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第31話 サイレント、魔族の具体的な作戦を聞く!?

これまでのあらすじ

 サイレント、アーノム・ギトーゲから脱出して、魔界に近い樹海につく。

 サイレント、樹海でフランケン・シュタインとアリアパパに出会う。

 どれくらい時間が経ったのだろうか??

 こつこつ……と足音が響いた。


 演説台の上に誰かがあがったのだろう。


「『あー、拡声器のテスト、拡声器のテストでござる。集まってもらったのはほかでもないでござる』」


 あれ??

 この話、どこかで聞いたことがあるぞ。

 どこだったっけ??


「『中には知っているものもいるかと思うでござるが、本日、人類の男1人と、女1人、魔族の少女1人と堕天使1人、そして、なぞの飛行機械が10機、密林上空をうろうろしていたでござる』」


 そうだ、アリアのパパと戦う前に聞いた演説と同じ内容じゃないか。

 この後、アリアが人間の捕虜にされていることを言って、魔王に懸賞金をかけたられたと説明するんでしょ??


「『おそらく、人間達は魔界に乗り込んで魔王を倒すために、魔族の少女を捕虜にして、魔界への入口を案内させたものの、捕虜の魔族の少女が口を割らずに魔界への入口を教えなかったため、この密林上空をうろうろしていたに違いないでござる』」


 ボクの予想した通りにアリアパパは説明をする。


 でも、どうしてアリアのパパは、また同じことを説明しているんだ??

 魔物ってボクより頭が悪いから、1日1回説明しないと忘れてしまうのか??


 ……もし、忘れてしまうのなら、演説の壇上の下にいるんだから、魔王が使っている拡声器を奪って、アリアは捕虜にされていないし、魔王に懸賞金はかかっていないと説明したあと、この場から逃げれば……って、無理無理無理!!


 この布の下にいたなら、拡声器を奪って、逃げて見せる……と院長先生に言っちゃったけど、そんなの自殺行為だ。


 うん、当初の予定通り、魔物がいなくなるまで、じっとしているしかないな……


「これから具体的な作戦を伝えるでござる」


 お、具体的な作戦を説明してくれるのか……

 この前は院長先生たちと話していて、聞き逃してしまったからな。

 今日はしっかりと聞いておこう。

 相手の作戦が分かれば、対策をたてるのも簡単になるだろうし。


「具体的な作戦……それはないのでござる」

「え?」


 声を出しそうになったので、ボクは慌てて口を塞いだ。


「鎮まるでござる。あまりにも人間側が唐突に攻撃しに来たので、具体的な作戦をたてる時間はなかったのでござる。拙者達の数の多さを活かして、まずは捕虜になった魔族を救出し、その後、人海戦術で人間界を襲い、恐怖に落とし込むのでござる!!」


 具体的な作戦はなくて、ただの人海戦術かい!!

 作戦がないなら、魔族たちの士気も落ちるはずだ。


「作戦はないが、魔王の言葉を贈るでござる」


 魔王の言葉だって??

 なるほど、アリアパパは魔王の言葉を贈ることで、魔物達を鼓舞する気だな。

 いったいどんな言葉が出てくるんだ??


「まずは、人間に捕まった捕虜を解放するでござる!! 捕虜の解放に参加した魔物は、魔王が仲間思いの心を認めるでござる」


 魔王がアリアを解放した魔物を認めるだって!?

 つまりは、ここいるすべての魔物が神候補者になり得るってこと??


 なんで、魔王はこんなにも神候補者を増やしているんだ??


 アリアの話だと、魔王は魔王自身しか認めないって言っていたはずだ。

 魔界では魔王だけが神様候補なんじゃないのか??

 もしかして、アリアの情報が間違っていて、魔王は神になる気がないのか??


 ボクは木の板の隙間から魔族の顔を見る。


 魔族たちはみんな、きょとん顔。

『え? なんで捕虜を助けるだけで、俺たちが魔王候補になれるんだ?? 何か裏があるのでは??』という顔だ。


「どうして今、神候補を増やすのか?? ……という顔をしているでござるが、魔界では強い力こそすべてでござる。それゆえに、我々魔族は、人類からは武力で侵略を受け、平和主義者な天界からも疎まれているでござる」


 その言葉に、一部の魔物が「ぎゃー」と声をあげた。

 おそらく、その通りだ……とでも言っているのだろう。


「人類や天使族から神様が出れば、真っ先に魔族を滅ぼすことが予想されるでござる。もしも魔界から神様を出さなければ、拙者達の代で魔族は絶えるでござる。それだけは避けなければならない未来でござる!! ゆえに、魔族の中から神様を出すために、仲間思いの魔族を認めるのでござる!!」


「この中にいる誰かが神になれば、次の世代に魔族中心の平和な世界を引き継げるでござる!! 嘘ではないという証拠に、ダークドラゴンと交わした契約書もここにあるでござる!!」


「「「「うぉーっ!!」」」」

 歓喜の声をあげる魔物達。

 ここからだと見えないが、おそらく、アリアパパが魔王とダークドラゴンとの契約書を魔物たちに見せているのだろう。


 魔物たちはその契約書を見て、本物だと喜んでいるのだ。


 なんてこった。

 魔王が今ここにいる魔物たち全員に神様になる権利が付与されてしまった。


 このままだと、魔族が神様になってしまうではないか!!

 下手すれば、人間が滅びてしまうぞ。


「……話は以上でござる!! 皆の者、よろしくお願いするでござる!!」


 ドドドドド――

 アリアパパの話が終わると、魔物たちはいっせいにここから立ち去った。


 ふぅ、魔物たちにバレずにすんだぞ。

 さて、もしも、アリアパパが同じように再現しているなら、アリアを探すはずだけど、さすがにそこまで再現するわけが……


「おお、アリアたん、どこにいるのでござるか、アリアたん!!」

 ……って、再現し始めた。


 もしかして、アリアパパも記憶力が良くないのか??

 魔物と同様、1日で記憶をなくしてしまうのか??


 ボクは目の前にあった布をあげて、アリアパパの声のする方をちらりと盗み見た。

 その表情からは本気でアリアを探しているみたいだ。


 何でそんなに本気で探しているのさ??

 アリアパパには、アリアは捕虜じゃないとボクが説明したのに。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、具体的な作戦がなく、ただの人海戦術だと知る。

 サイレント、ここに集まった魔族が全員神候補になり得ることをしる。


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