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第14話 サイレント、公開処刑が決定する!?

これまでのあらすじ

 院長先生、サイレントに攻撃する。

 サイレント、手元が狂い、フラットさんに攻撃する。

「作戦通り?? どういうことなのよ?? サイレント!!」

「こっちが訊きたいですよ!!」


「隠していないで、きちんと説明するのよ!!」

 隠してなんていないんですよ。

 いい加減ボクを追いかけるのはやめてくださいよ。

 こっちはフラットさんを抱えているんですから。


『抱えているフラットとともに、あの世へ行くと良いのよ』

 ボクの心に直接話しかけてくる院長先生。

 今更、念話を使うんかい。

 使うタイミングが遅すぎなんだよ!!


 ボクが院長先生に心の中でツッコみを入れると、ごごご……と音が鳴ったかと思ったら、地面が揺れ始める。


 え?

 何??

 地震??


「はやく逃げるデス!!」

 叫びながらジャンプするアリア。


「掴まるのよアリアちゃん」

 アリアと合法的に抱き着けるとすぐさま理解した院長先生は、ボクを追いかけるのを止めて、ジャンプしたアリアに腕を差し出す。


「不本意デスが、師匠はフラットお姉さまを運んでいるので、掴まってあげるデス」

「逃がさないでごわす!!」

 スタンディング・ウッドはたくさんの枝の鞭をボクと院長先生に当てようとしてくる。


「逃がす以前に、あなたはもう、終わっているデス!!」

「どういうことでごわすか??」


 一瞬、硬直するスタンディング・ウッド。

 その隙に、院長先生は羽ばたいて、すべての鞭から逃れる。


「こういうことデス!!」

 そう言いながら、地面を指さすアリア。

 アリアが指さす方向の土がスタンディング・ウッドの根っこの隙間から大量に流れ始めた。


「ウォーターボルトで、ずっと土に水をかけ続けていたデス。その土に師匠がダガーで刺したことで、土砂崩れが起きているんデス!!」

「ちょっとやそっとの土砂崩れで、おいどんは倒れないでごわす!!」


 言葉とは裏腹に、スタンディング・ウッドの体は少しずつ傾いている。


「いいえ、倒れるデス!! この森の3年間の降水量以上の水を土にかけ続けていたデス。スタンディング・ウッド、あなたはアリアたちを逃さないために、自身の根っこを地上に出しすぎたデス!! 土砂崩れが起きた今、あなたの自重によって倒れるしかないデス!!」


 めきめきという音がした後、スタンディング・ウッドは完全に倒れた。


「まだでごわす!! おいどんにはまだ、枝と根っこが残っているでごわす!!」

「いや、もう終わっているデス!! 倒れたあなたは、視界が見えていないデス!!」


 アリアは大鎌を取り出し、スタンディング・ウッドの枝も根っこもすべていとも簡単に刈り取ってしまった。


「ねえ、アリア。もしかしてだけど、アリアが最初から大鎌を出して戦わせていれば、ボクの作戦いらなかったのでは??」


「そんなことないデス。スタンディング・ウッドの視界を封じなければ、こんなに簡単に刈らせてはもらえなかったデス」


「そっか、そっか」

 そうかな??

 多分、スタンディング・ウッドの根っこや枝をアリアが大鎌で切って、院長先生が防御が薄くなったところをホーリィで刺せば一発だったような気がする。


 まあ、アリアが視界を奪わなければ、木も根っこも刈り取られなかったというんだから、そうなんだろう。


 うん、そういうことにしておこう。


「さすがは師匠デス!! 師匠は、この地面の土が大量の水を緩くなると分かっていて、アリアに水魔法で土を濡らすことだけを作戦として伝えてきたんデスよね??」


「うん、そうなんだよ、アリア。スタンディング・ウッドが枝の鞭で攻撃してきた時に、地面の土がえぐれていたから、もしかしたら、土砂崩れが起きやすい土なのかな……って思って、それを全部伝えようとしたんだけど、時間がなかったから、必要最低限のことだけをアリアに伝えたんだ」


 ボクはできる限り真剣な目でアリアに伝えながらも、心の中で『ごめん、アリア』と謝罪する。


 ペラペラとそれっぽいことを言っているけど、本当は全然そんなことを考えていなかったんだよ、ボク。


 水が土にしみこむことなんか忘れていて、アリアがウォーターボルトを唱え続ければ、スタンディング・ウッドの根っこに囲まれた内側に水が溜まって、スタンディング・ウッドをおぼれさせることができると本気で信じていたんだから。


『なるほど、なるほど、そんな杜撰な計画を立てていたのよ』

 念話で心の中に直接話しかけてくる院長先生。

 今、魔法でボクの心の中を聞くなんて、なんてずるいんだ。


『アリアちゃんを命の危険にさらした罪は万死に値するのよ。今からサイレント公開処刑を行うのよ』

 公開処刑だって!?


『そうなのよ、アリアちゃんにすべてを伝えて、サイレントの公開処刑をするのよ』


 まさかとは思いますが、ボクがデッドオアアライブなのをいいことに、処刑した後、ボクの首をアーノム・ギトーゲの王様に渡すなんてことは……


『そうだったのよ。命を危険にさらすサイレントを処刑できるうえに、お金までもらえるなら一石二鳥なのよ!!』


 しまった、ボクが賞金首なのを院長先生忘れていたのか……

 墓穴を掘ってしまった……


 こうなったら仕方がない。

 奥の手だ。


 院長先生、処刑されるのなら、ボク、そろそろ、フラットさんを地上に降ろそうと思うのですが……

『ちょっと待つのよ、そんなことしたら、合法的にアリアちゃんとくっつけないのよ!!』


 そうですよね、もう少し飛んだまま、ムービング・ウッドを追いかけようと思うのですが、よろしいでしょうか??


『もちろんなのよ』

 ふぅ、これで何とか、寿命が延びた。


「ごめん、アリア」

「師匠、突然どうしたデスか??」

 きょとんとした目でこちらを見てくるアリア。


 うん、そうだよね。

 何も分からないよね。


忙しい人のためのまとめ話

 アリアがサイレントの作戦を勘違いしたおかげで、スタンディング・ウッドを倒す。

 サイレント、院長先生に公開処刑を宣告されるが、なんとかごまかして、延命する。

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