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第15話 サイレント、『魔王神様化計画』について蒸し返す

これまでのあらすじ

 アリアがサイレントの作戦を勘違いしたおかげで、スタンディング・ウッドを倒す。

 サイレント、院長先生に公開処刑を宣告されるが、なんとかごまかして、延命する。

「えっとね、さっき話に出ていた、『魔王神様化計画』について詳しく知りたいなと思って。多分、ボクの想像している通りだと思うんだけど」


 ボクは気配察知と空動を駆使してムービング・ウッドを追いかけながら、アリアに謝った理由をごまかすために、先ほどまでの話を蒸し返した。


「ああ、そのことデスか。師匠の想像している通り、『魔王神様化計画』は魔王を神様にしようと計画しているデス」

 アリアは院長先生の腕に抱きかかえられながら答えてくれた。


「確か、神様になるには、まずは魔王に認められないといけないんだよね?? それなら、魔王は神様にはなれないんじゃない??」

 まずは魔王に認められないといけないんだから。


「いいえ、一人だけいるデス」

「誰??」


「それは魔王自身デス」

「魔王自身だって!?」


「そうデス。魔界では、魔王は魔王自身の力を認めているはずデス。デスので、神様になるのは魔王だと魔界ではみんなが信じているんデス」


「つまり、魔王を認めることができるのは魔王だけだから、魔王が神様になるということ??」

「その通りデス」


「ん? ちょっと待って。魔王が自分を自分で認めているということは、もしかして、今一番神様に近い存在って……」

「魔王デス」

 ですよね。


「えっと、つまり、『神の爆誕伝説』通りならば、魔王は魔王自身を認めているから、次に人間たちに認められようとしているってこと??」

「そうデス。人類に認められるために、あえてダンジョンに魔物を送り込み続けているデス」

 こくりとうなずくアリア。


「ちょっと待って。魔王はどうして、魔物を送り込むなんていう非効率的なことをしているのさ?? 魔王が直接人間界に乗り込んで、直接手を下せばいいんじゃないの??」


 ダンジョンに魔物を送り込むなんていう、ちまちましたやり方じゃなくて、最初から魔王が出張ればいい話だよね??


「魔王が本気を出せば、人間界が滅びかねないからデス。もしも、人間界が滅びれば、人間には認められず、神様にはなれなくなるデス」


「なるほど。魔王は人類に認められるために、人類を滅ぼさない程度に脅威を与え続けているってこと??」

「そういうことデス」

 なんという回りくどいことをしているんだ。


「人間界を滅ぼせるほどの力があるなら、人間を滅ぼさない程度に支配すればいいのに」

「もし本当に魔王が手加減をして直接的に人間界を支配しようとしたら、協定を結んでいる天使が肩入れすることは目に見えているデス」


「別に天界を敵に回しても問題ないんじゃないの??」

「大ありデス!! 圧倒的な力のみで人類を支配したら慈悲深い天使族が魔王を神様と認めるはずがないデス!!」


「あ、そっか。魔王は、人類に認められた後に、大天使長に認められないといけないんだったっけ」


「そうデス。今でこそ、師匠が天界のバリアを壊したので、天使にも攻撃は通じるみたいデスが、今までは、天使族に魔族の攻撃は基本的には効かないと信じられていたデス。力で支配するのは得策ではないと魔王は考えているようデス」

「なるほど」


「デスので、人間に奪われたダンジョンに魔物を送り込み続けることで、人間界の人々を疲弊させて、人間を滅ぼさない程度に、魔王の強さを認める作戦をとっているデス」

「ちょっと待って、アリア。今、人間に奪われたダンジョンって言った??」


「言ったデス」

「人間界にあるダンジョンって、魔族が人類の目を盗んで、人類を苦しめるために作ったんじゃないの??」


「何を言っているのよ、サイレント。アーノム・ギトーゲ城周辺以外はすべて魔界の一部だったのよ。ダンジョンは、神様が殺されて混乱していた時に、人間が魔界を侵略した時に奪ったものなのよ」


「え?? つまり、ダンジョンってもともとは魔界のものだったってことですか??」

「そうなのよ」


 なんてこった。

 人間界に魔族が占拠してダンジョンを作ったのではなく、もともと魔族の作ったダンジョン周辺を人間が奪ったものだなんて、今の今まで知らなかった。


「ああ、だから、ダンジョンの魔物を倒しても無限に魔物が出てくるのか」

「人間がまだ、ダンジョンを最深層まで攻略していないから、魔族はずっと魔物を送り続けることができるデス」


「それなら、もしも、最深層の魔法陣を消したら、魔物の出現はなくせるってこと??」

「そうデス」


「つまり、倒しても倒してもダンジョンのモンスターが全然減らないのは、人類がダンジョンを最深層まで攻略していないからってことなんですね」

「それは違いますねー」


 ボクがお姫様抱っこしていたフラットさんが甘ったるい声で否定してくる。


「違うってどういうことですか??」

「すべてのダンジョンは『神殺し』が最深層まで攻略しているのよ」

 ボクの質問に答えてくれたのは院長先生だった。


「え? すべてのダンジョンを最深層まで攻略しているのに、どうしてダンジョンから魔物が出続けているんですか??」

 意味が分からない。


「『神殺し』が、ダンジョンの最深層にある魔法陣を壊してないからなのよ」

「魔法陣を壊していないって、何で??」

 ダンジョンを攻略して、最深層の魔法陣を壊せば、ダンジョンから魔物がでなくなって、人間界は平和じゃないか。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、魔王自身が神様になろうとしていることを知る。

 サイレント、ダンジョンは『神殺し』が最深層まで攻略していたことを知る。

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