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第50話 サイレント、弾に追われる

これまでのあらすじ

 サイレント、アリアがフラットさんと戦いたいと言ったので譲る。

 アリア、フラットさんと戦うが苦戦する。

「目には見えない魔法吸収弾って何??」

「魔法で作られた、目で見ることはできない透明な弾デス。この弾が魔法に当たると、魔力を吸収して、フラットお姉さまに供給されてしまうデス」


「えっと、今回の場合だと、目に見えないフラットさんの弾がアリアのファイヤーボルトに当たって、ファイヤーボルトに込めた魔力がフラットさんに吸収されたってこと??」

「そういうことデス」


「それでもファイヤーボルトを撃ち続ければ、いずれはフラットさんの魔法吸収弾はなくなるんじゃない??」

「ダメデス」


「どうしてさ??」

「フラットお姉さまは、戦闘を見越して、大量に弾を作成してきているはずデス。おそらく、弾が尽きるよりもはやく、アリアの魔力が限界を迎えるはずデス」


「さすがー、アリアさんー。正解ですー」

 なんてこった。


 瞬動で間合いを詰めてもダメ。

 魔法を使ってもダメ。

 これってかなりピンチじゃないか??


「さてー、サイレントさんとも戦わないといけないのでー、そろそろ決着をつけてもよろしいですかー??」

「アリアはまだギブアップしていないデス」


「それならー、自分からギブアップをさせるしかないですねー」

 フラットさんは会話しながら銃を撃つ。


「アリアの大鎌でフラットお姉さまの弾を真っ二つにしてやるデス!!」

 アリアが大鎌を振り下ろした瞬間に、パキンという音がしたかと思ったら、大鎌が宙に舞った。


「ぐっ」

 アリアはおなかを抱えてうずくまる。


「真っ二つになったのは、アリアさんの大鎌だったみたいですねー」

「アリア、おなかから血が出ている!! はやく止血しないと!!」


「そんな。たった一発でアリアの鎌が……」

 小刻みに震えるアリア。


「降参ですかー、アリアさんー??」

「…………」

 フラットさんの問いかけにこたえないアリア。


「痛みで気絶しちゃいましたかー??」

 あのアリアが一発でやられてしまうなんて、どんだけ強いんだ、フラットさん。


「院長先生、手当てを!!」

「分かっているのよ!! ヒール!!」

 院長先生はアリアのお腹に手を当てる。


「殺すつもりだったんですか??」

「まさかー。アリアさんに撃ったのは、ゴム弾ですよー。命に別状はないかと思いますー」


「ゴム弾だって?? ゴム弾でアリアの大鎌を貫通させたんですか??」

「ゴム弾といえどもティタン製ですからー」


「ティタン製のゴム弾って、そんなに強いんですか??」

「ティタン製の武器は魔力を込めれば込めるほど強くなる性質があるのよ。ゴム弾が強いというよりは、ゴム弾に込めた魔力が強いのよ」


「どんだけ強い魔力を込めたんですか、フラットさん!!」

「ものすごい魔力は込めていませんよー。普通ですー」


「なんだ、普通ですか……って、普通でアリアの大鎌を折る威力って、もしも本気で弾に魔力を入れたらどうなるんですか??」

「神殺しになれるくらいなのよ」


 あ、そうだった。

 フラットさんは神殺しだったんだった。


「アリアちゃんを傷つけるなら、やっぱりアーノム・ギトーゲの兵士たちに追いかけられている最中、上空でフラットを落としておけばよかったのよ。そうすれば、捻挫くらいはしていたはずなのよ」


 後悔しながらフラットさんをにらみつける院長先生。


「いやいや、あの高さから落ちたら捻挫じゃ済まないでしょ……って、思っていた時期がボクにもありましたが、フラットさんが神殺しなら納得です」

「私が冗談を言うはずないのよ」


 いつもウソばかりのくせに。


「何なのよ、サイレント。その眼は??」

「いや、なんでもないです」


「私の前でおしゃべりとは余裕ですねー、サイレントさんー」

 パンパンパンと銃弾を撃ってくるフラットさん。


「うわっ、危ないな!!」

 ボクはその弾を避けた。


「やっぱりー、アリアさんを倒した銃弾じゃー、倒せないですねー。もっと速い速度の弾が出る銃とー、もっと魔力を込めた銃弾じゃないとー」


 フラットさんは胸の谷間からスナイパー銃と弾を取り出した。

 胸の谷間からって、どうなっているの、その銃??


「時にサイレントさん、散弾銃って知っていますか??」

「弾がいろいろなところに散る銃ですよね??」


「その通りですー。その散弾銃の最高傑作、一回で一万発の散弾がでてくる、ティタン製銃・万弾銃ですー」

「万弾銃だって!? そんなもの、こんな室内で撃ったら、ボクだけじゃなく、たくさんの被害がでるじゃないか!!」


「大丈夫ですよー。私の散弾銃の弾は魔力を込めた魔弾でー、一発、一発に私の魔力がこもっていてー、弾の魔力が切れるまではー、サイレントさんを追い続けますからー」

「え? それって、魔王の使った妖精さんみたいなこと??」


「そうですねー、そう考えてもらって構いません。まあ、私の魔弾は最高速度マッハ3程度の速さで、ほんの3分ほどしか、サイレントさんをホーミングしませんがー」


「え? つまりそれって……??」

 マッハ3ってどれくらいの速さで、3分ってどれくらいの長さなんですか??

 朝から晩までですか??


「あなたは、全速力でずっとフラットの弾をよけ続ければいいのよ、サイレント!!」


「ちょっと待ってください!!」

「待てませんねー、サイレントさんー、位置についてー、よーいどんですー」


 フラットさんが銃の引き金を引く。

『パンッ』と乾いた音が出た後に、とてつもない数の弾丸が飛んできた。



「助けて!!」

 運動会の徒競走じゃないんだから、笑顔で引き金を引かないでください、フラットさん!!

 ボクはフラットさんに背を向け、全速力で城の中を走る。


 走れ、走れ、走れ!!

 ボクは気配察知をしながら、応接室を出た。


 とっさに、応接室の鉄製のドアを閉めて、ドアの右に立つ。

 よし、これで、弾がドアに当たれば、ボクを追いかけて来れないはずだ。


 これで一安心……できない!!

 弾はぎゅーんという音を出しながら、ドアを突き破り、円を描いてボクを追ってきている。


 しかも結構はやい速さで。

 やはり、妖精さんと同じく、ボクに当たるまでは止まらないのだろう。


 ボクはそのまま、廊下を走り続ける。

 階段が見えてきたので、ボクは階段を駆け下りて、部屋に入ると、そこは調理場だった。


 ああ、良い香りがするぞ……って思っている場合か!!


「どいて、どいて!!」


 ボクは叫びながら、調理場を駆け抜ける。

 しまった、このままだと行き止まりだ。


 こうなったら仕方ない。

 ボクはダガーを投げた後、脚に力を入れてスピードを上げて、ダガーと並走し、ダガーが壁を壁が壊した瞬間に、ダガーを回収して走り続ける。


「きゃー」


 ボクが壁を壊したので、部屋の中にいた女の人の悲鳴があがったが、今は構っている暇はない。


「すみません、弁償はフラットさんに言ってください!!」

 ボクは城を壊しながら、走り続けた。


 もう、3分経っただろうか??

 気配察知をするが、弾はまだボクを追い続けている。

 しつこいな!!


忙しい人のためのまとめ話

 アリア、フラットさんと戦って撃たれる。

 サイレント、フラットさんの1万発の弾丸に追われたので逃げる。

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