ?? 噂レベルの妄言を信じるとは、お主は阿呆なのかっ??」

「信頼できる人からの情報だったからね」


「そうか……穏便に契約を結ぼうと思ったが、こうなってはしかたあるまい!! テイムしやすいように、フラットと同じようにお主の悪行をすべて民たちの前で赤裸々にして、精神をボロボロにしてやるのじゃっ!!」

「悪行だって??」


「その通りじゃっ!! サイレント、お主のしてきたすべての悪事はフラットから聞いているのじゃっ!!」

 お姫様は大声をあげた。


「姫様、悪行とはどういうことですかぞ??」

 そう言いながら、ナ・リキンが城から出てくる。


「「「「「そうだ、そうだ、どういうことだ??」」」」」


 ナ・リキンの後を追うように集まってくる貴族たち。

 人数的には、カバッカ町で追われたくらいの人数はいそうだ。


 声では不思議そうにしているものの、その目にはどこか生気がないように見える。

 ボクの気のせいかな??


 ……なんて思っている場合じゃない。

 逃げよう。

 ボクは脚に力を入れた瞬間、激痛が走った。


 そうだった、ボク、ケガしていたんだっけ……


 それでも逃げないといけないのだ。

 ボクは痛い脚に力を入れる。


「おっと、どこへ行く気じゃっ、サイレント??」

 ボクが逃げようとした先に姫様が待ち構えていた。


「逃げるのかっ?? 逃げてもまた全国指名手配してやるのじゃっ。まあ、今なら、泣いて謝って、妾と騎士団長の契約をして妾が神様になる手伝いをするなら、お主の悪行はこの場でもみ消してもいいのじゃっ!!」

「絶対にお断り!!」


 なんで、ボクが神様になる手伝いをしなければならないんだ。


「それならば、皆の者、静かにして良く聞くのじゃっ!! 今からサイレントの悪事を発表するのじゃっ!!サイレントはカバッカ町で魔族と結託し、祭り会場にいた人々を次々と気絶させるどころか、祭りを司る司祭様をも気絶させた後、警備兵の命を奪おうとした挙句、カバッカ町から逃亡をはかったのじゃっ」


「「「「「本当にそんなことをしたのか??」」」」」


 そこにいた貴族たちがボクを一斉ににらみつけてくる。

 なんでそんなにシンクロできるのってくらい一律の行動をしてくる。


「したかどうかと言われればしました。でも……」

 それにはきちんと理由があって……


「『でも』……じゃないのじゃっ!! サイレントの悪事はこれだけでないのじゃっ!! 次の町、ホバッカ町では、自分は魔族の人狼だと宣言し、ホバッカ町を脱走したのじゃっ!!」

「「「「「本当か?? サイレント??」」」」」


 ボクを見てくる貴族たち。


「本当だけど、それには言えない理由があって……」

「「「「「言えない理由だって??」」」」」


「それは妾が説明するのじゃっ!! 言えない理由というのは、『サイレントは魔族の人狼ではなく人間だ』ということなのじゃっ!! つまりは『国家転覆罪』並みのウソで、村を混乱させたのじゃっ」


「「「「「国家転覆罪レベルのウソをついたなら言えないわな」」」」」

 納得して、貴族たちはにらみつけてきた。


「違うよ!! そうじゃないよ!!」

「「「「「違う?? つまりウソはついていないと??」」」」」


「いや、ウソはついたけど……」

「「「「「やはりついているではないか!!」」」」」


「だから、そうじゃなくて……」

「言い訳する前に、罪は他にもあるから聞くのじゃっ!! サイレントは、ニック村で村の守り神であり、聖獣でもあるフェス様を殺してしまったのじゃっ!!」


 早口でまくしたてるお姫様。

 全然、反論させてくれない。


「「「聖獣殺しだと?? 本当か?? サイレント??」」」

「それも……本当です」


「「「「「はい、アウト!!」」」」」

「それに、この男、天界では神の杖を無断使用して、願いを叶えたのじゃっ!!」


「「「「「なんて極悪人なんだ」」」」


「いや、ちょっと待ってよ、それにも理由があって……」

「皆の者、極悪人の言い訳など聞く必要はないのじゃっ!! 下手をすれば、心変わりさせられてしまうのじゃっ!!」


「「「「「その通りだ!!」」」」」

 そうだ、そうだとうなずいて、みんなでボクに背を向ける人々。


「そんな……聞いてよ、ボクの話を!!」

「この男の話などきく価値はないのじゃっ!!」


「「「「「そうだ、そうだ!! 聞く価値はないんだ!!」」」」」」

 貴族たちは声をそろえる。


「なんで話を聞いてくれないんだよ!!」

「今までやってきた悪行がすべて自分に帰ってきたのじゃっ!! 自業自得じゃっ!!」


「「「「「「そうだ、自業自得だ!!」」」」」」

「……待つデス!! 師匠は……いい人なんデス!!」


 ボクをかばってくれたのはアリアだった。

 ふらふらで何とか歩いていますといった様子だ。


「アリア!! 麻痺がまだ抜けてないんでしょ?? 無理しないで!!」

「大丈夫デス!! 師匠のピンチに寝ていられません」


 強がってはいるけれど、見るからに辛そうなアリアになんとかかけよって、体を支えた。


「「「「「「黙れ、お前はその男の仲間なんだろ!! お前の言うことなんか聞くか!!」」」」」」


「その通りじゃっ!! この女の言うことも聞いてはいけないのじゃっ!! なぜなら、この女、実は魔族なのじゃっ!!」

「「「「「「なんだって!?」」」」」


 まずい、アリアが魔族だってみんなにバレてしまった。


忙しい人のためのまとめ話

サイレント、姫の適性職業を思い出し、指摘する。

サイレント、姫に今までのサイレントの悪行を暴露されるが、言い訳できない。

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