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第45話 サイレント、フラットさんに勝利宣言をする

これまでのあらすじ

 サイレント、ラカンの罪を聞いて、ラカンを許す。

 サイレント、自分も同じことをしていたと暴露する。

「まさか殺したんですか??」

「いいえー、麻酔弾を撃ち込ませていただきました。私のお手製の弾ですから、明日まではまともに動けないはずですねー」


 良かった、死んではいないんだね。


「どうしてラカン達を撃ったんですか??」

「お仕置きですねー。それとー、もしかしたらー、後で必要にー……いえー、なんでもありませんー」


 そう言った後、言葉を詰まらせるフラットさん。


「後で必要??」

「いえー、お仕置きってことにしてくださいー」


 にっこりと笑うフラットさん。


「ちょっと待ってください。ラカンは黒幕がフラットさんと言ったからお仕置きをしたのは分かりますが、アイズとブリジットは関係ないですよね??」

「アイズさんもブリジットさんもパーティーメンバーですからー、連帯責任ですー」


「ひどすぎる!!」

「ひどいのはラカンさんたちですよー。予定では私が黒幕だということはバラさない約束だったんですからー。約束を守れない人たちにはお仕置きをするというのは当然のことですー」


「どうして、ラカンを脅したんですか??」

「それはー、もしもー、私に勝てたら教えてあげますー」

 そう言いながら、拳銃をかまえるフラットさん。


「ボクとフラットさんが戦うだって?? ボクが勝つに決まっているのに、そんなことできるわけがないじゃないですか!! ボクは戦いませんよ」


 そうだよ、相手は冒険者ギルドの受付嬢なんだ。

 冒険者のボクが勝つに決まっているじゃないか。


「勝ちを宣言しただと……」「すごい自信だな、サイレント」「さすがだ」


 ざわつく貴族たち。

 何をそんなにざわついているんだ??


「やっぱりー、サイレントさんはー、知らなかったんですねー」

「知らないって、何をですか??」


「それならー、改めて自己紹介をしますねー。私はー、冒険者ギルドの受付嬢兼、神殺しのフラットですー」

「え? フラットさんが神殺し? またまた冗談がきついですよ。ドッキリですよね??」


 ボクは院長先生の顔を見る。


「フラットは神殺しなのよ。サイレント、今更何を言っているのよ??」 

「またまた、冗談はよしてくださいよ、院長先生。フラットさんは冒険者ギルドの受付ですよ。神殺しのはずないじゃないですか」


 ボクはアリアの顔を見る。


「フラットお姉さまは神殺しで、今のところ人類最強だと言われているデスよ」

「え? え??」


 アリアがウソを言うはずがない。

 ……ということは、本当にフラットさんは神殺しということか??


 いやいや、そんなはずはないはず……

 ダメだ、突然のことで思考が追いつかず戸惑ってしまった。


「アリア、フラットお姉様が神殺しだと知っていたから、慕っていたデス」


「え?? そうなの??」

「アリアは、アリアよりも強い人が好きデスから」


「確かに、アリアは出会った時からずっとフラットさんを慕っていたけれども……もしかして、最初からフラットさんが神殺しだって気づいていたの??」


「もちろんデス」


「院長先生も最初から知っていたんですよね??」

「そうなのよ」


「それなら、納得できないことがあるんですけど、院長先生」

「なんなのよ??」


「院長先生がフラットさんを嫌いな理由だよ。確か、院長先生って、神様と仲が悪いんでしたよね??」


「個人的に神様は好きじゃなかったけど、神様には生きて欲しかったのよ。だから、私は神様を殺したフラットがずっと嫌いだし、フラットが神様を変神だとバカにした時に、本気で怒ったのよ!!」


「そういうことだったんですね……って、ちょっと待ってください。フラットさんが神殺しということは、フラットさんが、ダンジョンを制覇したってことですか??」


「そうなのよ」

「『そうなのよ』……って、フラットさんが強いとは、にわかに信じられません」


「実際にはラカン・アイズ・ブリジットをおしおきと称して、目の前で倒したじゃないのよ」

「それは……銃の力を借りれば、誰だって強くなることはできるじゃないですか。こんなに近ければ、当てることも簡単でしょうし。強さの証明にはなりませんよ」


「それなら、サイレント、魔王に認められた後、アーノム・ギトーゲにフラットが報告に行ってから、樹海にあなたを迎えに来た時、この子は一人で来たのを覚えているのよ??」

「覚えていますよ。それがどうしたんですか??」


「もしも、フラットが普通の冒険者ギルドの受付嬢ならば、魔物がうようよいる樹海に一人で行かせるわけがないのよ」

「言われてみれば、その通りだ」


「なぜフラットは一人で現れたのか?? それは、護衛が必要ないくらい強いから一人だったのよ!!」


「それでも、納得できません。フラットさんは、神殺しということは、ダンジョンを制覇したんですよね?? 何で冒険者ギルドの受付なんかしているんですか??」


「魔物の知識を見込まれて、冒険者ギルドの仕事なら、何でも携われる管理長を任されて、制服が可愛いからという理由だけで、冒険者ギルドの受付嬢になったのよ」


「ちょっとー、インフィニティー、建前上は制服が可愛いということにしていましたがー、本当はー、勇者であるサイレントさんをー、神殺しとして近くで監視をする役割があったんですよー。結果的にはー、勇者じゃなかったんですけどー」


 そう言いながら頬を膨らませるフラットさん。


「それじゃあ、本当に、フラットさんは神殺しなんですか!?」


「さっきからそう言っているのよ! 全人類……どころか、全天使と全魔族が知っている周知の事実なのよ。知らないのはあなたくらいなのよ、サイレント」

「えええええええーーっ!!」


 ボクは驚くのだが、何か引っかかることがある。

 この引っかかりはなんなのだろうか??


 あ、そうか、わかったぞ。

 どうして、引っかかっているか。


「フラットさんはボクと同じ年齢ですよ。神殺しが起きた時なんて、フラットさんはボクと同じで子どもじゃないですか!!」


 ボクは自分で引っかかっていたことを口に出した。

 ふぅ、アリアと院長先生にだまされるところだった!!


 これは大がかりなドッキリだ。

 きっと、ラカンもアイズもブリジットもグルなのだ。


「そうなのよ、フラットは当時、子どもだったのよ」

 こくりとうなずく院長先生。


「そうなのよ……って、子どもに神様が殺せるわけがないじゃないですか」


 良かった。

 フラットさんの年齢の違和感に気づけて。


 これはおおがかりなドッキリだ。

 あやうく騙されるところだった。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、フラットさんが神殺しだと知らずに勝利宣言する。

 サイレント、フラットさんが神殺しというのはドッキリだと思う。

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