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第13話 サイレント、ダガーでフラットさんを倒す!?

これまでのあらすじ

 サイレント、アリアに間違った指示を出して、院長先生に命を狙われる。

 サイレント、院長先生に聞かれないようにアリアに指示を出す。

「作戦通りにはさせないでごわす」

 院長先生のホーリィを防ぎ切ったスタンディング・ウッドは、アリアめがけて攻撃を繰り出してきた。


「よし、作戦通りだ。アリアに目が向いた!! あとは手筈通りに!!」

 ボクはアリアに大声で叫ぶ。


「はっ、まさか、女の方をおとりにして、本命はこっちでごわすか??」

「その通りだよ!! アリアをおとりにして、ボクが逃げるという算段だったんだよ!!」

 ボクはダガーを持ったまま周囲にそり立つ根っこの壁の方へと走った。


「絶対に逃がさないでごわす」

「当たらないよ。君の枝は遅すぎだからね」

 木の根っこの壁に登りながら。枝の鞭を避けるボク。


「それなら、これはどうなのよ?? ホーリィ!!」

 避けた先に、光の槍が飛んできたので、ボクは慌ててそれを紙一重で避けた。

 まさか、スタンディング・ウッドもホーリィを使えるのか……って、魔族が聖魔法を使えるはずがない。


「何するんですか、院長先生!!」

「あなたが私を怒らせたのが悪いのよ! 作戦を漏らした上に、アリアちゃんを囮に使うなんて絶対に許さないのよ、サイレント!!」

 ブチ切れながらボクを追いかけてくる院長先生。


「待ってください、院長先生! これも作戦なんですよ!! 仲間割れなんかしている場合じゃないんですよ!!」


 そう、これはボクが考えた作戦なのだ。

 アリアには『スタンディング・ウッドには、ボクがアリアを囮にしたというウソをついて、ボクに攻撃を集中させるから、その間にアリアはスタンディング・ウッドにバレないように地面に向かって、ウォーターボルトの魔法で地面を水浸しにして』……と伝えてある。


 そう、アリアの魔法で、根っこの壁の内側をプールのようにするのだ。

 そうすれば、水中で息のできないスタンディング・ウッドをおぼれさせることができる。

 おぼれさせれば、仲間は呼べないし、敵に気づかれることもないだろう。


 なんてナイスな作戦なんだろう。

 我ながら、天才過ぎる。


 だがしかし、アリアに作戦を伝えたが、院長先生には伝える時間も余裕もなかった……とはいえ、まさか本気でホーリィをボクに向かって投げてくるとは思わなかった……


 せめて、スキル・念話で心の中でボクと会話をしてくれ!!

 そうすれば院長先生にも伝えることができるから!!


「問答無用なのよ!!」


 ボクの思いは届かず、本気でボクに攻撃し続ける院長先生。


「勝手に仲間割れでもしているでごわす!!」

 スタンディング・ウッドは仲間割れしているボクと院長先生を無視して、アリアとフラットさんを枝の鞭で攻撃し始めた。


 しまった。

 フラットさんのことをすっかり忘れていた。


 ボクは淡い希望をいだきながら、ちらりとアリアの方を見る。


 アリアは枝攻撃を避けながらも、スタンディング・ウッドに気づかれないように後ろ手で一生懸命に手から水の玉を出しては、何度も何度も地面に放っていた。


 何度も何度も水魔法を土の上にかけているようだが、まったく水は溜まっていない。


 それもそうだ。

 アリアにお願いしてからまだ時間は経っていないし、ウォーターボルトは、そもそも、大人の顔くらいの大きさの水しか出すことができない。


 根っこの壁の内側に水が溜めて、スタンディング・ウッドをおぼれさせて倒すには、まだまだ時間がかかるだろう。


 気持ちを切り替えて、フラットさんを救出しないと!!


 フラットさんのところに空動で駆け寄ろうとするが、すでにスタンディング・ウッドが攻撃をしかけているので間に合いそうにない。


 まずい、まずい、まずい!!

 魔物の素材の換金や、騙されて借金を作ったときや、装備の相談など、フラットさんには、ボクが冒険者になってから、ずっとお世話になっている。


 いつもお世話になっているフラットさんにけがを負わせるなんてことはできない!!


 アインシュタインと戦った時のように、マジック・バックで加速を……って、ダメだ。

 フラットさんの足元にマジック・バックはない。


 今からマジック・バックを出せば、確実に間に合わない。


 こうなったら、ダガーを投げるしかないな!!


 ボクは、フラットさんを襲う枝の鞭にダガーを投げつけた。


「あ、手が滑った! 避けて、フラットさん!!」


 なんてこった。

 ボクが投げたダガーの軌道は、枝の鞭ではなく、フラットさんに向かって一直線。


「なんだ、ここでも仲間割れをしているのでごわすか」


 そうつぶやきながら、スタンディング・ウッドはフラットさんの攻撃を止めてしまった。

 ボクは、非戦闘員のフラットさんへの攻撃が終わってほっと一息……って、ほっと一息している場合じゃないよ!

 これじゃあ、ボクがフラットさんにとどめの一撃を食らわせたことになってしまうじゃないか!!


「きゃー」

 悲鳴がした瞬間、フラットさんはその場に倒れこんだ。

 まさか、ボクのダガーが心臓めがけてジャストミートしたんじゃ……


「大丈夫ですか??」

 ボクは空動を使い、フラットさんにすぐさま駆け寄る。


「痛いですー、地面がいつの間にかどろどろになっていてー、転んでしまったみたいですー」


 ボクの声に反応したのか、あるいは、枝の鞭に気づいたのか、フラットさんは後ろに逃げようとして、しりもちをついてしまったらしい。


 ボクはしりもちをついたフラットさんを頭のてっぺんからつま先までさっと見た。

 どうやら、ボクのダガーはどこにも刺さってはいないようだ。


 しりもちをついたついでに、ボクのダガーも避けたのだろう。

 その証拠に、フラットさんに外傷はなく、ダガーは地面に深くまで刺さっていた。


 運よくフラットさんが転んでくれて、本当に良かった。


 安心したボクは、すぐさま刺さっていたダガーを抜いて、フラットさんをお姫様抱っこした。


「師匠、作戦通りにいったデス!!」

 根っこの壁の中に響き渡るアリアの大声。


『作戦通り』だって??

 ボクは周囲を見回す。

 しかし、全然、水は溜まっていない。

 水が溜まっていなければ、スタンディング・ウッドをおぼれさせることなんてできないよ。


 何を言っているんだ、アリアは??

忙しい人のためのまとめ話

 院長先生、サイレントに攻撃する。

 サイレント、手元が狂い、フラットさんに攻撃する。

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