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第24話 サイレント、アリアパパをごまかそうとする

これまでのあらすじ

 サイレント、アリアパパにどうしてアリアを呼び捨てにしているのか問い詰められる。

 サイレント、仲間同士では仲良くなるまで呼び捨てにするとウソをついて、ごまかす。

「なかなか面白い方たちでござる」

「そうでしょ。ボクのパーティー仲間です。パーティーメンバーは、アリアだけじゃないことは納得していただけましたか??」


「もちろんでござる」


 ふぅ、納得してもらえてよかった。

 後はここからトンズラするだけだ。


「あ、そうだ、仲間と合流できたんだし、そろそろ目的地に向かわないと!! ね、院長先生??」


 ボクは院長先生にウィンクで目くばせをして、話を合わせることを要求する。

 届けボクの、目くばせ!


「目的地?? そんなところないじゃないのよ、サイレント」

「サイレント!? お主の名前はサイレントなのでござるか??」

 顔を真っ赤にし、怒りを隠そうともせずに、興奮するアリアパパ。

 まずい、まずい、まずい!!

 なんとかごまかさないと。


「何を言っているんですか、ボクの名前はシショーですよ!!」


 もう一度ボクはウィンクで目くばせした。

 届け、ボクの目くばせ!!


「シショー?? それはアリアちゃんがあなたを呼ぶときの呼称なのよ。貴方の名前はサイレントなのよ。ついに自分の名前まで忘れてしまったのよ??」


「そんなんじゃないですよ。ボクの名前はサイレントなのは分かっていますよ。ただ、アリアのパパにボクがサイレントだとバレたら、殺されちゃうんですよ!!」


「なるほどでござる。つまり、シショーが……いや、お前が『サイレント』ということでござるな」

 あ、しまった。


「えっと、これはですね……」


 まずい、何か言い訳を考えないと……

 ボクが言い訳を考えていると、アリアパパはボクの手を掴み、袖をたくしあげた。


「手首にダークドラゴンが施したアリアタンとのエンゲージ・マジックが確かにあるでござる」


 しまった。

 ボクの手首に黒い入れ墨がつけられていたの忘れていた。


「あ、そういうことなのよ。違うのよ、サイレントはサイレントじゃないのよ、ね、サイレント??」

 ちょっと、黙っていてもらえるかな、院長先生。


「やはり、お前がサイレントでござるな。さっきは本人なのに、知らないとウソをついたでござるか??」

 アリアパパは両手でボクの胸倉をつかみながら問い詰めてくる。


「はい、そうです」

 アリアパパをごまかすことは難しいと判断したボクは正直に白状する。


「この嘘つきの女たらしめ」

「ウソつきは分かるけど、女たらしってどういうこと??」


「先ほど、お前は院長先生と呼ばれる堕天使にウィンクをしていたでござる!!」

 さっきの目くばせが完全に裏目に出た。


「あれはウィンクじゃないです! そもそも、院長先生はまだ子どもで、男でも女でもないんですよ!!」


 そう、院長先生は今、男でも女でもない。

 だから、女たらしということにはならない……はずだ。


「言い訳をするでござるか?? 問答無用でござる。アリアたんに求婚しながら、堕天使にウィンクを送ったうえ、言い訳をする輩とは、絶対に結婚は許さないでござる!!」

「申し訳ございませんでした」

 ボクはすぐさま土下座をする。


 あれ??

 怒られたから反射的に謝っちゃったけど、謝る必要があったか? ……いや、ない。

 なぜなら、謝らなければ、アリアと結婚が解消できるから。


「すぐに謝るとは潔し。それなら情状酌量の余地ありで、死刑で許すでござる」

 良かった、ボクが正直に謝ったから、アリアパパが情状酌量で判決が軽く……なってない!


「情状酌量の余地があって、どうして死刑なんですか??」

「おまえが死刑になれば、アリアたんとの結婚も認めなくていいでござる!!」


「もしも、婚約について怒っているのでしたら、アリアとの婚約は破棄ということでどうですか??」

「失望したでござる。おまえは、アリアたんと交わした約束を反故にする、最低な人間だったでござるか?? こんなクズな人間には鉄拳制裁で死刑にするしかないでござる」


 バキバキと指をならすアリアパパ。


「えっと、その……」

「言い訳も御託もいうらないでござる。拙者と戦って、とりあえず、いっぺん死ぬといいでござる」

 どうしてこうなった……


「ボクは戦いたくないです」

「それならばそこに突っ立ったまま死ぬと良いでござる」


 アリアのパパはとんでもない殺気を出しながらボクの方をにらみつけてきた。

 まずい、アリアのパパは本気だ。


「それもイヤだよ!!」

 ボクはアリアパパのどんな攻撃からも逃げられるように、ひざを曲げる。


「それならば、戦うでござる!!」

「師匠、パパを倒すデス!! 私はフラットお姉さまとここで応援するデス」

 アリアパパの殺気に気づいたアリアはボクの応援をしてくれる。


「拙者はこのあと、本気を出さないといけないでござるから、肩慣らしをしないといけないでござる」


 そう言いながらアリアのパパはアリアの方をにらんだ。

 本気を出す……って、魔族はなんでも力で解決する種族だ。

 まさか、人間のことを応援した実の娘と本気で戦って、アリアにお灸を据える気か??

 まずい、アリアを守らないと。


「今の相手はボクですよね??」

 ボクはアリアとアリアパパとの間に立つ。


「その気になったでござるか。それなら、命をかけた戦いをするでござる!!」

「いや、その、ボク、アリアのパパに傷をつけたくないんですよ。だから、どちらかが降参したら、決着ってことにしていただけませんかね??」


 命をかけるだなんてことしたくない。

「拙者は命をかけた勝負がしたいでござる!!」

「ボクはしたくないんです!!」


「それなら、拙者はお前の命を奪ったら勝ちで、お前は拙者を降参させることができたら勝ちということでどうでござるか??」

「えっと、戦闘前にボクが降参するので、アリアパパの勝ちってことにはできませんか??」


「無傷で負け逃げなど許さないでござる!!」

 叫びながら、アリアパパはボクに向かってきた。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、アリアパパにサイレントだとばれてごまかそうとするが、ごまかせない。

 サイレント、抵抗するが、アリアパパと命を懸けた戦いを強いられる。

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