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第33話 サイレント、驚愕の新事実を知る

これまでのあらすじ

 サイレント、人ジゴクの幻覚だと思い、アリアパパが油断したところをついて降参させる。

 アリア、人ジゴクの幻覚じゃないとサイレントに教える。

「またまた、そんなこと言って!! アリアも幻覚なんでしょ??」

「師匠、アリアパパが幻覚なら、触った瞬間にアリアパパは煙のように消えるはずデス」


「近くにジツゲンゴロウがいるんじゃないの?? ジツゲンゴロウなら、幻覚を本当にできるんだよね??」

「ジツゲンゴロウはこの樹海には棲息していないデス。こんなところにジツゲンゴロウがいたら、他の魔物に瞬殺されるデスから」


「え?」

「もしも仮に人ジゴクとジツゲンゴロウのコンボだとしても、会話はできないはずデス。そもそも人間語が分からないデスから」


「違うのよ、サイレント!! 私達は人ジゴクとジツゲンゴロウがみせている幻覚なのよ。だから、私と婚約しても問題ないのよ。今ここで私にプロポーズするのよ、サイレント!!」


 目を血走らせながら、ボクに訴える院長先生。

 必死すぎ。


「師匠、堕天使の言うことは信じちゃダメデス!! 幻覚じゃなくて現実デス!!」

「アリアを信じるよ」


「どうして、アリアちゃんの方を信じるのよ??」

「もしも幻覚だったとしても、どうしてボクが院長先生と婚約をしなければいけないんですか??」


「……それは、そうなのよ」

「そもそも、アリアがボクにウソをつくはずがないじゃないですか」


「それも、そうなのよ」

「もしも本当に幻覚だというのであれば、院長先生がフラットさんにプロポーズしてみてください。もちろん、ダークドラゴンに誓ってくださいよ。もしも、できたなら信じますよ」


「もちろん、できるのよ……」

 目を泳がせる院長先生。


「インフィニティー、私にプロポーズしてくれるんですかー?? うれしいですー」

 顔をほころばせるフラットさん。


「……無理なのよ。できるはずがないのよ」

「つまりは、ここにいる全員は本物だ!!」


 よかった、裸踊りをしないで。

 セクハラで訴えられて、賠償金を払うところだった。


「最初からボクは全員が本物だと思っていたんだよね!!」

「あぶら汗がひどいのよ、サイレント。絶対にウソなのよ」


「何を言っているんですか、院長先生! ウソなわけがないですよ」

 じっとボクを見てくる院長先生。


「ボクがウソをついたかどうかなんてささいなことですよ、院長先生。今は本物のアリアパパに勝てたことを喜びましょうよ!!」

 ボクは話題を無理やり変える。


「そうデス!! 師匠は魔王を降参させたんデスよ!! 喜ばない方がおかしいデス」

「そうだよ、ボクは魔王を降参させたんだから喜ばない方がおかしいですよ…………ん? 魔王?? 何を言ってるの、アリア? ボクが降参させたのはアリアのパパだよ!?」


「デスから、魔王デス!!」

「え? いや、違うよ、ボクが降参させたのはアリアのパパだよ」


「デスので、アリアのパパは魔王デス」

「………本当に??」


「本当デス。アリアのパパは魔王デス」


 まっすぐなまなざしでボクの方を見てくるアリア。

 そこからはウソをついているようには見えない。

 ボクは念のためにゆっくりと右を向き、院長先生と目を合わせる。


「そうなのよ、アリアちゃんのパパは間違いなく魔王なのよ」

 コクリとうなずく院長先生。

 ボクは左の方にいたフラットさんと目を合わせた。


「そうですねー、あの強さは魔王に違いないですねー」

 フラットさんも、うなずいた。


「ちょっと待って、アリアのパパ、魔族全体を集めた演説の時に、『魔王の言葉を贈る』って言っていたよ」

「アリアのパパが魔王なんデスから、魔王として言葉を贈ったのであれば、『魔王の言葉を贈る』で間違いないデスよね??」


 あ、そういうことか。

 ……ってことは……


「ええええええええええええええええええっ!?」

 驚愕の新事実!

 アリアのパパが魔王!!


「確認させて、アリア。アリアのパパが魔王ってことは、アリアって魔王の娘ってことだよね??」

「そうデス」


 即答するアリア。

 うん、アリアがウソをつくはずがない。


 ボクを騙すドッキリとかではなさそうだ。

 礼儀正しく、食べる姿も優雅だから、貴族出身かと思っていたけど、まさか魔王の娘だったとは思わなかった。


 ボク、魔王の娘に求婚していたのか……


「まさか、アリアパパが『魔界の半分をあげる』って言っていたのって……」

「拙者はあの時、本気でお前にあげるつもりだったでござる」

 アリアパパの言葉は冗談じゃなかった!!


「まさか、『全部じゃダメなんですか??』……と返答するとは思わなかったでござるが」


 良かった、冗談にとられてて。

 もしアリアパパがボクの冗談を冗談ととらずに、激怒していたら、ボク、妖精さんに瞬殺されているところだったよ。


「師匠さすがデス。最初からパパを倒して、魔界全土をもらうつもりだったんデスね」

「ボクは冗談でいったんだよ。本気で魔界全土をもらおうなんてことはしていないよ」


「デスが、パパを降参させた今なら、魔界全土を掌握することも可能デス!! 有言実行できるデス!!」

「しないからね。魔界全土を掌握なんて!! たまたまアリアパパが油断している隙を狙えて、勝てただけなんだから」

 人間のボクが掌握できるわけでもないし。


「あのー、そのことなんですけどー、サイレントさんはー、どうやって私たちに気づかれずにマジック・バックから出てきて、アリアパパの油断している隙を狙えたんですかー??」


「それはこっちが訊きたいです!! ボク、ものすごい勢いでマジック・バックに入ったんですけど、マジック・バックから出たら、アーノム・ギトーゲ城にいたんですよ」


「アーノム・ギトーゲ城にいたということは、サイレント、あなた、光の速さで動ける妖精さんに追いつけないほどの速さで動いたのであれば、タイムスリップした可能性が高いのよ!!」


「師匠、タイムスリップしたデスか?? もしかして、宇宙に行って戻ってきたんデスか??」

「宇宙なんか行ってないよ。だから、タイムスリップなんかしていないはずだよ」


「おそらく、宇宙に行かずにタイムスリップしたのよ」

「宇宙に行かずにタイムスリップなんかできるんですか??」


「マジック・バックの中に入った瞬間にタイムスリップしたならば、理論上、宇宙には飛び出さないはずなのよ」

「なるほどデス! マジック・バックに入った瞬間にタイムスリップしたので、宇宙へは飛び出さずに、過去のマジック・バックに繋がったということデスね??」


「そういうことなのよ」

 うん、全然分かんない。


「なるほどー、アーノム・ギトーゲの城で最初に出てきたサイレントさんはー、タイムスリップしたサイレントさんだったということですねー」

「そう考えると、すべてのつじつまが合うのよ」


「なるほど、そういうことだったのか!!」


 全然分からないけどとりあえず、分かったフリをしておこう。

 話の腰を折らない『はったり』は大事だ。


「あの、お話し中なところ申し訳ないのでござるが、そろそろ解放していただけないでござるか??」


「師匠、そのままパパの命をとるデス!!」

「どうしてそんなこと言うの、アリア?? パパと仲が悪いの??」


 ボクはアリアパパに突き付けているダガーをおろしてからアリアに尋ねた。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、アリアパパが魔王だったと知る。

 サイレント、自分がタイムスリップをしていたと知る。

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